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「結婚おめでとう!」
「いや、退院祝いじゃないのか?」
「僕は結婚祝いの方が嬉しいよ?」
帰って早々母によって何故か用意されていた婚姻届を書かされて照れる暇なくあれやこれやとプレゼントに食事にと事前に用意してましたとばかりに出されて唖然としていれば龍の退院ではなくまさかの結婚祝い。
さっきの今でついていけない。なんとか出たのはツッコミと言ってもいいかわからない当然の言葉で、母の突然の行動に対して相変わらず龍は落ち着いた様子だ。わけがわからないと頭を混乱させている俺がおかしいのだろうか、それとも精神年齢が龍の方が上だったりするのか………身長も負けてるのに。
兄としても恋人としても情けない。いや、それだけ龍がすごいってことなんだし構わないか!ま、こんな兄である俺だが自分に自信をなくしても今更龍を誰かにやるつもりは全くないけどな。
「兄さん、聞いてる?」
「え、あ、ごめん」
「………兄さん、何か考え事?僕以外のことなら許せないんだけど」
決意を固めるための思考にも嫉妬した様子の龍の不機嫌顔に、恋目線ではかっこよくもあり、兄目線では可愛く見え、それだけで俺は二倍……いや、二十倍ほど得をした気分になった。無論、無視した感じになったことには反省してる。
「何言ってるんだ?俺が龍以外のことを考えるわけがないだろ?」
しかし!龍以外のことを考える時間が俺にあると思われるのは心外だ!
「兄さん……!僕も、僕も兄さん以外考えないよ!もし夢で兄さん以外が出てきたらちゃんと八つ裂きにしてるから安心して?」
その俺の答えに満面の笑みで返すとか龍は兄のツボをよく理解しているな、うん。だが、龍の言い分には反論させてもらおう。
「ばーか、夢なら俺以外じゃなくて俺と龍以外な?龍まで八つ裂きにされたら俺ひとり寂しいだろ?」
こればっかりは譲れない。と言ってみるもののなんかガキっぽかったかと言ってから少し恥ずかしくなれば
「う……っ兄さん可愛い!」
龍が口と鼻を押さえてそんなことを言う。可愛いのはどう見ても龍だと思うんだが。
「もうラブラブね~!私ったら完全に空気扱いかしら?」
「あ」
なんて二人の世界に入ってしまっていたが、母のことを完全に忘れていた。けれど忘れられていた本人は寧ろ嬉しそうににこにこしている。
「それだけラブラブなら龍が怪我してなければ今日を初夜にしてもよかったんだけど、傷口開いちゃったらまた入院でしょ?それに男同士の知識もないだろうし、今日は勉強の日ね!初夜はまた改めてお父さんも混ぜて結婚式をあげてからにしましょう!」
「「はい?」」
もはや興奮しきった母の言葉に二人の世界に入っていた申し訳なさはふっとび、龍と二人揃って首を傾げることしかできなかった。
だって勉強って……初夜って……結婚……式?
もはや頭に単語だけしか入ってこない俺だった。
「いや、退院祝いじゃないのか?」
「僕は結婚祝いの方が嬉しいよ?」
帰って早々母によって何故か用意されていた婚姻届を書かされて照れる暇なくあれやこれやとプレゼントに食事にと事前に用意してましたとばかりに出されて唖然としていれば龍の退院ではなくまさかの結婚祝い。
さっきの今でついていけない。なんとか出たのはツッコミと言ってもいいかわからない当然の言葉で、母の突然の行動に対して相変わらず龍は落ち着いた様子だ。わけがわからないと頭を混乱させている俺がおかしいのだろうか、それとも精神年齢が龍の方が上だったりするのか………身長も負けてるのに。
兄としても恋人としても情けない。いや、それだけ龍がすごいってことなんだし構わないか!ま、こんな兄である俺だが自分に自信をなくしても今更龍を誰かにやるつもりは全くないけどな。
「兄さん、聞いてる?」
「え、あ、ごめん」
「………兄さん、何か考え事?僕以外のことなら許せないんだけど」
決意を固めるための思考にも嫉妬した様子の龍の不機嫌顔に、恋目線ではかっこよくもあり、兄目線では可愛く見え、それだけで俺は二倍……いや、二十倍ほど得をした気分になった。無論、無視した感じになったことには反省してる。
「何言ってるんだ?俺が龍以外のことを考えるわけがないだろ?」
しかし!龍以外のことを考える時間が俺にあると思われるのは心外だ!
「兄さん……!僕も、僕も兄さん以外考えないよ!もし夢で兄さん以外が出てきたらちゃんと八つ裂きにしてるから安心して?」
その俺の答えに満面の笑みで返すとか龍は兄のツボをよく理解しているな、うん。だが、龍の言い分には反論させてもらおう。
「ばーか、夢なら俺以外じゃなくて俺と龍以外な?龍まで八つ裂きにされたら俺ひとり寂しいだろ?」
こればっかりは譲れない。と言ってみるもののなんかガキっぽかったかと言ってから少し恥ずかしくなれば
「う……っ兄さん可愛い!」
龍が口と鼻を押さえてそんなことを言う。可愛いのはどう見ても龍だと思うんだが。
「もうラブラブね~!私ったら完全に空気扱いかしら?」
「あ」
なんて二人の世界に入ってしまっていたが、母のことを完全に忘れていた。けれど忘れられていた本人は寧ろ嬉しそうににこにこしている。
「それだけラブラブなら龍が怪我してなければ今日を初夜にしてもよかったんだけど、傷口開いちゃったらまた入院でしょ?それに男同士の知識もないだろうし、今日は勉強の日ね!初夜はまた改めてお父さんも混ぜて結婚式をあげてからにしましょう!」
「「はい?」」
もはや興奮しきった母の言葉に二人の世界に入っていた申し訳なさはふっとび、龍と二人揃って首を傾げることしかできなかった。
だって勉強って……初夜って……結婚……式?
もはや頭に単語だけしか入ってこない俺だった。
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