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「すまなかった」
大泣きした私に謝罪したのはダメンズでもリの人でもなくて第二王子殿下だった。しかも人前で私の泣き顔を隠すかのように前から抱き締めて。
「な……に」
いきなりのことに驚きを隠せない。でも涙も止まらないし、どうしていいかわからないしで私は混乱した。
「私は君と婚約したいがために君の婚約者を脅すか、殺すかとそういうことばかり考えていた」
「ひぃ……っ」
急に何やら語り始めた第二王子殿下の言葉にダメンズの小さな悲鳴が聞こえたが、私は第二王子殿下の言葉に耳を傾ける。
「しかし、私が本当にすべきだったことは……私の欲よりも君の心の支えになるべきだったと今ならわかる。ずっと我慢させてきてすまない」
「……っで、んかは……おかし、い……です……っへん、です………っ」
「お、おかしくて、へ、変か……」
別に今回のことにおいて第二王子殿下に非はないし、私なんかに想いを寄せる第二王子殿下はおかしいと思う。なんなら、想いがあるからと見守る行為は普通ならしない。
ショックを受けてるみたいですが、こればかりは不敬罪になったとしても訂正する気にはなれなかった。もう私は我慢したくないし、素直になれない自分が嫌で嫌で仕方なかったから。
本音をぶつけるなんて今までで初めてのこと。嫌な婚約も、嫌な婚約者のことも、嫌な陰口も全部嫌だとも、否定もしてこなかったのだから。
仕方がない……仕方ないんだ。これが貴族に生まれた運命だから……って。
「いやー、雰囲気壊すようで悪いけど、この男、私にくれないかなぁ?」
「兄上……」
そんな中突如私の思考どころか場の雰囲気も気にしない声が響き渡る。それに呆れたような声を出したのは第二王子殿下で、兄上という言葉から相手の正体が第二王子殿下の胸板で顔は見えないものの、第一王子殿下であることがわかった。
「第一王子殿下、私……っ!」
「あ、よく見たら君にも用があったよ……誰かわかんなくて調べて探すところだったからちょうどいいや。弟よ、この男と、この女……私にくれるよね?」
「え?そんな……私」
女の声はリの人。もしかしなくても男とはダメンズのことだろうか?先程から声が聞こえないけれど。リの人の何か期待するかのような声が煩わしい。思わずその苛立った気持ちを第二王子殿下の服を掴むことで無意識に抑えようとした自分に気づき、はっとして離すも気づかれないわけもなく第二王子殿下がこちらを見下げて大丈夫というように微笑まれ、とたんに苛立ちがすっと消え落ち着く自分がいる。
そしてそんな私を見た後、第二王子殿下は私を抱き締めたまま後ろに振り向く。恐らく第一王子殿下の問いに答えるべくそちらに目を向けているのだろう。
「私としては然るべき対応をしていただけるなら構いません。後、ユリの傷がつかないよう婚約も解消していただければ」
「可愛い弟の妻になる女性に傷なんかつけないさ。ただね、私のエミリーをね、この男は口説いたあげく、振られるとエミリーに対して暴言を吐き、暴力を行ったと聞いてね。おかげでエミリーの手首は真っ赤。さらにはその女にもあらぬことを言われ、エミリーの頬に傷をつけたんだ……許せない、許せないよねぇ?特徴がエミリーの言ってた女と似ているから絶対間違いないよ……ははっ本当私が外交に行って見守れない間によくもエミリーを傷つけてくれたものだよね。怖がるエミリーも可愛いけど私以外を忘れられず怖がるエミリーじゃだめなんだよ……。私だけを、私だけを見てくれないと……!ねぇ!そうだよねぇ!?」
「ひ……っわ、わた、私、私じゃ……!」
「……?」
さっきからリの人からしか声が聞こえず不思議に思っていればそっと第二王子殿下から頭を撫でられた。
「あれは気絶している。私が殺気を放ちすぎたかもしれない」
どうやら私の気持ちを察してダメンズの状態を教えてくれたようだ。気絶してたのか……というより、私はいつまで抱き締められているんだろう?だんだん落ち着いてきてから恥ずかしくなってきたのだけど……。
「君じゃなくても私の義理の妹になる人を貶めようとした罪は償わないと……ねえ?」
「私、私は、私は……っ!悪くないわよー!」
「衛兵、罪人を逃がすな。兄上も落ち着け」
「いやあっ!離して!離してよー!」
さっきからスルーしていたけど、第一王子殿下の言う弟の妻とか、義理の妹って私じゃないよね?なんて考えていればリの人が叫び、逃げようとしたのだろう。第二王子殿下がすぐさま衛兵を呼び、リの人があっという間に捕まったのが言葉からしてわかる。
