8 / 28
8
しおりを挟む
初日から別々に登下校を繰り返してから一週間も経たぬうちに気のせいか1年生によく声をかけられるようになった。
「立川先輩ですよね?龍くんのお兄さんの」
「あ、まあ……」
最初こそ龍のファンや龍に好意を持つ人たちの質問攻めが始まるのかと思っていたのだが……。
「私たち龍くんとお兄さんを仲直りさせたくて!」
そういうわけでなくこういう子が増えた。龍がモテるがために同じようなことが何度も。まあ龍が魅力的なのは仕方がない。だけど何故俺は龍と喧嘩したことになっているのかと常々疑問だがまあ何か勘違いが起こってそうなっているのだろうと自己完結した。
下手に探って兄離れのことを話すことになれば恐らく女子全員は龍の味方になるだろう。いくら龍のためとはいえそれほどに龍は人を味方にするのも好意を持たせるのもうまい。
まあ一番龍のことを考えているのは俺だがな。
「よく言われるけど喧嘩はしてないからね?俺ら」
もう何度この言葉を言ったか。兄離れに反対したい龍の差し金かとすら思うほどに毎日違う女子が来る。最初こそ羨ましがってた男子たちも休み時間から放課後まで時間ある度の同じ訪問に今は同情の目である。俺の疲れが滲み始めたせいだろう。
「でも龍くんいつも兄さんに許してもらえなくて寂しいって」
それって明らかに兄離れ終了の許可がとれないからだよな?毎日スマホの通知で兄離れはまだしなきゃだめ?と来るし。いや、一週間も経ってないうちから許可できるはずもない。
しかもその言い方じゃ誤解されるわけである。
「待ち受けもお兄さんにするくらいにいつも落ち込んでて見てられないんです!」
今まで知らなかった事実が今日の後輩の言葉によって明らかになっていく。よく喋るだけに龍情報がわかるのはいいもののそれだめじゃんと頭を抱えたくなった。
待ち受け俺か~と。明らかに兄離れできない要因になりかねない。まだ彼女作ってデレデレしてくれた方がいい。兄の待ち受けはないだろう……。兄は嬉しいけどね?
彼女に言われてから俺ですら弟の待ち受けはしないようにしているだけに画像とか消させなきゃだなと思う。まあ思い出のアルバムまで燃やす気はないからとりあえずスマホの中にある俺の画像は消させるべきだろう。
「うーん、わかった。今日は一緒に帰るよ」
「本当ですか!龍くんに言ってきますね!」
「きっと龍くん喜びます!」
恐らく期待した通りにはならないことを心の中で謝罪しつつスマホにある俺の写メを削除させるために仕方なく龍とその日一緒に下校することとなった。
「立川先輩ですよね?龍くんのお兄さんの」
「あ、まあ……」
最初こそ龍のファンや龍に好意を持つ人たちの質問攻めが始まるのかと思っていたのだが……。
「私たち龍くんとお兄さんを仲直りさせたくて!」
そういうわけでなくこういう子が増えた。龍がモテるがために同じようなことが何度も。まあ龍が魅力的なのは仕方がない。だけど何故俺は龍と喧嘩したことになっているのかと常々疑問だがまあ何か勘違いが起こってそうなっているのだろうと自己完結した。
下手に探って兄離れのことを話すことになれば恐らく女子全員は龍の味方になるだろう。いくら龍のためとはいえそれほどに龍は人を味方にするのも好意を持たせるのもうまい。
まあ一番龍のことを考えているのは俺だがな。
「よく言われるけど喧嘩はしてないからね?俺ら」
もう何度この言葉を言ったか。兄離れに反対したい龍の差し金かとすら思うほどに毎日違う女子が来る。最初こそ羨ましがってた男子たちも休み時間から放課後まで時間ある度の同じ訪問に今は同情の目である。俺の疲れが滲み始めたせいだろう。
「でも龍くんいつも兄さんに許してもらえなくて寂しいって」
それって明らかに兄離れ終了の許可がとれないからだよな?毎日スマホの通知で兄離れはまだしなきゃだめ?と来るし。いや、一週間も経ってないうちから許可できるはずもない。
しかもその言い方じゃ誤解されるわけである。
「待ち受けもお兄さんにするくらいにいつも落ち込んでて見てられないんです!」
今まで知らなかった事実が今日の後輩の言葉によって明らかになっていく。よく喋るだけに龍情報がわかるのはいいもののそれだめじゃんと頭を抱えたくなった。
待ち受け俺か~と。明らかに兄離れできない要因になりかねない。まだ彼女作ってデレデレしてくれた方がいい。兄の待ち受けはないだろう……。兄は嬉しいけどね?
彼女に言われてから俺ですら弟の待ち受けはしないようにしているだけに画像とか消させなきゃだなと思う。まあ思い出のアルバムまで燃やす気はないからとりあえずスマホの中にある俺の画像は消させるべきだろう。
「うーん、わかった。今日は一緒に帰るよ」
「本当ですか!龍くんに言ってきますね!」
「きっと龍くん喜びます!」
恐らく期待した通りにはならないことを心の中で謝罪しつつスマホにある俺の写メを削除させるために仕方なく龍とその日一緒に下校することとなった。
30
お気に入りに追加
1,698
あなたにおすすめの小説
【報告】こちらサイコパスで狂った天使に犯され続けているので休暇申請を提出する!
しろみ
BL
西暦8031年、天使と人間が共存する世界。飛行指導官として働く男がいた。彼の見た目は普通だ。どちらかといえばブサ...いや、なんでもない。彼は不器用ながらも優しい男だ。そんな男は大輪の花が咲くような麗しい天使にえらく気に入られている。今日も今日とて、其の美しい天使に攫われた。なにやらお熱くやってるらしい。私は眉間に手を当てながら報告書を読んで[承認]の印を押した。
※天使×人間。嫉妬深い天使に病まれたり求愛されたり、イチャイチャする話。
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
弟に殺される”兄”に転生したがこんなに愛されるなんて聞いてない。
浅倉
BL
目を覚ますと目の前には俺を心配そうに見つめる彼の姿。
既視感を感じる彼の姿に俺は”小説”の中に出てくる主人公
”ヴィンセント”だと判明。
そしてまさかの俺がヴィンセントを虐め残酷に殺される兄だと?!
次々と訪れる沢山の試練を前にどうにか弟に殺されないルートを必死に進む。
だがそんな俺の前に大きな壁が!
このままでは原作通り殺されてしまう。
どうにかして乗り越えなければ!
妙に執着してくる”弟”と死なないように奮闘する”兄”の少し甘い物語___
ヤンデレ執着な弟×クールで鈍感な兄
※固定CP
※投稿不定期
※初めの方はヤンデレ要素少なめ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる