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「そう………僕がお願いしてもだめなんだ」
「ああ、ごめん」
これも全て未来の龍のためだと思えば龍の辛そうな声に対する心の痛みも耐えられる。
「わかった……」
「そ、うか」
望んでいた言葉なのにその返事を聞いて辛くなる俺はなんて身勝手なのか。せめて俺が女で他人で………なんて夢物語を考えるほど現実逃避はできない。龍が弟だからこそ俺は大切に思えるのだと思うから。
他人であれば出会ってすらいなかったかもしれないし、俺の彼女のようにバイ菌扱いだったかもしれない。
「せめて理由だけ聞いていい?さっき渡っちゃったけど」
「ああ、それぐらいなら」
理由もわからず龍が嫌なことをさせるのだからそれくらいは話すし、さっきも話そうとしていたのだから抵抗はない。それに龍も納得するかしないかは別として。
そういうわけで俺は彼女に振られてきた理由とそれによって龍の未来を案じたことについてそのまま話した。その話に案の定龍はご機嫌ななめだったが。
「兄さん振るとか意味わかんない。兄さんが僕を優先するのは当たり前なのに……いや、振ってくれたのはいいけど、でも兄さんを振るとか何様だし……僕なら絶対大事にするのに」
ぶつぶつと気にくわないとばかりに並べ立てる言葉に思わず吹き出しそうになったが、まあ兄としては嬉しいものでもありつつ最後の言葉には複雑な思いが渦巻く。
その意味は明らかにそういうことなのだと思うと。ブラコンだっただけならまだよかったかもしれないのにと。
何が龍をそうさせてしまったのかと思うと申し訳なく思う。彼女がいたとはいえ、女にモテるのが当たり前と言えるほどの龍が何故俺なんかに兄弟以上の想いを抱いてしまったのかと。
俺が鈍感ならよかったが、さすがにキスされた時点でそう思うには難しすぎた。海外の挨拶を真似たと言われても口にはしないだろうし。わかんねぇけど。
「そういうわけでまずは風呂も寝るのも全部ひとりでな」
「そ、そんな……!せめて寝るのは一年後……いや、十年後にしよう?」
「いや、高校卒業した後も一緒に寝るつもりだったのか?」
可愛い弟がねだるからと狭いベッドで寝てきたが、もういい年齢だしと兄離れさせる以前から一緒に寝ることに関しては思うところがあった俺にとっては驚きである。
それに一緒に寝る気満々だった辺り龍にとっての兄離れと俺にとっての兄離れに食い違いがあるような気がしてならない。一緒に寝てたら兄離れなんてできると思えないだろ?普通。
「ああ、ごめん」
これも全て未来の龍のためだと思えば龍の辛そうな声に対する心の痛みも耐えられる。
「わかった……」
「そ、うか」
望んでいた言葉なのにその返事を聞いて辛くなる俺はなんて身勝手なのか。せめて俺が女で他人で………なんて夢物語を考えるほど現実逃避はできない。龍が弟だからこそ俺は大切に思えるのだと思うから。
他人であれば出会ってすらいなかったかもしれないし、俺の彼女のようにバイ菌扱いだったかもしれない。
「せめて理由だけ聞いていい?さっき渡っちゃったけど」
「ああ、それぐらいなら」
理由もわからず龍が嫌なことをさせるのだからそれくらいは話すし、さっきも話そうとしていたのだから抵抗はない。それに龍も納得するかしないかは別として。
そういうわけで俺は彼女に振られてきた理由とそれによって龍の未来を案じたことについてそのまま話した。その話に案の定龍はご機嫌ななめだったが。
「兄さん振るとか意味わかんない。兄さんが僕を優先するのは当たり前なのに……いや、振ってくれたのはいいけど、でも兄さんを振るとか何様だし……僕なら絶対大事にするのに」
ぶつぶつと気にくわないとばかりに並べ立てる言葉に思わず吹き出しそうになったが、まあ兄としては嬉しいものでもありつつ最後の言葉には複雑な思いが渦巻く。
その意味は明らかにそういうことなのだと思うと。ブラコンだっただけならまだよかったかもしれないのにと。
何が龍をそうさせてしまったのかと思うと申し訳なく思う。彼女がいたとはいえ、女にモテるのが当たり前と言えるほどの龍が何故俺なんかに兄弟以上の想いを抱いてしまったのかと。
俺が鈍感ならよかったが、さすがにキスされた時点でそう思うには難しすぎた。海外の挨拶を真似たと言われても口にはしないだろうし。わかんねぇけど。
「そういうわけでまずは風呂も寝るのも全部ひとりでな」
「そ、そんな……!せめて寝るのは一年後……いや、十年後にしよう?」
「いや、高校卒業した後も一緒に寝るつもりだったのか?」
可愛い弟がねだるからと狭いベッドで寝てきたが、もういい年齢だしと兄離れさせる以前から一緒に寝ることに関しては思うところがあった俺にとっては驚きである。
それに一緒に寝る気満々だった辺り龍にとっての兄離れと俺にとっての兄離れに食い違いがあるような気がしてならない。一緒に寝てたら兄離れなんてできると思えないだろ?普通。
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