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1章

神様に殺されました

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「いってきます」

返ってこない言葉を気にせず今日も学校へ。行くも地獄、帰るも地獄。今のお世話になっている親戚はお酒を飲むと人が変わり、暴力者になる。

俺はその生け贄となり、毎日お酒を飲む人なので、今日も顔と身体は傷だらけ、学校へ行けばさらに増えることだろう。

ジロジロと見られても誰も助けてはくれない。人と話すことに飢えた俺だが、うまく話せず人をいらいらさせてしまう。

『何かあったの?怪我大丈夫?』

『あ・・・その・・・』

そう聞かれたこともあったが急にかけられた声に混乱して言葉が出ず、最終的に。

『私がいじめてるみたいじゃない、感じ悪いわね』

という感じになり、いつしか悪いのは俺のように見られている。こんな時俺を理解する友達がいれば庇ってくれたんだろうか。

そんな甘い妄想に囚われる。

気がつけば学校で、まだ俺をいじめる中心人物が来ていないため、軽く息を吐き、席に座る。この間は孤立こそしているが、何も起こらない安息の時間。

この時間で、いつか友達ができたとき少しでも自分から話題を出せるようにとクラスメイトの話を盗み聞きする毎日。

「最近はまってる本があってさ、冒頭で願い事なんでも叶えるみたいな展開があったんだけど、お前らならなんて言う?」

「回数無制限とか、か?」

「さすがにそれなし!」

「ずるすぎだろ、それ!俺なら億万長者とか?」

「ありきたり。モテるとか」

「それもありきたりじゃね?」

願い事、なんでもか・・・俺なら友達がほしい。いや、いっそ友達になってくださいの方が通るだろうか?友達がほしいなんて言われたら探すの大変だろうし。

でも友達になってくださいも叶える方からして迷惑だろうか?でも言うだけならただだよなぁ。

そんな盗み聞きをした罰だろうか、いじめの中心人物が来て安息の時間は終わりを告げ、授業も終わり、気がつけば放課後。

いつもなら公園で時間を潰して安息の時間を増やすのに費やしたがそうはいかなかった。なぜなら赤信号を無視したトラックが俺に向かってくるのだから。

ああ、友達がいないまま人生が終わるのか。目を瞑って衝撃に耐えるつもりが中々来ない。

不思議に思い目を開けると、目の前には見たこともないイケメンの青年。もさっとした俺とは大違い。

顔だけでなく、背も高ければスタイルもいい。あまりの綺麗さに見惚れてしまうほどに神々しいオーラを感じる。

「あー、僕神様ね。質問は聞かない。間違えて君殺しちゃったんだよね。悪いとは思わないけど?神の失敗はお詫びする決まりだから、あの世界で生き返る以外なら1つなんでも叶えてあげる。」

「と、友達になってください!」

「は?」

声も聞き惚れるほどのいい声で、聞き逃さないとばかりに聞いてみれば、なんでも叶えると夢の話が。

これだけ綺麗なら神様と言われて疑う気にもならない。俺は神様に殺されてしまったらしいが、気にならない。だって死んだおかげで友達ができるかもしれないのだから。
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