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正直エネミー姫と兄の今の関係とか、この世界が同じ世界なのかとか考えることは多い。でも考えたところで今の僕は調べる術がないのだ。
ここが例え夢だったとしても、目を覚ます方法もわからないし、そもそもここは夢なのかなんて聞いて答えが返ってくるとも思えない。
とはいえ、夢にしては長すぎるから現実ではある………と思う。ただ、現実だとしても兄と共にいるだけの今の僕には、兄以外に頼る人がいない。しかも知りたいことが兄に関することなのに、その本人に調べさせるなんて、それは調べるんじゃなく、聞いているだけ。
聞いたところでそれが嘘か本当かわからないし、兄は……話してくれるかすらわからない。ニャハートが知ってそうではあるけど、兄の居る前で聞いては意味がないし、兄がニャハートと通じていた時点で、ニャハートを信用していいかも正直わからない。
いや、そもそも調べるまでもなくニャハートを兄が知っているってことは兄は神様の存在を知っているってことだろう。最初にそう考え付きはしたのに、なんでこんな単純なことを僕は難しく考えちゃったんだろうか。
神様をどう知ったかなんて疑問も浮かんだけど、それも難しく考える必要がないとしたら?
それってつまり………そういう、こと?でも、ならなんで……と余計に浮かぶ疑問がある。
「ねえ、兄上………もしかして、だけど………」
「………フィーネ、ニャハートのことを認識している時点でなんとなく思い付いた考えもあるだろうが、今はシャドウのことを聞きたい」
「あ……うん、そうだよね」
人の死が、それも兄の信頼する一人なんだからそっちを後回しにしてはいけない。気になることはたくさんあるけど、まずはニャハートの話を聞かないと。
『やっと本題いけますにゃん。シャドウは今死んでいると言えば死んでるいわば仮死状態ですにゃん』
シャドウが、仮死状態……?
「それって僕が植物状態だったみたいな感じ……?」
『似てはいますにゃんね。ただ、魂は正常で、あくまで肉体が死んだと勘違いして死んだようににゃっていると言いますか………』
勘違いで………死ぬ?
「生き返らせることは可能な状態ではあるのか」
『シニカピ様にゃら可能ですにゃん。そもそも仮死状態にしたのシニカピ様ですから』
「シニカピ様って………」
『死神様のことですにゃん!』
しにがみのカピバラ………ってことかな。神様の単純な名前つけは相変わらずだ。カピバラ姿でも神様は神様………狙われたらひとたまりもないのかもしれない。
「そもそも何故シャドウが神と関わることになった?」
兄は元凶を知ったことで尤もな疑問をニャハートにぶつけた。確かにそこは気になるところではある。
『エネミー姫が死にかけ寸前の事態ににゃりまして、シニカピ様が魂を狩ろうとしたところ、エネミー姫が厄介にゃことに、最後の力を振り絞り死んでたまるかとシニカピ様の死神の鎌に触れてしまいまして、あまりの憎しみや怨みによる強い意思に、シニカピ様の意識ががエネミー姫に乗っ取られたといいますか………』
神様の意識を乗っ取れる人間………ええ………?
「そんなことありえるの……?」
神様の眷属であるニャハートが言うのだから嘘ではないんだろうけど、それでも神様が人間1人相手に……とは思ってしまう。いくら見た目がかわいい動物だろうと。
ここが例え夢だったとしても、目を覚ます方法もわからないし、そもそもここは夢なのかなんて聞いて答えが返ってくるとも思えない。
とはいえ、夢にしては長すぎるから現実ではある………と思う。ただ、現実だとしても兄と共にいるだけの今の僕には、兄以外に頼る人がいない。しかも知りたいことが兄に関することなのに、その本人に調べさせるなんて、それは調べるんじゃなく、聞いているだけ。
聞いたところでそれが嘘か本当かわからないし、兄は……話してくれるかすらわからない。ニャハートが知ってそうではあるけど、兄の居る前で聞いては意味がないし、兄がニャハートと通じていた時点で、ニャハートを信用していいかも正直わからない。
いや、そもそも調べるまでもなくニャハートを兄が知っているってことは兄は神様の存在を知っているってことだろう。最初にそう考え付きはしたのに、なんでこんな単純なことを僕は難しく考えちゃったんだろうか。
神様をどう知ったかなんて疑問も浮かんだけど、それも難しく考える必要がないとしたら?
それってつまり………そういう、こと?でも、ならなんで……と余計に浮かぶ疑問がある。
「ねえ、兄上………もしかして、だけど………」
「………フィーネ、ニャハートのことを認識している時点でなんとなく思い付いた考えもあるだろうが、今はシャドウのことを聞きたい」
「あ……うん、そうだよね」
人の死が、それも兄の信頼する一人なんだからそっちを後回しにしてはいけない。気になることはたくさんあるけど、まずはニャハートの話を聞かないと。
『やっと本題いけますにゃん。シャドウは今死んでいると言えば死んでるいわば仮死状態ですにゃん』
シャドウが、仮死状態……?
「それって僕が植物状態だったみたいな感じ……?」
『似てはいますにゃんね。ただ、魂は正常で、あくまで肉体が死んだと勘違いして死んだようににゃっていると言いますか………』
勘違いで………死ぬ?
「生き返らせることは可能な状態ではあるのか」
『シニカピ様にゃら可能ですにゃん。そもそも仮死状態にしたのシニカピ様ですから』
「シニカピ様って………」
『死神様のことですにゃん!』
しにがみのカピバラ………ってことかな。神様の単純な名前つけは相変わらずだ。カピバラ姿でも神様は神様………狙われたらひとたまりもないのかもしれない。
「そもそも何故シャドウが神と関わることになった?」
兄は元凶を知ったことで尤もな疑問をニャハートにぶつけた。確かにそこは気になるところではある。
『エネミー姫が死にかけ寸前の事態ににゃりまして、シニカピ様が魂を狩ろうとしたところ、エネミー姫が厄介にゃことに、最後の力を振り絞り死んでたまるかとシニカピ様の死神の鎌に触れてしまいまして、あまりの憎しみや怨みによる強い意思に、シニカピ様の意識ががエネミー姫に乗っ取られたといいますか………』
神様の意識を乗っ取れる人間………ええ………?
「そんなことありえるの……?」
神様の眷属であるニャハートが言うのだから嘘ではないんだろうけど、それでも神様が人間1人相手に……とは思ってしまう。いくら見た目がかわいい動物だろうと。
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作者様へ
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通りすがりの1読者としては、待つ時間も話の続きを妄想したりして楽しんでおります。
寒さが増してきていますが、どうぞ御自愛ください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)ペコリ
気づいたときどうなるのか………お楽しみに!
ありがとうございます。少しでも調子いいときに書かせていただきますね!
二人の関係が大変素晴らしいです…!
素敵な作品に出会えて感謝です🙇♂️🙇♂️
続きが気になります🥳
ありがとうございます!楽しんでいただけるよう頑張ります!
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