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……結局のところベテラン風刑事のおじさん鎹啓司かすがいけいじの家に厄介になることとなった。

「あれから色々問い合わせたんだが、おめぇさんを引き取るところがねぇ」

あのあと、どことなく申し訳ない雰囲気を出すのはどう考えても容疑者にまでなった僕を引き取りたくないと言われたためだろう。既に火事で唯一生き残った僕は過去の事件も合わせ、より死神だとメディアが話題にするだろうことは予測できる。

実際、僕ではないが、原因が死神なのは間違いないため、放火と疑った刑事さんたちを責める気はさらさらないけど。

まあそんなわけで僕を疑いかかったことや卒業式のこともあり罪悪感があったのだろう鎹さんが僕を引き取ることになったわけだ。死神さんもそれがいいと呟いてくれたので従うことにした。

「あー、ちらかって悪いが適当に座ってくれ」

これから住むことになる鎹家は賃貸で、ゴミ屋敷とまでは言わないが、仕事で片付ける暇がないのか物が散乱していたりして足場が少ない。せめてもの救いは本当のゴミ……空き缶や燃えるゴミなどは分別されてちゃんと処理してるのだなというのがわかること。

散乱しているのは服や何かしらの資料のようなもので、片付けようと思えば片付けられる程度の散乱状況だった。

「家族はいないんですか……」

「敬語はいい。これから一緒に住むんだからな。家族はいねぇよ……仕事一筋なんでね」

「………そう」

だからこそ簡単に引き取ったのかと思う。家族がいれば僕みたいな得体の知れない人物を引き取るなんてことはしないだろうから。特に僕を誰よりも疑っていた人が。

しかし、家族がいないなら監視目的で引き取ったと思えばわからなくない。別に監視されても困ることはないし。それで死神さんとの会話を減らす気はない。変なやつだと思われ、また疑われても僕は人のために変わる気なんてないのだから。

「あー、食べもんはカップラーメンでいいか?」

「なんでもいい」

「そ、そうか」

素っ気ない僕の態度に鎹さんはやりにくいのか、どこか戸惑う様子で食事の支度を始めた。その間、僕はちらりと死神様を見る。死神様はやっぱりここでも着いてきた。

「このままここで暮らして大丈夫なの?」

『あれの魂は比較的綺麗だ。悪いようにはならない』

「わかった」

死神様は魂を見て人を判断してるのかとここで新事実を知りながらも、死神様がそう言うなら僕はそれに従うことに変わりはなかった。

「おい、シーフードとカレー味どっちがいい」

「どちらでも」

「そ……そうか」

死神様との会話も終わり、鎹さんの問いに対して返答に困るだろう返事をしながら待つこと3分。渡されたのはシーフード味のカップラーメンだった。
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