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4章

夫婦生活の恋模様?10~夫視点~

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ここから美世の気持ちを自覚させての両想いのハッピーエンドだと僕は思っていた。そう思っていた。

何故かって?それは、自分が赤くなった顔を気にせず、思わず見つめた立ち上がって一切動かなくなった美世の顔は、恐らく僕と変わらないくらい赤くて、明らかに僕に、友人たちとは違う好意を持つものなのがわかったから。

顔を真っ赤にしてどこか潤む瞳を思わず眺めてしまった。ここまで表情が崩れた美世を真正面から見るなんてことは初めてだったからだ。

気がつけばどうしていいかわからず思考に逃げたのだろう美世は、どこか遠くを見つめており、動揺するように動いていた瞳も止まっていた。ふと頭の中で元婚約者の説教が聞こえてくる。このチャンスを逃す気かと。

これは浮かれてもいいものだと思った。これをふいにして、ヘタレと美世の友人たちに言われたままはいい気がしない。緊張でどくどくと鳴る胸の鼓動と熱くなる頬などは無視して、美世の後ろに回り込む。今だ美世は微動だにしない。

そして後ろから抱き締めた。

「美世」

「!」

びくりと大きく肩を震わせた美世。思考をこちらに向けることができたようだ。なんて思っていたが、びくりと震えた後、また微動だにしなくなった。

「美世?」

聞こえてはいるのか確認しても美世は微動だにしない。耳は真っ赤だし、倒れるようこちらに体重をかけるわけでもないので、気を失っているわけでもなさそうだ。

いくら呼んでも呼んでも、聞こえるのは美世の息だけ。

これは、どうするべきか困った。勇気を出し、本当の両想いになるだろうと踏んで破裂しそうな心臓の音を無視した上で、抱き締めてまでしてこちらに気を向けて話をしようと思ったのに、まさか大きく反応してからまた微動だにしなくなるとは予想外でしかない。

「・・・美世、大丈夫?」

抱き締めているのがよくないのかもしれないと、少し離れてみた。声をかけてから数分後、ぐりんとこちらを向く美世はまだ少しだけ頬に赤みが残っていたものの落ち着いた様子がわかる。

僕も同じく落ち着いては来ていたものの、拍子抜けというべきか美世と両想いになるための言葉はもう出そうにない。また元婚約者プラス美世の友人二人にヘタレと揃って頭の中で言われた気がした。

「お風呂に入ってくるわ。ご飯を用意していて」

「あ、はい」

美世に言われるまま、ご飯を用意し、美世がお風呂に入っている間、僕は完全に落ち着きを取り戻して美世も同じく出た時にはいつもの無表情に。その後、一緒にご飯を食べ、なんとなく僕はソファで、美世はベットで寝ることとなった。

進展したのかしてないのか。

「情けない・・・。」

思わず泣きそうになった。
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