上 下
24 / 39
6章ざまあ展開準備始めましょう

3

しおりを挟む
ヤンデレルートは大丈夫そうだと安心したネコは面倒がったが、教えて教えてと視線のうるさい大天使にも乙女ゲームについて説明し、ミーアのゲームと今まで現実にあったことに対して物凄く泣いた。

ネコも魔王もドン引きした。

「らひんさん・・・だいじょうぶ?」

うまく『ふぃ』が言えなかったミーアだけが、大天使に優しい。大天使に近づこうともしたミーアだが、それは魔王がミーアを抱き上げることによって阻止された。

「ずびまぜんっ!わだじが、わだじが、じょーかんに応じていれば!名前、らひんにじまずぅ!よびにぐい名前でごべんなざいっ!」

もし魔王でなく、大天使が召喚できていれば呪い子だとしても待遇はかなり変わったことだろう。大天使は人間にとっての自分の影響力をよく理解した上で謝罪した。

もう名前が呼びにくいというだけで罪悪感が半端ないくらいに。

「まおうやさしいから、だいじょうぶだよ?」

お前大天使なんかにミーアは面倒見られないだろう」

「魔王にできることが、僕にでぎないはずありまぜんっ!」

涙声で即答する大天使。涙、鼻水を垂れ流す大天使はとても天使の頂点に立つものとは思えない。

「ほう?」

これは魔王パパの勘に触った発言だったようだ。大天使に苛ついた気持ちがミーアに伝わる。ミーアが宥めるかと思いきや、大天使を言い負かしたのはミーアだった。

「らひ、らふぃ、んさんより、いまはまおうがいい。まおうじゃないとできないことあるよ」

「そんなっ!僕と魔王は同等なる存在で・・・っ」

少しばかり涙の引いた大天使が、何故魔王を選ぶのかともちろん最初は反撃した。ちなみに魔王は、ミーアがまさかそう言ってくれるとは思わず、魔王がいいと言う言葉に感動したようで、ミーアを抱く腕に少しばかり力が入るだけでミーアを見守る姿勢に入る。

苛立ちなど、その一言で消えた。一言、一行動で魔王を穏やかにさせるミーアがいる限り世界は平和を約束されることだろう。

「でもぬいぐるみ、まおうのほうがうまいよ?」

「うぐ・・・っ魔王ごときに負けるとはっ」

こればかりは大天使も認めざる終えなかった。昨晩、魔王の作ったぬいぐるみを見たからこそ余計に。

「よかったわね。パパせんしゅけんにかてたわよ」

「なんだそれは。ぬいぐるみで勝ってもな・・・」

「まおうのぬいぐるみ、ふあふあだよ!」

「そう、か」

まさかの大天使を言い負かした言葉はぬいぐるみ。魔王は面倒見るにしてもそれは何か違う気がして勝った気はしない。しかし、キラキラした瞳でミーアに言われては、誇らしい気がした魔王だった。

「で、すぎたことをいってもしかたにゃいわ。パパせんしゅけんよりもこんごのことよ。まずはがくえんににゅうがくしにゃいとはじまらにゃい」

「僕はネコの天使召喚の大天使として堂々と付き添えますけど、魔王はどうするんですか?」

「変身魔法を使う。ミーアより少し身長高いぐらいなら同学年としていけるだろう。入学してもおかしくないよう記憶は植え付ける。学園関連の者たちだけに入学者として俺の記憶を植え付けるだけでいいだろう」

「そうね。へいみん、きぞくとどちらもいるがくえんだからそれでだいじょうぶよ」

「記憶の植え付けはあまりよくはありませんが・・・」

「だめ、なの?まおうといっしょがいい・・・」

「ミーア様が言うなら仕方ありませんね!」

すっかり涙も鼻水も引いた大天使。天使なだけに闇魔法に嫌悪を覚えるが、ミーアの潤みかけた目を見ればだめとは言えない。

自分にしか天使召喚ではミーアに応じられなかったのに、それに答えられなかったことが大天使の負い目となっている。何より誰よりも助けを求めていたことがミーアの境遇の話からわかったため、もう様付けでもしないと罪悪感でやられそうな大天使。

「もんだいはにゃさそうね。じゃあ、まずはラフィンいがいはべんきょうよ!」

「え?なら、私は何をすれば・・・」

「ラフィンはてんしのままわたしといっしょにがくえんへはいれるもの。にゃにもすることにゃいでしょ?」

「それはそうですが・・・」

現時点で勉強が必要なのは学園のになる魔王、ミーア、ネコのさんにんだけだ。大天使はネコの大天使として学園に入れるだけであって、生徒ではないため、勉強する必要はない。

なんだか仲間外れで寂しい大天使である。

「しかたにゃいわね。きようににゃるれんしゅうでもしてにゃさい」

「はい!」

大天使、これでいいのか。と魔王が怪訝そうに大天使を見る。しかし、魔王は魔王でパパやっているだけに大天使のことは言えないことに気づいていらっしゃらない。

それはともかく、画して、それぞれ学園入学までするべきことをすることとなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

とりあえず天使な義弟に癒されることにした。

三谷朱花
恋愛
彼氏が浮気していた。 そして気が付けば、遊んでいた乙女ゲームの世界に悪役のモブ(つまり出番はない)として異世界転生していた。 ついでに、不要なチートな能力を付加されて、楽しむどころじゃなく、気分は最悪。 これは……天使な義弟に癒されるしかないでしょ! ※アルファポリスのみの公開です。

