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5章

夫婦生活の喧嘩大騒動6

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羨む時間も束の間。バタバタとし始めるのは結愛の家の使用人たちだろうか?メディアに取り上げられている時点で大騒動になりつつあるのは理解している。

けど、結愛の怒りながら浮かべる笑みに放置していいものかと考えつつも、時雨に会いたいかと言えばまだなんとも言えないからこそ止めるのも渋ってしまう。

「さて、星影家から捜索依頼が来たわ」

そんな中でまた現れた使いにより、次は慎重な人なのか、結愛の耳元で囁くように知らされた言葉は、結愛の私に伝える言葉によって無駄に終わった。

「結愛に?」

「私と言うより伊集院家にね。星影家とは仲はそれなりにいいのよ。まあ、当然受けたわ。怪しまれては元も子もないもの」

「大丈夫なの?」

正直着いていけないノリ。普段の自分のペースに巻き込まれてきた人たちはこんな気持ちだったのだろうかと考えてしまうくらいに、結愛のペースに巻き込まれつつある。なんとも落ち着かないはらはらとした気持ち。

「大丈夫も何もこうなったからには貴女を家へ届けるわ」

「へ?」

あれだけ怒りを表しながらまさかの家に送る宣言に思わず呆然とした。

「伊集院家が保護して、貴女を家に送り届けるだけよ。その上で連絡を寄越すように言ったつもりが、つい忘れていたわということね。時雨様は犯罪に巻き込まれたと焦っているでしょうから、家周辺は警備がないの。星影家とは思えない一軒家でしかないから当然と言えば当然よね。探しに探して見つからず帰れば、心配していた美世がいるのを見て、時雨様は一体どんな顔をするでしょうね」

まあちょっとした意趣返しにはなりそうだ。私も大分落ち着いたし、今なら時雨ときちんと話せそうだ。監視の件は・・・まあ、結愛の言葉通り、普通はしないと言ってみてもいいかもしれない。監視が減れば仕事時間は見れなくても私は満足できる気がする。それで時雨をわかってあげられるかはわからないけど。

逃げるばかりじゃなく、立ち向かうつもりで家に戻るのはいいかもしれない。なんだかんだと結愛もそれを思って言ってくれているのだろう。

「でも家にいる前提なら中に入らなきゃよね?でも、私鍵がないの」

急に飛び出したから仕方ないとしか言い様がない。玄関で待つのもいいけど、それならいっそ時雨に連絡をとって家に入れてもらい気すらする。

「実は合鍵を作ってしまっているのよ。貴女と最初に会った日にね」

「・・・そうなの」

いつの間にどうやってと思うけど、結愛、それ犯罪なりかけではなくて・・・?と思いながら、家に送ってもらった後回収すべきか否か悩む。最近悩んでばかりな気がするけれど、いいことなのか、悪いことなのか、私には判断がつかない。まあ、今は時雨に会ったらどう話すか考えるべきね。

決まれば即行動とばかりに結愛に家まで送ってもらえれば、結局合鍵は返され、合鍵への悩みは呆気なく終わった。
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