上 下
16 / 22

15

しおりを挟む
「な……っな……っ!リアンヌはじじ専だったのか!」

「愚息よ、今すぐ殺されたいようだな?ん?」

「にゃあにゃ、にゃ?」

リアンヌの叫びにより反応した殿下の言葉に陛下がキレております。バカなのかな、ユーザ殿下……。陛下の真似をするざらめ様は可愛いけど。

「ひぇ……」

「ふふ、私で争わないでと言ったばかりなのに……ふふ、ふふふ……あはははっ!やっぱり私は愛されヒロインなのねぇえぇぇ!?」

狂ったヒロインの間違いじゃないかな。なんて思った瞬間だった。

「なぁ~う!」

ざらめ様が今日一番の鳴き声を急にあげたその時……どどどどどと鳴り響く音と共に現れる猫、ネコ、ねこ……が尻餅をついたユーザ殿下と狂った叫び声で立ち笑うリアンヌに飛びかかった。

「フシャーッ!」

「うにゃーっ!」

「にゃう~!」

「な、なんだ!やめろぉ!」

「い、いやっ!何よ!このくそ猫がっ!私は、猫が嫌いなのよ!私はヒロインなんだから~っ!」

ざらめ様一匹の時とは比べ物にならないほどの攻撃が繰り広げられる。顔どころかドレスなどの着ているものすら引き裂かれ、リアンヌのはぽろぽろと何かが落ち、ユーザ殿下からは信じられないものが姿を見せた。

「え、リアンヌって男なんですか!」

乙女ゲームじゃヒロインなのに!胸パッドがぽろりとし、あまりの胸のなさに実はBでLのゲームだったかと疑ったが……

「女よ!貧乳で悪かったわね!ってか見ないでよ!」

女であっていたようだ。それよりもリアンヌと会話が成立したことの方が驚きというか……。まさか、これが猫様パワー……?あれから正気に戻すなんてすごい。

いや、それはそれとして……ユーザ殿下は……いや、でも、ええ……っ?

「さて、私の弟は弟であって妹だった覚えはないが……」

「う、うううるさい!これがないと落ち着かないんだ!」

リアンヌがかなりの貧乳以上に注目されたのはユーザ殿下の露になった胸につけられたブラジャー。まあ、前世でそういう人がいるのは知ってたしそこまで気にすることじゃないけど、この世界では……ねぇ。

何よりユーザ殿下はこれからはわからずとも王族なわけだし……。もしかしてざらめ様知ってた?

あの猫様たち攻撃したかのように見せかけて言うほどお二人に怪我は………顔以外はないし。そんなに二人の顔に恨みでも?

怒りでいっぱいのリアンヌ、羞恥でいっぱいのユーザ殿下に痛みを感じている様子はないけど、陛下よりもひどい出血量なのは見るからにわかる。

「にゃふん」

「さすがはザラにゃんだなー!自らやり返すとは!」

「「「なぁう!」」」

「おお、お前たちもよくやったな~!」

あ、やっぱり陛下の猫様なんですね。一体何匹飼ってるんです?

陛下に集まる猫様たちにより私の視界からリアンヌとユーザ殿下は外された。あれを見るくらいなら猫様見て癒されたいですし。

陛下……羨ましいぃぃっ!きっとこの気持ちはリアンヌの怒りにも負けない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】逆行悪役令嬢、ざまぁ(※される方)のために頑張ります!〜皆さん、ヒロインはあちらです!〜

葉桜鹿乃
恋愛
「ニア・ユーリオ伯爵令嬢、君との婚約は破棄する。そして、アリアナ・ヴィンセント子爵令嬢への殺人未遂で捕らえさせてもらう」 グレアム・ミスト侯爵子息からの宣言に、私は死を悟った。 学園の卒業パーティー、私からグレアム様を掠め取ったアリアナ嬢が憎くて、憎くて、憎くて……私は、刃物を持ち込んでしまった。そして、殺人を犯す間際にグレアム様に刃物を叩き落とされた。 私の凶行によって全て無くし、死刑を待つ牢屋の中で、どうしてこうなったのかを考えていたら……そもそも、グレアム様に固執するのがよくなかったのでは無いか?あんな浮気男のどこがいいのか?と、思い至る。 今更気付いた所でどうにもならない、冷たい鉄の板に薄布が敷かれた寝台の上で「やり直せるなら、間違わないのに」そう呟いた瞬間、祖父からもらった形見のネックレスが光を放って……気付けば学園入学時に戻っていた?! よくわからないけどやり直せるならやり直す!浮気男(共)の本性はわかっている、絶対に邪魔はしない、命あっての物種だ! だから私、代表して晴の舞台で婚約破棄というざまぁをされます! さぁ皆さん、ヒロインのアリアナ嬢はあちらです! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。 ※小説家になろう様でも別名義で連載しています。

目的のためなら乙女ゲームがどうなろうとわたくしは知りませんわ!

天月せら
恋愛
魔法学園に通うフレイはウンザリしていた。 自身が通う学校は乙女ゲームの世界だったからだ。 そこかしこで繰り広げられるイベントは現実世界ではうっとおしいことこの上なかった。 そんなある日、フレイは魔法学園で開催される魔法大会に参加することになった。 前編、中編、後編の短編になります。 中身は殆どありません。 後日譚は本日22時アップ予定 ロールプレイングゲームのヒロイン希望だったけど転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢でした!も応援お願いします!

侯爵令嬢の置き土産

ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。 「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。

婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?

tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」 「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」 子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

婚約破棄の特等席はこちらですか?

A
恋愛
公爵令嬢、コーネリア・ディ・ギリアリアは自分が前世で繰り返しプレイしていた乙女ゲーム『五色のペンタグラム』の世界に転生していることに気づく。 将来的には婚約破棄が待っているが、彼女は回避する気が無い。いや、むしろされたい。 何故ならそれは自分が一番好きなシーンであったから。 カップリング厨として推しメン同士をくっつけようと画策する彼女であったが、だんだんとその流れはおかしくなっていき………………

気がついたら乙女ゲームの悪役令嬢でした、急いで逃げだしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 もっと早く記憶を取り戻させてくれてもいいじゃない!

ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる

mios
恋愛
ヒロインの味方をずっとしておりました。前世の推しであり、やっと出会えたのですから。でもね、ちょっとゲームと雰囲気が違います。 どうやらヒロインに利用されていただけのようです。婚約者?熨斗つけてお渡ししますわ。 金の切れ目は縁の切れ目。私、鞍替え致します。 ヒロインの味方のモブ令嬢が、ヒロインにいいように利用されて、悪役令嬢に助けを求めたら、幸せが待っていた話。

処理中です...