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6章
夫婦生活は本物になる4~夫の父親視点~
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私は星影優作。時雨の父だ。昔から何かと心配だったが、結婚してもその心配は尽きない。何せあの子は妻にストーカー行為をしていると言うのだから。されている本人は気にしていないとはいえ、普通ではない。
しかし、時雨の妻となった美世さんも中々変わった方だっただけにある意味お似合いの夫婦かもしれないと納得している。いや、納得するしかなかった。もう話せば話すほど二人のペース、主に美世さんのペースに巻き込まれたあの日、私と私の妻共々疲れきったのだから。下手に刺激すまいと二人で後に話した。
そしてあれから時雨たちの二度目の家の訪問。前回と違うのは時雨たちから来ると前触れもなく、連絡が来たことだろうか。前触れというか星影の名を使ってひと騒動がありはしたが。まあ、それだけ美世さんが大事なんだろうと怒りはしないが、何故あの子はストーカーにしても捜索にしてもやり過ぎるのだろうか?考えてもわからない。
もう既にその息子たちがいるので考える時間がないとも言うべきか。
「で、今回は何か報告でも?」
こちらから切り出せば、美世さんは特に表情に動きは見られず、時雨だけが真剣な表情を見せた。
「美世の監視をやめた」
「・・・そうなんだ」
何を真剣にかと思えば、本当に何の報告?と思う内容だった。ちなみに妻ルーシアは今日は急な訪問だったためにこの場にいない。どうも、友人たちとお出掛けらしい。ボディーガードもひそかに着いて行っている。
つまり、この二人に振り回されるのは私だけとなる。切実に味方がほしい。前回のように疲れきる前に。正直一夜漬けで仕事をする方が楽だ。
「実は私、時雨を愛してしまったんです」
「・・・いいんじゃないかな?君達、夫婦なんだし」
急に口を出してきたなと思えば、言葉の内容も唐突で、先ほどの時雨の言葉と何の脈絡もない。時雨の話は終わったのか?と疑問も残りはしたが、間を空けては正直な気持ちを口にする。
「僕たち両想いなんだ」
「そうみたいだな」
時雨の監視をやめた話はあれで終わりなんだなと思うことにした。しかし、夫婦として想いが通じたのはいいことだろうが、この二人が私に何を求めているのか全くわからない。
「なので、結婚式やり直していいですか?」
「え?」
「あの時は僕の片想いでしたから」
「ん?」
「勝手なのは理解しています。でも、時雨が好きになった今、流れで結婚式をしたのを少し後悔してまして・・・。自分勝手と言われてもこの気持ちを私は大事にしたいんです」
「身内だけで構わないから、お願いします」
「お願いします」
二人して私に頭を下げる。まさか二度目の結婚式を望まれていたなんて言われないとわかるはずもない。
二度目の結婚式なんて想像もしていなかったが、結局私は息子が大事で、息子の大切な、今では義理の娘と言える娘の我が儘だとしても、真剣にお願いをしてくる二人の子の姿を見て、断れるはずもなかった。
疑似結婚式みたいな形にはなるだろうが、私自身戸惑いでろくに祝えもしなかった結婚式に思うところはあった。最高の舞台を用意するため、どうするかは考えさせてほしいと二人を帰しては、すぐ手配する。
一度目は息子にしてやられたが、二度目があるなら次は親がやり返しても構わないだろう。
きっと妻も喜んで協力するに違いない。何せ大事な息子、娘の二度目の結婚式なのだから。
しかし、時雨の妻となった美世さんも中々変わった方だっただけにある意味お似合いの夫婦かもしれないと納得している。いや、納得するしかなかった。もう話せば話すほど二人のペース、主に美世さんのペースに巻き込まれたあの日、私と私の妻共々疲れきったのだから。下手に刺激すまいと二人で後に話した。
そしてあれから時雨たちの二度目の家の訪問。前回と違うのは時雨たちから来ると前触れもなく、連絡が来たことだろうか。前触れというか星影の名を使ってひと騒動がありはしたが。まあ、それだけ美世さんが大事なんだろうと怒りはしないが、何故あの子はストーカーにしても捜索にしてもやり過ぎるのだろうか?考えてもわからない。
もう既にその息子たちがいるので考える時間がないとも言うべきか。
「で、今回は何か報告でも?」
こちらから切り出せば、美世さんは特に表情に動きは見られず、時雨だけが真剣な表情を見せた。
「美世の監視をやめた」
「・・・そうなんだ」
何を真剣にかと思えば、本当に何の報告?と思う内容だった。ちなみに妻ルーシアは今日は急な訪問だったためにこの場にいない。どうも、友人たちとお出掛けらしい。ボディーガードもひそかに着いて行っている。
つまり、この二人に振り回されるのは私だけとなる。切実に味方がほしい。前回のように疲れきる前に。正直一夜漬けで仕事をする方が楽だ。
「実は私、時雨を愛してしまったんです」
「・・・いいんじゃないかな?君達、夫婦なんだし」
急に口を出してきたなと思えば、言葉の内容も唐突で、先ほどの時雨の言葉と何の脈絡もない。時雨の話は終わったのか?と疑問も残りはしたが、間を空けては正直な気持ちを口にする。
「僕たち両想いなんだ」
「そうみたいだな」
時雨の監視をやめた話はあれで終わりなんだなと思うことにした。しかし、夫婦として想いが通じたのはいいことだろうが、この二人が私に何を求めているのか全くわからない。
「なので、結婚式やり直していいですか?」
「え?」
「あの時は僕の片想いでしたから」
「ん?」
「勝手なのは理解しています。でも、時雨が好きになった今、流れで結婚式をしたのを少し後悔してまして・・・。自分勝手と言われてもこの気持ちを私は大事にしたいんです」
「身内だけで構わないから、お願いします」
「お願いします」
二人して私に頭を下げる。まさか二度目の結婚式を望まれていたなんて言われないとわかるはずもない。
二度目の結婚式なんて想像もしていなかったが、結局私は息子が大事で、息子の大切な、今では義理の娘と言える娘の我が儘だとしても、真剣にお願いをしてくる二人の子の姿を見て、断れるはずもなかった。
疑似結婚式みたいな形にはなるだろうが、私自身戸惑いでろくに祝えもしなかった結婚式に思うところはあった。最高の舞台を用意するため、どうするかは考えさせてほしいと二人を帰しては、すぐ手配する。
一度目は息子にしてやられたが、二度目があるなら次は親がやり返しても構わないだろう。
きっと妻も喜んで協力するに違いない。何せ大事な息子、娘の二度目の結婚式なのだから。
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