黒き星持つ龍は無自覚な番様に溺愛される

東川 善通
恋愛
 龍は人を見限り、龍の与えた星は人々の中から徐々に失われていった。失ってもなお、ヴェーチェルユランという国はかつての恩恵に感謝をし、龍を信奉していた。  そんな国のとある貴族の敷地にある森。そこにムーサルと呼ばれ、日々罵声暴力を受け続けている泥汚い黒い髪に虚のような黒い目を持つ少女フェオドラは住んでいた。フェオドラは母の言葉を胸に日々を過ごし、ある満月の日、彼女は運命と出会う。  アルトゥール・レオンチェフ。公爵令息にクールで女性人気も高い騎士の青年。二人は番という今は廃れてしまった存在だった。出会ったその時から、フェオドラは彼の傍が一番安心し、アルトゥールは無意識ながら守るように甘やかすように。そして、アルトゥールの許に一時的にとはいえ預けられたフェオドラは本人たち的には付かず離れずではあったものの今までにない充実な日々を過ごしていた。しかし、どこからか零れたフェオドラが星を持つという情報。穏やかな日々の影からフェオドラに魔の手が迫る。 ※2022/1/21 暁完結 ※突発的に無自覚イチャイチャがあります(当者比) ※この物語はスローペース(一話1000~2000文字程度)で進んでいきます。 ※なろう、カクヨム、ノベプラでも掲載してます

親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ
恋愛
(や……やってしまったー!! ど、どうしましょう!?) 自分の運命を決定付ける瞬間に前世の記憶が戻ってしまった。 目の前には魔法陣にたたずむ悪魔の姿が!? 前世でやっていたゲームに似た世界で私は悪役令嬢として悪魔を召喚した。 ここまで全部ゲームのシナリオどうりに動いている。 このままあの2人を呪うと私の未来は婚約破棄からの断罪と死が! そんなの嫌! 絶対に、運命なんて変えてみせる!! ゲーム中では必ず死ぬ運命の悪役令嬢エミリアは、 呪いを守りの願いに変えて、脱・断罪と死を決意する! 語られる母の過去、待ち受けるヒロインイベント。 そして、この世界の真相。 笑いあり! ツッコミあり! 涙なし? のラブコメ学園ストーリー! 運命を変えるために奔走するエミリアのドキドキ学園生活が今始まる! ※あらすじは予定です。 学園に行くまでの話しが説明過多です。 5日間くらいの話が20話前後続きます。ご了承くださいませ。 初投稿です。お手柔らかに、よろしくお願いします。 (乙女ゲーの悪役令嬢 と ざまぁ が書いてみたかったんです) R15、残酷描写は保険です。 誤字脱字があるかもしれません。 修正できていなかったら、教えていただけると助かります。 ネットスラング語など多数あります。 苦手な方はすみません。 小説家になろう でも投稿中です。 小説家になろうでは、前書きと後書きに作者のコメントが入っています。 他にも、0話の設定でイラスト描いています。画力はお察し。。。 気になる方は、なろうでも読んでみてくださいませ。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 誤字、脱字、説明不足などを書き足し点検中。 現在、120話まで完了しています。 誤字脱字を発見された方は、感想にてお知らせください。 普通に小説の内容に触れる感想も受け付けています。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado
恋愛
婚約者が私と距離を置きたいらしい。 待ってましたッ! 喜んで! なんなら物理的な距離でも良いですよ? 乗り気じゃない婚約をヒロインに押し付けて逃げる気満々の公爵令嬢は悪役令嬢でしかも転生者。  あれ? どうしてこうなった?  頑張って断罪劇から逃げたつもりだったけど、先に待ち構えていた隣りの家のお兄さんにあっさり捕まってでろでろに溺愛されちゃう中身アラサー女子のお話し。 ××× 取扱説明事項〜▲▲▲ 作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や感想、動く栞、以前は無かった♡機能。そして有り難いことに動画の視聴。ついでに誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。*゜+ 皆様の愛を真摯に受け止めております(_ _)←多分。 9/18 HOT女性1位獲得シマシタ。応援ありがとうございますッヽ⁠(⁠*゚⁠ー゚⁠*⁠)⁠ノ

恋敵にとある言葉を言った婚約者を捨てました

恋愛
『麗しの貴公子』の名を持つルドヴィクの婚約者リリン=ベリは、初対面の際ルドヴィクに「くさい」と言われてしまう。こんなのと婚約をするのは嫌だと叫ぶが両家の事情で婚約者になってしまう。 実はリリンは淫魔の母を持つ。聖女の末裔でその血が濃いルドヴィクは拒否反応を無意識に発動していた。 初対面の失言からはルドヴィクの誠意ある謝罪や婚約者として大切にしてくれる姿勢から、ルドヴィクを許し恋心を抱いていたリリン。 しかし、リリンを嫉視する王女にリリンの事が「くさい」とルドヴィクが話してしまったのを聞いてしまい、我慢の限界が来てルドヴィクが王都にいない間に婚約を解消した。 婚約を解消しても復縁をしつこく望むルドヴィクに苛立ち、リリンは長年愚痴を聞いてもらっている現婚約者が昼寝をしている所に現れたのである。 ※小説家になろうでも公開しています。

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

処理中です...