6 / 13
6
しおりを挟む
……結局のところベテラン風刑事のおじさん鎹啓司の家に厄介になることとなった。
「あれから色々問い合わせたんだが、おめぇさんを引き取るところがねぇ」
あのあと、どことなく申し訳ない雰囲気を出すのはどう考えても容疑者にまでなった僕を引き取りたくないと言われたためだろう。既に火事で唯一生き残った僕は過去の事件も合わせ、より死神だとメディアが話題にするだろうことは予測できる。
実際、僕ではないが、原因が死神なのは間違いないため、放火と疑った刑事さんたちを責める気はさらさらないけど。
まあそんなわけで僕を疑いかかったことや卒業式のこともあり罪悪感があったのだろう鎹さんが僕を引き取ることになったわけだ。死神さんもそれがいいと呟いてくれたので従うことにした。
「あー、ちらかって悪いが適当に座ってくれ」
これから住むことになる鎹家は賃貸で、ゴミ屋敷とまでは言わないが、仕事で片付ける暇がないのか物が散乱していたりして足場が少ない。せめてもの救いは本当のゴミ……空き缶や燃えるゴミなどは分別されてちゃんと処理してるのだなというのがわかること。
散乱しているのは服や何かしらの資料のようなもので、片付けようと思えば片付けられる程度の散乱状況だった。
「家族はいないんですか……」
「敬語はいい。これから一緒に住むんだからな。家族はいねぇよ……仕事一筋なんでね」
「………そう」
だからこそ簡単に引き取ったのかと思う。家族がいれば僕みたいな得体の知れない人物を引き取るなんてことはしないだろうから。特に僕を誰よりも疑っていた人が。
しかし、家族がいないなら監視目的で引き取ったと思えばわからなくない。別に監視されても困ることはないし。それで死神さんとの会話を減らす気はない。変なやつだと思われ、また疑われても僕は人のために変わる気なんてないのだから。
「あー、食べもんはカップラーメンでいいか?」
「なんでもいい」
「そ、そうか」
素っ気ない僕の態度に鎹さんはやりにくいのか、どこか戸惑う様子で食事の支度を始めた。その間、僕はちらりと死神様を見る。死神様はやっぱりここでも着いてきた。
「このままここで暮らして大丈夫なの?」
『あれの魂は比較的綺麗だ。悪いようにはならない』
「わかった」
死神様は魂を見て人を判断してるのかとここで新事実を知りながらも、死神様がそう言うなら僕はそれに従うことに変わりはなかった。
「おい、シーフードとカレー味どっちがいい」
「どちらでも」
「そ……そうか」
死神様との会話も終わり、鎹さんの問いに対して返答に困るだろう返事をしながら待つこと3分。渡されたのはシーフード味のカップラーメンだった。
「あれから色々問い合わせたんだが、おめぇさんを引き取るところがねぇ」
あのあと、どことなく申し訳ない雰囲気を出すのはどう考えても容疑者にまでなった僕を引き取りたくないと言われたためだろう。既に火事で唯一生き残った僕は過去の事件も合わせ、より死神だとメディアが話題にするだろうことは予測できる。
実際、僕ではないが、原因が死神なのは間違いないため、放火と疑った刑事さんたちを責める気はさらさらないけど。
まあそんなわけで僕を疑いかかったことや卒業式のこともあり罪悪感があったのだろう鎹さんが僕を引き取ることになったわけだ。死神さんもそれがいいと呟いてくれたので従うことにした。
「あー、ちらかって悪いが適当に座ってくれ」
これから住むことになる鎹家は賃貸で、ゴミ屋敷とまでは言わないが、仕事で片付ける暇がないのか物が散乱していたりして足場が少ない。せめてもの救いは本当のゴミ……空き缶や燃えるゴミなどは分別されてちゃんと処理してるのだなというのがわかること。
散乱しているのは服や何かしらの資料のようなもので、片付けようと思えば片付けられる程度の散乱状況だった。
「家族はいないんですか……」
「敬語はいい。これから一緒に住むんだからな。家族はいねぇよ……仕事一筋なんでね」
「………そう」
だからこそ簡単に引き取ったのかと思う。家族がいれば僕みたいな得体の知れない人物を引き取るなんてことはしないだろうから。特に僕を誰よりも疑っていた人が。
しかし、家族がいないなら監視目的で引き取ったと思えばわからなくない。別に監視されても困ることはないし。それで死神さんとの会話を減らす気はない。変なやつだと思われ、また疑われても僕は人のために変わる気なんてないのだから。
「あー、食べもんはカップラーメンでいいか?」
「なんでもいい」
「そ、そうか」
素っ気ない僕の態度に鎹さんはやりにくいのか、どこか戸惑う様子で食事の支度を始めた。その間、僕はちらりと死神様を見る。死神様はやっぱりここでも着いてきた。
「このままここで暮らして大丈夫なの?」
『あれの魂は比較的綺麗だ。悪いようにはならない』
「わかった」
死神様は魂を見て人を判断してるのかとここで新事実を知りながらも、死神様がそう言うなら僕はそれに従うことに変わりはなかった。
「おい、シーフードとカレー味どっちがいい」
「どちらでも」
「そ……そうか」
死神様との会話も終わり、鎹さんの問いに対して返答に困るだろう返事をしながら待つこと3分。渡されたのはシーフード味のカップラーメンだった。
1
お気に入りに追加
309
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる