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どうしよう、どうしよう………そう悩みながらもその様子の僕を死神様にじっと見つめられることで何故か冷静になっていく。ああ、全ての原因なのに死神様を見て落ち着いてくるなんて僕はどうかしている。

どうしたらいいのかなんてどうしようもないじゃないか。だって死神様が死なせないというならどう足掻いても死ねないのだ。僕が自殺しようものなら代わりに他の人が死ぬ、そういうことだろうから。

ああ、もしかして今伝えたのは僕に命を大事にしろということ?いじめられようとどうでもいいと僕が自分を疎かにしていたから?

なんなら今まで僕に危害を加えた人たちばかり殺したのは僕ができるだけ罪の意識に囚われないようにするため?

冷静になるとそう思えて仕方ない。でもそれを伝えて死神様は何がしたいんだろう?既に死んでいる僕に死神様は何を求めているの?やっぱり急に伝えた理由は冷静になってもわからない。

「おい、大丈夫か?」

「………あ」

いや、冷静になってるつもりだっただけだったか。目の前に鎹さんがいたことを忘れていた。この人は心が綺麗らしいから死神様に命を摘み取られることはないんだろうか?今この時点で鎹さんと引き合わせられたのは死神様に何か思惑が?

「大丈夫………そうだな。それと死神様とやらはそこにいるのか?」

「え?」

さっきまで考えていたことが飛ぶようにして驚きの声が出る。だって鎹さんが疑う様子なくまるで死神様は存在するとばかりに聞くから。それに死神様の存在を信じてもらえるなんて思いもしなかった。

「いるのか?」

「あ……うん。ずっと僕の近くを浮いてる」

再度問いかけられたので素直に答える。別にいないなんて嘘をつく意味もないから。

「……そうか。死神様に人殺しをやめるよう言えるか?」

「それは……無理だと思う」

「信じたくねぇが、人の死ぬ運命とやらがあるのか?」

「わからない……けど、死神様は僕を生かすために殺すんだって………」

「お前を?」

なんだか何も考えなくて済むのが楽に思えてきて聞かれるがままに答える。死神様を本当に信じてるかなんて関係ない。信じても信じなくても死神様はいるし、僕が死ねない人生に代わりはないのだから。そうだ、悩まなくてもいい。何も考えず今までどおり生きればいいんだ。

ただ自分が既に死人だと知って少し、そう少し動揺しただけで。

「死神様がなんで僕を生かすのかはわからない。けど死んだ人たちの命は僕の中にあるみたい……僕が命を大事にしなかったらもっともっと人が死んじゃうんだって」

「は………っまるで現実味のない話だな」

「………なんだか、疲れたや」

「おい………?」

ああ、久々に頭をフル回転して疲れちゃったみたいだ。今は寝て頭を休めて目が覚めた時にはいつもどおりの毎日を受け止めないと。そう、いつもどおりの毎日を。
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