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「やだ!ママぁ、パパぁ!」

大泣きする優愛を僕はしばらくじっと見ていた。何故優愛だけを死なせずに残したのかはわからないけど優愛がまだ子供だから慈悲を与えたのかもしれないと思い、さてととばかりにようやく電話を手に取る。

「急に苦しむように倒れて………」

ただありのままを話して救急車を呼ぶ。どうせ死んでいるのだろうと確信しながらも意味のない電話を。

救急隊員はすぐに来て二人を搬送していくがこれは……と既に死んでいるのを理解しながらも僕を合わせた子供二人を気遣ってか言わなかった。僕はともかく優愛に対しての対応としては正解だろう。

「君もついてくるかい?」

「いや、いいです」

子供だけを残してはと気遣ってくれたのだろう。既に優愛は夫婦二人を追っていて見えなくなっていた。僕は特にどうでもよかったため首を横に振れば、最後まで僕を気にかけながらも救急隊員は救急車と共に去っていった。

『………あれも殺すか?』

「優愛のこと?」

『女のやつだ』

名前を覚えてないのだろう。もしくは覚える気がなかったのかもしれない。優愛という名前にピンと来ないのか、女と死神様は表した。何故優愛だけ僕に聞くのかと不思議に思いながらも死神様の考えを知ろうとするのは烏滸がましいかと考え直す。

「どうでもいいかな」

だから特に何も考えず素直な気持ちで答えた。優愛が生きようと死のうと僕はどうでもいい。誰が死んだとしても世界が変わるわけでもなく、僕が変わるわけでもないのだから。

『……そうか』

僕の答えに満足したのかしてないのか死神様は僕の発言に対して特に何かを言うことはなかった。

そして後日、親戚夫婦の葬式と共にまたメディアが騒ぐ、同じ子供の周囲で五人目の死がついに出たと。死神の子現れると記事にすらされ、優愛は別の親戚へ引き取られたが僕は施設へと預けられることとなった。

どうせ離れることを見越してあえて優愛を殺さなかったのだろうか?なんて思う。施設に行く僕にやはり死神様は着いてきて結局何も変わらない日常だなんて思う。

変わったのは帰る場所となる施設でも学校と同じように怯えられるというだけ。以前と変わらず周囲を気にする気はないし、死神様を無視する気もない僕は施設でも浮いた。

変なやつ、気味が悪いやつ、死神と……誰ひとり、なんなら施設の先生すら最低限のこと以外で僕に関わろうとしない。それが平和でいいと思う。

僕に下手に関わればみんな死神様に殺されてしまうのだから。でもそれは決して人を案じている訳じゃない。ただ死神様の手を煩わせないでほしいと思うだけのこと。

ゴミを神様に捨てさせるなんて失礼だと思うから。
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