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「何があろうと私は諦めません!」

「諦めてくれ!」

タース様こそ男性相手はさすがに諦めるべきです。偏見こそないですが、タース様は仮にも侯爵家を継ぐ方なのですから。

「リーナ嬢、せっかくだ。どれだけ(リーナ嬢への)想いがあるか語らせていただこうか」

「なるほど……(タース様への)気持ちを語ることで私を諦めさせると」

ぽっと出の王子様かと思いましたが、まさか私の知らぬところでタース様は殿下を誘惑していたのかもしれません……。正直一生独身だけは嫌だと思ってるだけでタース様について語れる自信はないけど、やるだけやろうと思う。

聞くだけ聞いたところで恐らく私の知らない情報はないでしょうし。それくらい知ってますけど、私もそこが好きなんですよ的な態度で何とか乗り切ればいいでしょう。

「そういうことで私から(リーナ嬢について)語らせてもらおうか……まずは見た目が好みだ。ドレスも似合っていて私好みなため惹かれた」

「容姿についてだけじゃ……」

見た目なんて誰もが最初に見る場所と侮ろうとするも殿下の言葉に思考が一瞬止まる。殿下はドレスと言わなかっただろうか?え?タース様そういうご趣味が?

ず、ずっと見てきてたつもりなのに知らなかった………!まさかの見た目から既に一歩先を行かれるとは。タース様について殿下相手なら楽勝だと思ったのは間違いだったようだ。

「確かに見た目についてだと信用ならないよね。あくまで好きになったきっかけを先に話したに過ぎない。何よりも惹かれたのは(婚約破棄に負けない)強い心。堂々とする(殴る)姿は惚れ惚れとしたよ」

「なるほど……」

人前で不貞を犯しているとばかりの女性を連れ、人前で婚約破棄宣言をするのは心が強くないと早々できないだろう。何よりその女性イーサ様が私側についても堂々とする姿は………いや、堂々と言うより犬が噛みつこうと必死な感じにも見えたけど……まあ、堂々としてた、かな?

「そういうわけで君こそ未来の王妃に相応しいと私は思った!」

「え?」

お、王妃?え、タース様を王妃にしたいの?てっきり私は愛人かなんかだと……この国って男性同士の婚約は認められてるでしたっけ?

いやいや、それどころか子供は?未来の王様いなくなっちゃうよね……?いや、まあ、ここまで必死に語れるくらいなのだし、何か案はあるんだろう。

まさか王妃にしたいほどに狙ってるとは思わなかったが、それでも何故タース様なのかと嘆くつもりもなければ婚約破棄をして渡す気もない。


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