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4章
一人でダメなら
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「で、どうしたら?」
視線は遊びの神に集まる。自信ありげにドヤ顔なので、どうにも緊張感が・・・。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!を使うんだよ!とりあえず願えばいい」
「え?」
「それだけか?」
「遊びの神、あまりにも・・・」
願えばいいなんて結局・・・。
「規則の神、おれちゃんにとってこれはゲームで、遊び。けど、遊びの神だからこそ本気だよ?遊びの神は負けたら神じゃないんだ。それこそ提示した条件で失敗したらおれちゃん神の資格なしで消えちゃうし」
「そんなことあるの?」
「神にも色々あるのさ!まあ、今はそんなことよりスキル発動して願いな。で、もし成功したなら全の神を癒してやれ。全の神がお前さんを抱えたがるのは自分を保てる癒しになり得たからだろう。まあそれでも、抑える力が強まった程度だろうけど」
「私は何をすればカミサマを助けられる?」
「お前はユージンちゃんが飲み込まれないようにしてやりな。友達なんだ、支えになってやれ。それは神も何も関係ない。友達であるお前だからこそできることだ」
「ユージン、私もついている。だからカミサマを助けよう」
「うん」
大丈夫、俺はひとりじゃない。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!お願い神様を助けて!黒いもやから救って!」
黒いもやに変化はない。何が、何がだめなの?どうしていいかわからずただ、手を黒いもやに翳してみるも何も状況は変わらない。
「遊びの神どういうことだい?」
「・・・おれちゃんが消えないからやり方は間違ってない。選択肢が正解だからこそ何か微妙に間違えている可能性があるな」
正解だけど間違い?願えば黒いもやをなんとかできるということ?
「ユージン、もしかするとサポートだから願うだけで神様を助けられるわけじゃないんじゃないか?」
「どうサポートするか願って実行しろと言うことか!おれちゃんとしたことが迂闊!」
「このスキル遊びの神が名前作ったんじゃ・・・?」
「元々のスキル名をいじくっただけで効果はわからなかったからなぁ」
元名なんだったんだろ?まあ、今は考えても仕方ない。なら、どうやったら神様を救えるか考えないと。神様が抑えられなかった欲の分を俺にとも思ったけど、これじゃ解決にはならない。
なら、欲をなくしてしまうのが一番。神様が減らすことのできなかったこれらを消せるのかはわからないけど、物は試しだ。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!黒いもやを消す力を!」
黒いもやを消すイメージをしてみてもだめだ。失敗したんだろうか?いや、もしかしたら直接触る必要がある可能性もある。
「ユージン!?何を!」
規則の神の慌てた声。それもそうだ。俺は神の領域から出たのだから。次第に黒いもやに包まれる。
「これは・・・っ」
結果成功している。でも両手部分に触れた黒いもやのみが消えていくだけ。他の部分は俺を逃がさないとばかりに視界を真っ暗にさせ、まとわりつく。
洞窟の壁を伝いながら奥に進んではみるが、次第に声が聞こえる。
『死にたい・・・なんでお姉ちゃんじゃなくて私が生きてるの?お姉ちゃんを返して』
『僕は好きで捨てられたわけじゃない。なんで周りは僕をいじめる?放っておいてくれ!』
『助けて!痛い!痛い!痛い!こんな毎日ならもう死なせてっ!』
理不尽な人生にこうしてくれと漂う欲の声が聞こえる。不幸の中で生まれた欲を感じて身体が重く感じる。神様はこれをずっと抑えていたんだ。辛い声ばかりで、前世のことを思い出しそうになる。
でも忘れたいなんて願わない。それも欲だ。それに、前世があって今がある。神様と出会えたことは幸運で、そのための前世なら悪くないなんて思える。
「今できた幸せは神様のおかげ。神様と一緒に過ごしてきた幸せで神様を助けたいという欲を今神様は感じてくれてる?」
真っ暗な中でぶつかった何か。神様しかありえない。抱き締めるほど大きくない俺は抱きつく形になるけど、神様にたくさん感謝をする。
友達になってくれてありがとう
友達でいてくれてありがとう
一緒にいてくれてありがとう
幸せをありがとう
両手だけじゃ黒いもやは消えない。少しずつ消えてはいるけど、神様から出て増えてもいる。神様は喋らない。神様のぬくもりを感じるのに、黒いもやでおかしくなってしまったのかもしれない。
「神様よくがんばりました」
ねぇ、今はこれからのことを考えることにしよう。神様はひとりでたくさん抱えた。ひとりじゃ神様だって難しいことはある。
人にはふれあい、ささえあい、たすけあいって愛にあふれた言葉があるんだよ。なんか恥ずかしいけど、神様ひとりでダメなら二人で考えよう。二人でもダメなら三人、四人ってアーカみたいな人や規則の神、遊びの神みたいな他の神様に頼るのもいいね。
いくら神様の頂点でも、何もひとりで頑張る必要はないんだから。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!神様の抑えきれない欲を俺に」
「だ、め・・・ゆー、じん」
