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16~母視点~

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「やっぱり私たちの子ね~」

「君の教育がよかったんだろう」

久々の旦那と二人の休日。息子である龍の病室を二人で覗いてくれば仲良くキスをし合う二人を見てそっと病院を後にした。もうひとりの相手もまた私たちの息子でそれが私たち親にとっては当然のものだと思っている。

私たちの家族はこれ以上増やす必要など端からないのだから。

「う……ぁ……」

「あら、まだ生きてたの?」

「意外にしぶといね」

息子たちは知らなくても構わないこと。全て決まっていたことで、私たち家族の間に他人が入るなんてあってはならないのだ。それを邪魔する人は当然始末しなくてはいけない。

「ころ、す……ころして、やる……っ!」

「まあまあ、すごい殺気」

「殺されるのは君なんだけど……ねっ!」

「あがぁあぁぁぁっ!」

血だらけで薄暗い倉庫には私と旦那とひとりの女しかいない。自分の妹が自殺したかなんかで自分のせいだと龍に追い詰められて狂ってしまったみたい。

狂うのは勝手だけど龍に同じ思いをさせてやると優人を狙ったのが運の尽き。私たちがそんなこと許すはずもないのに。

にしても龍もまだまだ子供よね。私たちがいなかったらお兄ちゃん亡くなってたかもしれないんだから。その内始末の仕方を教えないと……お兄ちゃんに関してはまだ教育しきれてないから追々ね……。

初めての子育てだからお兄ちゃんの方は少々まともにさせてしまっただけに龍には苦労させちゃったけど、あの様子なら大丈夫だし本当に安心したわ。

「死んだかしら?」

「これで生きてたら化け物だよね」

「全く龍と優人がせっかくうまく行き始めたのに邪魔しようとするからよ」

「二人は僕らの愛の結晶だからね」

そう愛の結晶だから他人に渡したくはなかった。優人が生まれた時、いつか他人と結婚でもして私たちの血に他人の血が混ざった子が生まれたら?それだけでぞっとしたのだ。許せないと殺意を抱くほどに。例え息子の子でも。

だからもうひとり生んで他人よりも家族を大事にするように育てようと。他人との結婚など許しはしないと。

でも息子の幸せを願わないわけではないから互いが恋愛感情を抱くならよりいいなとは思っていた。それが優人にとって弟でも妹でも構わなかった。

でも結果的に龍、弟でよかったように思う。これ以上私たちの血が他人と混ざる心配がなくなるのだから。子孫なんていらない。私と旦那と、その私たちの血を受け継いだ息子二人だけの世界で私たちは幸せなのだから。

「あなたが他の血で汚れてるのこれ以上見たくないわ」

「僕も君が他人の血で汚れてるのは例え同じ女でも許せないなぁ………さっさと洗い流しに行こうか。服と靴は燃やしてしまおう」

私たちはとっても嫉妬深く、愛が深いの。ただそれだけ。
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