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「まずは証言として私は常に私の信用できる密偵をひとりユリにつけていた。私は異性だからな、さすがに婚約者にいつかなるとはいえお花摘みにまでついていくわけにはいかない。そこは同じ女性に頼んでいたから問題はない」

問題しかないような気がしてならないのですが……第二王子って私を助けようとしてるんですよね?辱しめようとしてるわけじゃないですよね?

「寮や家については……秘匿しよう。色々問題になる。しかし、ユリは常にひとりで勉強や休憩の睡眠、時に可愛らしい唇にお菓子を持っていき美味しそうに食べる姿は惚れ惚れした」

既に問題だらけですが……?え?私プライベート守られてますか?今とても恥ずかしくてならないんですが……!せめて表情ひとつくらい変えませんか?第二王子が不動と言われるわけがわかる瞬間だった。

言動がおかしいのに、表情だけはぴくりとも動かないのだから。

「とにかく常に私たちに見守られているユリが何かしらしていればすぐにわかること。そして、私は貴様の女については別件で調べていた。男女関係はいざこざの原因になりやすい。ユリがそんなことに巻き込まれてしまえば心優しいユリは言われるがままになるだろう。そのために私が準備をしていた。ユリを守るために……ユリ、助けが遅れたことだけは謝罪する。だが、どうか私を信じてほしい」

「え、あ、はい……?」

「ありがとう。戸惑う君もまた愛おしい」

信じていいのだろうか?これは……信じたら信じたで危ない気が……?でも、私を目にした時に限ってその美形顔で微笑むのは反則だと思う。さっきと同じように無表情ならまだよかった。そんな笑みを見せられたら絆されそうでならない。

私、単純すぎ!美形はずるい!ずるいずるいずるい!

「さて、許しはもらった。まずその女だが、自作自演だ。密偵からその報告を受けている。証拠も写真が何枚とある。これだ」

「こ、これは……リリリリー?これはなんだ!」

「リリーです!じゃなくて……こ、これは、何かの間違えで……」

「間違い?その証拠は?貴様は私第二王子フドウ・ノストーカーの言葉を嘘だと言うのか?その意味はもちろんわかっているはずだが」

「ひ……っそ、それは……」

あっという間に立場は逆転。二人を問い詰める第二王子は素直にかっこいい。だけどそれまでの前振り……と言えばいいのかしら?それだけが余計だったかなって。

私これから普通に過ごせるかがそれはそれで心配になってきた。気のせいか、同情の目が周囲から向けられているような……。そんな目を向けるなら助けてください……この場から。

切実にそう感じた。


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