「友達を助けるのはだめじゃないよ」
その言葉を最後に、たくさんの重いものが流れ込むのを感じ、意識もついには保てなくなった。
視線は遊びの神に集まる。自信ありげにドヤ顔なので、どうにも緊張感が・・・。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!を使うんだよ!とりあえず願えばいい」
「え?」
「それだけか?」
「遊びの神、あまりにも・・・」
願えばいいなんて結局・・・。
「規則の神、おれちゃんにとってこれはゲームで、遊び。けど、遊びの神だからこそ本気だよ?遊びの神は負けたら神じゃないんだ。それこそ提示した条件で失敗したらおれちゃん神の資格なしで消えちゃうし」
「そんなことあるの?」
「神にも色々あるのさ!まあ、今はそんなことよりスキル発動して願いな。で、もし成功したなら全の神を癒してやれ。全の神がお前さんを抱えたがるのは自分を保てる癒しになり得たからだろう。まあそれでも、抑える力が強まった程度だろうけど」
「私は何をすればカミサマを助けられる?」
「お前はユージンちゃんが飲み込まれないようにしてやりな。友達なんだ、支えになってやれ。それは神も何も関係ない。友達であるお前だからこそできることだ」
「ユージン、私もついている。だからカミサマを助けよう」
「うん」
大丈夫、俺はひとりじゃない。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!お願い神様を助けて!黒いもやから救って!」
黒いもやに変化はない。何が、何がだめなの?どうしていいかわからずただ、手を黒いもやに翳してみるも何も状況は変わらない。
「遊びの神どういうことだい?」
「・・・おれちゃんが消えないからやり方は間違ってない。選択肢が正解だからこそ何か微妙に間違えている可能性があるな」
正解だけど間違い?願えば黒いもやをなんとかできるということ?
「ユージン、もしかするとサポートだから願うだけで神様を助けられるわけじゃないんじゃないか?」
「どうサポートするか願って実行しろと言うことか!おれちゃんとしたことが迂闊!」
「このスキル遊びの神が名前作ったんじゃ・・・?」
「元々のスキル名をいじくっただけで効果はわからなかったからなぁ」
元名なんだったんだろ?まあ、今は考えても仕方ない。なら、どうやったら神様を救えるか考えないと。神様が抑えられなかった欲の分を俺にとも思ったけど、これじゃ解決にはならない。
なら、欲をなくしてしまうのが一番。神様が減らすことのできなかったこれらを消せるのかはわからないけど、物は試しだ。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!黒いもやを消す力を!」
黒いもやを消すイメージをしてみてもだめだ。失敗したんだろうか?いや、もしかしたら直接触る必要がある可能性もある。
「ユージン!?何を!」
規則の神の慌てた声。それもそうだ。俺は神の領域から出たのだから。次第に黒いもやに包まれる。
「これは・・・っ」
結果成功している。でも両手部分に触れた黒いもやのみが消えていくだけ。他の部分は俺を逃がさないとばかりに視界を真っ暗にさせ、まとわりつく。
洞窟の壁を伝いながら奥に進んではみるが、次第に声が聞こえる。
『死にたい・・・なんでお姉ちゃんじゃなくて私が生きてるの?お姉ちゃんを返して』
『僕は好きで捨てられたわけじゃない。なんで周りは僕をいじめる?放っておいてくれ!』
『助けて!痛い!痛い!痛い!こんな毎日ならもう死なせてっ!』
理不尽な人生にこうしてくれと漂う欲の声が聞こえる。不幸の中で生まれた欲を感じて身体が重く感じる。神様はこれをずっと抑えていたんだ。辛い声ばかりで、前世のことを思い出しそうになる。
でも忘れたいなんて願わない。それも欲だ。それに、前世があって今がある。神様と出会えたことは幸運で、そのための前世なら悪くないなんて思える。
「今できた幸せは神様のおかげ。神様と一緒に過ごしてきた幸せで神様を助けたいという欲を今神様は感じてくれてる?」
真っ暗な中でぶつかった何か。神様しかありえない。抱き締めるほど大きくない俺は抱きつく形になるけど、神様にたくさん感謝をする。
友達になってくれてありがとう
友達でいてくれてありがとう
一緒にいてくれてありがとう
幸せをありがとう
両手だけじゃ黒いもやは消えない。少しずつ消えてはいるけど、神様から出て増えてもいる。神様は喋らない。神様のぬくもりを感じるのに、黒いもやでおかしくなってしまったのかもしれない。
「神様よくがんばりました」
ねぇ、今はこれからのことを考えることにしよう。神様はひとりでたくさん抱えた。ひとりじゃ神様だって難しいことはある。
人にはふれあい、ささえあい、たすけあいって愛にあふれた言葉があるんだよ。なんか恥ずかしいけど、神様ひとりでダメなら二人で考えよう。二人でもダメなら三人、四人ってアーカみたいな人や規則の神、遊びの神みたいな他の神様に頼るのもいいね。
いくら神様の頂点でも、何もひとりで頑張る必要はないんだから。
「願えば叶う!カミサマさぽーとっ!神様の抑えきれない欲を俺に」
「だ、め・・・ゆー、じん」
「友達を助けるのはだめじゃないよ」
その言葉を最後に、たくさんの重いものが流れ込むのを感じ、意識もついには保てなくなった。
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