大泣きした私に謝罪したのはダメンズでもリの人でもなくて第二王子殿下だった。しかも人前で私の泣き顔を隠すかのように前から抱き締めて。
「な……に」
いきなりのことに驚きを隠せない。でも涙も止まらないし、どうしていいかわからないしで私は混乱した。
「私は君と婚約したいがために君の婚約者を脅すか、殺すかとそういうことばかり考えていた」
「ひぃ……っ」
急に何やら語り始めた第二王子殿下の言葉にダメンズの小さな悲鳴が聞こえたが、私は第二王子殿下の言葉に耳を傾ける。
「しかし、私が本当にすべきだったことは……私の欲よりも君の心の支えになるべきだったと今ならわかる。ずっと我慢させてきてすまない」
「……っで、んかは……おかし、い……です……っへん、です………っ」
「お、おかしくて、へ、変か……」
別に今回のことにおいて第二王子殿下に非はないし、私なんかに想いを寄せる第二王子殿下はおかしいと思う。なんなら、想いがあるからと見守る行為は普通ならしない。
ショックを受けてるみたいですが、こればかりは不敬罪になったとしても訂正する気にはなれなかった。もう私は我慢したくないし、素直になれない自分が嫌で嫌で仕方なかったから。
本音をぶつけるなんて今までで初めてのこと。嫌な婚約も、嫌な婚約者のことも、嫌な陰口も全部嫌だとも、否定もしてこなかったのだから。
仕方がない……仕方ないんだ。これが貴族に生まれた運命だから……って。
「いやー、雰囲気壊すようで悪いけど、この男、私にくれないかなぁ?」
「兄上……」
そんな中突如私の思考どころか場の雰囲気も気にしない声が響き渡る。それに呆れたような声を出したのは第二王子殿下で、兄上という言葉から相手の正体が第二王子殿下の胸板で顔は見えないものの、第一王子殿下であることがわかった。
「第一王子殿下、私……っ!」
「あ、よく見たら君にも用があったよ……誰かわかんなくて調べて探すところだったからちょうどいいや。弟よ、この男と、この女……私にくれるよね?」
「え?そんな……私」
女の声はリの人。もしかしなくても男とはダメンズのことだろうか?先程から声が聞こえないけれど。リの人の何か期待するかのような声が煩わしい。思わずその苛立った気持ちを第二王子殿下の服を掴むことで無意識に抑えようとした自分に気づき、はっとして離すも気づかれないわけもなく第二王子殿下がこちらを見下げて大丈夫というように微笑まれ、とたんに苛立ちがすっと消え落ち着く自分がいる。
そしてそんな私を見た後、第二王子殿下は私を抱き締めたまま後ろに振り向く。恐らく第一王子殿下の問いに答えるべくそちらに目を向けているのだろう。
「私としては然るべき対応をしていただけるなら構いません。後、ユリの傷がつかないよう婚約も解消していただければ」
「可愛い弟の妻になる女性に傷なんかつけないさ。ただね、私のエミリーをね、この男は口説いたあげく、振られるとエミリーに対して暴言を吐き、暴力を行ったと聞いてね。おかげでエミリーの手首は真っ赤。さらにはその女にもあらぬことを言われ、エミリーの頬に傷をつけたんだ……許せない、許せないよねぇ?特徴がエミリーの言ってた女と似ているから絶対間違いないよ……ははっ本当私が外交に行って見守れない間によくもエミリーを傷つけてくれたものだよね。怖がるエミリーも可愛いけど私以外を忘れられず怖がるエミリーじゃだめなんだよ……。私だけを、私だけを見てくれないと……!ねぇ!そうだよねぇ!?」
「ひ……っわ、わた、私、私じゃ……!」
「……?」
さっきからリの人からしか声が聞こえず不思議に思っていればそっと第二王子殿下から頭を撫でられた。
「あれは気絶している。私が殺気を放ちすぎたかもしれない」
どうやら私の気持ちを察してダメンズの状態を教えてくれたようだ。気絶してたのか……というより、私はいつまで抱き締められているんだろう?だんだん落ち着いてきてから恥ずかしくなってきたのだけど……。
「君じゃなくても私の義理の妹になる人を貶めようとした罪は償わないと……ねえ?」
「私、私は、私は……っ!悪くないわよー!」
「衛兵、罪人を逃がすな。兄上も落ち着け」
「いやあっ!離して!離してよー!」
さっきからスルーしていたけど、第一王子殿下の言う弟の妻とか、義理の妹って私じゃないよね?なんて考えていればリの人が叫び、逃げようとしたのだろう。第二王子殿下がすぐさま衛兵を呼び、リの人があっという間に捕まったのが言葉からしてわかる。
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