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4章
嵐の前
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洞窟に着くのは早く、中に入るもすぐに出た。宝石の影響で凶暴化した魔物の群れに、俺を抱えながらは厳しいと判断した神様は、洞窟の外に俺を置いていくことにしたようだ。
「神でありながら情けないけど、あれだけいるとすぐに処理ができない。ユージンをひとりにするのは心配だけど、にゃあがいれば多少は大丈夫のはず・・・もし、どうしようもなくなったらスキルを使って僕を呼んで」
「うん」
「じゃあ、行くけど、にゃあと離れないようにね?もし怖くなったりしても呼んでいいからね?ここで待ってて」
「神様、も、気を、つけて」
「うん、ありがとう!」
神様はにゃあちゃんを俺に抱えさせ、何度もちらちらこちらを見ながら洞窟へ入っていった。神様の方が危険なのに、俺は心配ばかりさせて嫌になる。
「にゃあちゃん、どうしようか・・・」
「にゃあ」
王都の戦いを見た限り、そんなのが群れでいたら神様とはいえ、大変なのはわかる。でも殺せば願いを叶えなくちゃいけなくなるはずなのに、魔物は殺しても大丈夫なんだろうか?そこらへんはまた違うのかもしれない。今度聞いてみよう。
にしても、ただ待つだけほど暇なことはない。こんなところ誰も・・・。
「君、こんなところでどうしたんだい?」
どどどどうしよう!?誰!?
「う・・・あう・・・」
「にぃぃっ」
「猫の騎士かな?私は怪しい者ではないよ。」
「にゃあ?」
にゃあちゃんがどうしたらいいかって俺を見てる。今は神様もいない。にゃあちゃんも攻撃してこない相手にどうしていいかわからない。俺が、俺がお話しないと。
「かみ、さま・・・待って・・・あ・・・はぁっげほっ」
「にゃあ?にゃにゃあ!」
「過呼吸?君、落ち着くんだ!」
神様、神様、俺、神様いないと、神様が・・・神様助けて・・・。
息が苦しくて、気がつけば俺は意識が遠くなっていく。倒れていく身体は神様とは違う温かみに包まれたのを最後に感じた。
『そのしゃべり方腹立つんだよ!』
ごめんなさい、ごめんなさい!喋らないから許して!
『なんか喋れよ!あ、喋ってもうぜぇからいいや』
どうしたら、どうしたらいいの?
『死ねばいいのに』
・・・死ぬのは怖いんだ。何度も何度も死のうとした。だから本当は死ねた瞬間安心したんだ。辛い日々から解放されるって。
あれ、俺は死んだはず・・・違う、神様が転生させてくれたんだ。
『君は僕を頼ることしかできないね?』
神様?
『君のお守りは疲れたよ』
神様、俺たちは友達・・・
『友達?お守りをすることが?』
ち、違う、そんなつもり・・・
『でも君は足手まといでしかないじゃない。』
そうだ。俺は足手まとい。でも神様と一緒にいたい気持ちは嘘じゃない。友達であるのも・・・
『君、僕の邪魔してるだけじゃない。』
邪魔・・・
『それに待ってって言ったのに、待てもしないんだね?』
え?違う、俺は神様を待ってるよ!
『今、君のいる場所は洞窟の外じゃない。さよならだね、ユージン』
待って、行かないで!
「神様!」
「にゃ!」
「にゃあちゃん?ここは、ここはどこ?」
洞窟の外じゃない。建物の中。どこかの街か村の中?なんで、なんで?俺は洞窟の外で神様を待たなきゃいけないのに!
「おや、起きたかい?」
この人は洞窟の外で会った・・・。この人が、俺をここに?
「ど、洞窟、行かないと!」
頭がふらふらする。けど、神様のところへ行かないと!どれくらい寝ていたんだろう?もう、神様に置いてかれていたら・・・っ
「落ち着いて!君、熱があるんだから!」
「かみ、さま・・・神様のとこ・・・行かなきゃ」
「にゃあ・・・」
「にゃあちゃん、神様のとこ、わかる?」
「にゃ!」
なら、大丈夫。早く行かないと。
「行かせないよ。私は君を保護したものとして責任が・・・」
「俺は頼んでない!」
「子供がひとりでどこにいく気だい?あの洞窟に戻るつもりなら私は行かせない。」
「なんで、なんで邪魔するの!」
「にぃぃっ!にゃあ!」
「なっ!」
にゃあちゃんが、俺の邪魔をする人を吹き飛ばす。俺の敵と判断したんだろうか。
「にゃあちゃん、行こう!あれ・・・」
「にゃあ!?」
「だめ・・・だよ。子供、ひとりで・・・」
「にゃあ、にゃー」
「にゃあちゃん、身体が・・・動かない」
身体が重くて、ベットから降りた瞬間座り込んでしまった。なんだろう。この人が何かしたの?
