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2章

夫婦生活の報告1

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「・・・とまぁ、それでお昼行って、私映画鑑賞好きだからってDVD借りに行って、夕食は時雨が振る舞うってことで食材の買い物して帰って、行く前にはなかったスクリーンで映画見ながら、時雨の手作り料理を食べたのが初日ね。お風呂は別、寝るのは一緒。初日の報告はそんなところかしら」

「待って、私どこから突っ込んでいいかわからない!」

初日の夫婦生活から一ヶ月。今、私はカフェで唯一の友人、鈴木瑠璃と結婚後大丈夫なのかと心配されて、夫婦生活を報告中。時雨には言わずとも行っておいでと言われたので携帯を見られたのかもしれない。

セキュリティロックはしてあるし、何度も変えてみたものの、時雨相手には無駄みたい。まあ別に構わないのだけど、それならどうして何度も変えたのかと言われると、普通にどう知っているのか知りたくて変え続けただけだ。

一緒に住んでるのに全くわからなかったわ。時雨は本当に私を退屈させない。帰った後、報告せずとも私と瑠璃の会話を知ってても私驚かないわ。

私の中で時雨は、私を知ってても当たり前だと思っているから。私すら気づいてないことすら知ってそうね。

案の定、喜怒哀楽の激しい瑠璃は頭を抱えている。進学した大学でも変わらずにいるのが、見ていてわかるわ。

「ちなみにスクリーンは私たちが出掛けた後、設置するよう私がお店で服を着替えている間に、手配していたみたい。」

「お、お昼は何を食べたの?」

「お寿司ね。私が好きなのがお寿司だからって。高級レストランかと思っていたんだけど、さすがよね」

「お寿司が好きって言った覚えは?」

「ないわよ?回らないお寿司は美味しかったわ。回転寿司でもよかったのだけど、時雨には合わないわね」

「そっか・・・後半はともかく、前半、初デートに朝からカジノって考えたこともないよ?」

「景品がもらえるからゲームセンターと似たようなものよ?」

「全然違うよ!?金銭的にも!」

「まあお金は確かに、ね。でもゲームセンターよりも、カジノの方が私は楽しいわ」

「ううっ美世ちゃんが遠い存在に・・・」

カジノくらいで大袈裟な・・・。

「まあでも1億のダイヤを捨てるなんて経験はさすがに勘弁したいわね」

あんな豚の贈り物いらないけど、時雨のお金で買ったチップがあったからこその勝負だったし、それを売るわけでもなく捨てたのは時雨に悪い気はしたもの。時雨は全く気にしない様子で笑っていたけど。

「本当に捨てたの!?」

「まあ捨てずに売ったところで時雨にバレるだろうし、下手したら売ったお金を捨てるように言われそうだもの。お金よりかダイヤ捨てた方がいくらかマシだわ」

「お金と物は大切にっ!」

「ちなみにそのダイヤ豚が借金してまで買ったダイヤだそうよ?今頃ろくな就職先もなく、路頭に迷ってるでしょうね」

「デブオヤジでも同情してしまいそうなレベル!」

「さすがにやりすぎな気がしなくもないけど、カードゲームをバカにした罪よ」

「重い罪にもほどがある!」

がんっとテーブルに頭を叩き込む瑠璃。ひとつひとつの反応が大袈裟で見ていて飽きない。

「そういえば彼、23歳なんですって。私より5歳年上だったわ。」

「どうでもいい情報をなんで今・・・」

「昨日知ったから。時雨は私を知りすぎなくらい知ってるけど、今思えば私彼について名前しか知らなかったのよ。あえて夫婦生活で知れたのは私のストーカーで、顔がよくて、かなりの権力者、お金持ちで、いつも笑ってて何考えてるかわからないくらいしか知らないの。で、ようやく知ったのが年齢」

「一応もう一ヶ月だよね?もう少し好きな食べ物とかさ、わからなかったの?」

「時雨といると、私基準なのが当たり前な気がして、何もかもが私の好みに合わせられるし、会話も私のどこが好きか、明日の予定についてとか、よりうまくイカサマするにはどうするべきかなんてことしか話さなくて、気がつけば時雨を知る機会すらなかったなと」

「知りすぎと知らなすぎの夫婦って・・・。美世ちゃん基準って随分と溺愛されてるみたいだね」

溺愛・・・溺愛なのだろうか?

「まあ、嫌なことされたりとかはされないわね」

「襲われたりとか・・・も?一緒に寝てて何もないの?」

「ただひっついて寝るくらいね。そういえば夫婦なのに身体関係はないわ」

「ストーカーなのに?」

「ストーカーだけど、紳士よ?彼」

「ストーカー宣言する男は紳士じゃないと思う」

珍しく真面目な顔の瑠璃。彼女なりに心配してくれているのだろう。まあ、初対面でプロポーズしてきた男性と結婚したのだ。いくら時雨の見目がよくても、お金があっても、瑠璃には関係ないのだろう。

まあ、確かに彼は今現在進行中でストーカー。心配かけてしまうのも無理はない。

それでも本当に意外と、この夫婦生活を悪くないと感じる程度には気に入っているし、心配されるようなことを時雨はしないと思うくらいには信用もできるんだけれど。
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