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「そういうわけで制服も買えるし、私服も僕が兄さんに似合うものを見繕うから安心して」

「まあ、それなら……」

いや、いいのか?それ。でも龍がしたいことだし……なぁ。

「で、他は?」

なんて思っていれば拒否はさせないとばかりの圧で同じ質問をされる。とはいえ、実はこれ以上は進む前に破局してるので問題はない。

「キス以上はしてない。その前に振られてきたから」

「そう!よかった!兄さんがこれ以上汚されてるかと思ったら気が気じゃなかったよ!」

あ、いつもの龍に戻った………と思うほどに笑顔満点の龍は身長の高いイケメンだろうとやはり可愛く思える。先程の出来事を踏まえても。

ほっとするのも束の間、すぐに唇に何かが触れた。

「へ?」

「これで兄さんのファーストキスは僕だね」

「え、ちょ!えぇぇ?」

何かがというか龍の、龍の唇が俺の唇に……あはは……俺のファーストキスは弟に奪われたようです。いや、笑えねぇよ?これ、ブラコンじゃ済まなくね?

「ああ……っ兄さん顔赤くして可愛すぎだよ」

「な、なんか、龍、いつもと違いすぎないか?」

いつも龍に戻ったとか言ったやつ誰だよ!違いすぎだよ!うちの弟はこんなに色気出す子じゃありません!

「反抗期真っ最中だから」

「あーなるほ……どってならないからな?」

こんな反抗期あってたまるか!兄にきききキスする反抗期ってなんだよ!龍はお兄ちゃんの心臓壊す気ですか!?

「……納得しなくてもいいよ。でも何がなんでも兄離れなんて僕絶対しないから」

「龍……」

そんなに固くなになるほど兄離れが嫌なのか……。そんな辛そうな顔されたら俺の決意も揺るぎそうだ。だが、思った以上に龍は重症なのがわかる。

俺を好きなだけならともかくその好きにはどうも俺が弟を好きとは違う気持ちが入っている気がしてならない。ブラコンでは片付けられない気持ちが龍の中にはあるんじゃないだろうか?

もしそうならそれこそ諦めてもらわなければ。軽蔑とかは絶対しないが、その想いに俺は答えられないから。弟の願いだからと受け入れてもその幸せは一時にしか過ぎないだろう。

そんなの余計に龍を傷つけるだけだ。

「兄さんずっと傍にいてよ……兄離れしろとか言わないで……僕は兄さんのことがずっと」

「だめだ、龍」

「兄さん……」

「俺が甘やかしすぎたせいだな。決してお前の気持ちが嫌な訳じゃないけど答えられないし、その先は一番お前の未来を傷つけるものにしかならない。だから距離をとろう……な?」

声が震えてなかっただろうか?龍をできるだけ傷つけないやり方で言えただろうか?なんて思考をぐるぐるさせながら俺は言い切った。
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