「熱があると、言っただろう・・・いてて・・・っせめて熱が下がるまでは大人しく保護されてくれないかな?」
「にゃあ・・・」
にゃあちゃんも心配させて俺は本当にだめだな。熱だから変な夢を見たのかもしれない。大丈夫。神様はそんな人じゃない・・・。あ、神様は人じゃないか。
「ごめん、なさい・・・」
「急に知らない場所にいれば混乱もするさ。今は安静にね」
俺を抱き上げてベットに寝かせてくれる。神様、熱が下がったらすぐ洞窟に戻るから、置いていかないでね・・・。
まさか、魔物を片付け、宝石を手に入れた神様が洞窟の外にいない俺を探して、世界を巻き込む大惨事になるなんて思いもしなかった。
「神でありながら情けないけど、あれだけいるとすぐに処理ができない。ユージンをひとりにするのは心配だけど、にゃあがいれば多少は大丈夫のはず・・・もし、どうしようもなくなったらスキルを使って僕を呼んで」
「うん」
「じゃあ、行くけど、にゃあと離れないようにね?もし怖くなったりしても呼んでいいからね?ここで待ってて」
「神様、も、気を、つけて」
「うん、ありがとう!」
神様はにゃあちゃんを俺に抱えさせ、何度もちらちらこちらを見ながら洞窟へ入っていった。神様の方が危険なのに、俺は心配ばかりさせて嫌になる。
「にゃあちゃん、どうしようか・・・」
「にゃあ」
王都の戦いを見た限り、そんなのが群れでいたら神様とはいえ、大変なのはわかる。でも殺せば願いを叶えなくちゃいけなくなるはずなのに、魔物は殺しても大丈夫なんだろうか?そこらへんはまた違うのかもしれない。今度聞いてみよう。
にしても、ただ待つだけほど暇なことはない。こんなところ誰も・・・。
「君、こんなところでどうしたんだい?」
どどどどうしよう!?誰!?
「う・・・あう・・・」
「にぃぃっ」
「猫の騎士かな?私は怪しい者ではないよ。」
「にゃあ?」
にゃあちゃんがどうしたらいいかって俺を見てる。今は神様もいない。にゃあちゃんも攻撃してこない相手にどうしていいかわからない。俺が、俺がお話しないと。
「かみ、さま・・・待って・・・あ・・・はぁっげほっ」
「にゃあ?にゃにゃあ!」
「過呼吸?君、落ち着くんだ!」
神様、神様、俺、神様いないと、神様が・・・神様助けて・・・。
息が苦しくて、気がつけば俺は意識が遠くなっていく。倒れていく身体は神様とは違う温かみに包まれたのを最後に感じた。
『そのしゃべり方腹立つんだよ!』
ごめんなさい、ごめんなさい!喋らないから許して!
『なんか喋れよ!あ、喋ってもうぜぇからいいや』
どうしたら、どうしたらいいの?
『死ねばいいのに』
・・・死ぬのは怖いんだ。何度も何度も死のうとした。だから本当は死ねた瞬間安心したんだ。辛い日々から解放されるって。
あれ、俺は死んだはず・・・違う、神様が転生させてくれたんだ。
『君は僕を頼ることしかできないね?』
神様?
『君のお守りは疲れたよ』
神様、俺たちは友達・・・
『友達?お守りをすることが?』
ち、違う、そんなつもり・・・
『でも君は足手まといでしかないじゃない。』
そうだ。俺は足手まとい。でも神様と一緒にいたい気持ちは嘘じゃない。友達であるのも・・・
『君、僕の邪魔してるだけじゃない。』
邪魔・・・
『それに待ってって言ったのに、待てもしないんだね?』
え?違う、俺は神様を待ってるよ!
『今、君のいる場所は洞窟の外じゃない。さよならだね、ユージン』
待って、行かないで!
「神様!」
「にゃ!」
「にゃあちゃん?ここは、ここはどこ?」
洞窟の外じゃない。建物の中。どこかの街か村の中?なんで、なんで?俺は洞窟の外で神様を待たなきゃいけないのに!
「おや、起きたかい?」
この人は洞窟の外で会った・・・。この人が、俺をここに?
「ど、洞窟、行かないと!」
頭がふらふらする。けど、神様のところへ行かないと!どれくらい寝ていたんだろう?もう、神様に置いてかれていたら・・・っ
「落ち着いて!君、熱があるんだから!」
「かみ、さま・・・神様のとこ・・・行かなきゃ」
「にゃあ・・・」
「にゃあちゃん、神様のとこ、わかる?」
「にゃ!」
なら、大丈夫。早く行かないと。
「行かせないよ。私は君を保護したものとして責任が・・・」
「俺は頼んでない!」
「子供がひとりでどこにいく気だい?あの洞窟に戻るつもりなら私は行かせない。」
「なんで、なんで邪魔するの!」
「にぃぃっ!にゃあ!」
「なっ!」
にゃあちゃんが、俺の邪魔をする人を吹き飛ばす。俺の敵と判断したんだろうか。
「にゃあちゃん、行こう!あれ・・・」
「にゃあ!?」
「だめ・・・だよ。子供、ひとりで・・・」
「にゃあ、にゃー」
「にゃあちゃん、身体が・・・動かない」
身体が重くて、ベットから降りた瞬間座り込んでしまった。なんだろう。この人が何かしたの?
「熱があると、言っただろう・・・いてて・・・っせめて熱が下がるまでは大人しく保護されてくれないかな?」
「にゃあ・・・」
にゃあちゃんも心配させて俺は本当にだめだな。熱だから変な夢を見たのかもしれない。大丈夫。神様はそんな人じゃない・・・。あ、神様は人じゃないか。
「ごめん、なさい・・・」
「急に知らない場所にいれば混乱もするさ。今は安静にね」
俺を抱き上げてベットに寝かせてくれる。神様、熱が下がったらすぐ洞窟に戻るから、置いていかないでね・・・。
まさか、魔物を片付け、宝石を手に入れた神様が洞窟の外にいない俺を探して、世界を巻き込む大惨事になるなんて思いもしなかった。
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