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25~シャドウ視点~
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執事長の仕事を強制的に休みにされ、私本来の仕事を任されることになって約1カ月。私は陛下が何を企んでいるのか考えが読める日は来ないだろうと思いながら、元リベージ国王女、エネミー・リベージを追跡し続けています。
殺してはならない、ただいつでも狙われていると思わせるために、命を狙うつもりで追いかけ続けろという陛下の命令。
簡単に死ぬことすら許されないなど、一体あのお姫様は陛下に何を仕出かしたのでしょうね。よっぽど恨まれていることは間違いありません。
相手はか弱いお姫様だったために、命を脅かす機会はいくらでもありました。何せ護衛もいませんから、楽な仕事です。
その今の状況も陛下が作り上げたわけですが。本人は何故城を追い出されたのかを理解してるのかしてないのか、お姫様だったにも関わらず、一日目から野宿を躊躇わずする度胸には驚いたものです。
貴族の令嬢や令息でも言えますが、大抵身分のある方は皆家の外で寝るなんてこと考えもしないでしょうから。
「ごほ………っごほっな、なに……っ?………げほっ」
死にはせずとも苦しくなる微量の毒を寝ているうちに仕込んではみたのですが、やはり気づかなかったのでしょう。仕込んだ食材を普通に使い、自ら毒を口に入れたようですから。
あの様子を見るに、野宿をする度胸………というより、地べたで寝てたまるかというプライドよりも、睡魔が勝ったのかもしれませんね。か弱いお姫様なら仕方ないかもしれません。
それにしても、毒を仕込まずともあの料理の腕前では毒がもったいなかったですかね?
城を追い出されたときに、多少のお金と食材はなけなしにいただいたようですが、有効活用する前に自分の料理で死んでもらっても困るんですが……。
「けほ………っわた、しは……っそんなに………がはっ」
おや?毒が強すぎましたかね。吐血するほど強くしたつもりはありませんでしたが………。全く、殺さずいたぶるのはこれだから苦手なんですよ。
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
「はぁ………っだいじょ、ぶに……げほっみえて……?」
あまりの苦しさに、私が急に現れたのも気づかなかった様子。まあ、それを見越して変装姿で現れたわけですが。
「おやおや、随分威勢がよいようで」
「私を……誰だと………っごほ」
これは思った以上の愚か者というべきか、まだ自分がお姫様という思い込みが消えてないようですね。
「さあ?身なりはよさそうですが、土もついて汚れてますし、護衛も見当たらないところを見ると………貴族を語る詐欺師でしょうか?」
「私を……っごほごほっ」
挑発にのりやすいところを見ると賢いお姫様ではなさそうです。だからこそ陛下を怒らせたのでしょうね。
「まあ、仕方ありません。詐欺師でも命を見捨てるのは心苦しいですから、お助けいたしましょう。これは何にでも効く解毒薬です。お代はこちらですね、勝手にいただいていきますのでどうか長生きしてください」
「まち………なさ………っ!」
お金まで盗られては堪ったものではないでしょう。ええ、ええ、わかっていますとも。だからいただくのです。
その毒に効く解毒薬であるのは嘘ではありませんから。これで食事にトラウマでもできればいいんですが………あの調子ではすぐには難しそうですね。
「早く飲まないと手遅れになりますよ~」
「……っ」
毒はすぐには解毒しませんから、しばらくは私に騙されたと悔しがりながら苦しむことでしょうね。
でも心配はいりませんよ。陛下から命令が取り下げられない限りは死なないようにお側にいますから、ね?行方不明扱いの王女様?
殺してはならない、ただいつでも狙われていると思わせるために、命を狙うつもりで追いかけ続けろという陛下の命令。
簡単に死ぬことすら許されないなど、一体あのお姫様は陛下に何を仕出かしたのでしょうね。よっぽど恨まれていることは間違いありません。
相手はか弱いお姫様だったために、命を脅かす機会はいくらでもありました。何せ護衛もいませんから、楽な仕事です。
その今の状況も陛下が作り上げたわけですが。本人は何故城を追い出されたのかを理解してるのかしてないのか、お姫様だったにも関わらず、一日目から野宿を躊躇わずする度胸には驚いたものです。
貴族の令嬢や令息でも言えますが、大抵身分のある方は皆家の外で寝るなんてこと考えもしないでしょうから。
「ごほ………っごほっな、なに……っ?………げほっ」
死にはせずとも苦しくなる微量の毒を寝ているうちに仕込んではみたのですが、やはり気づかなかったのでしょう。仕込んだ食材を普通に使い、自ら毒を口に入れたようですから。
あの様子を見るに、野宿をする度胸………というより、地べたで寝てたまるかというプライドよりも、睡魔が勝ったのかもしれませんね。か弱いお姫様なら仕方ないかもしれません。
それにしても、毒を仕込まずともあの料理の腕前では毒がもったいなかったですかね?
城を追い出されたときに、多少のお金と食材はなけなしにいただいたようですが、有効活用する前に自分の料理で死んでもらっても困るんですが……。
「けほ………っわた、しは……っそんなに………がはっ」
おや?毒が強すぎましたかね。吐血するほど強くしたつもりはありませんでしたが………。全く、殺さずいたぶるのはこれだから苦手なんですよ。
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
「はぁ………っだいじょ、ぶに……げほっみえて……?」
あまりの苦しさに、私が急に現れたのも気づかなかった様子。まあ、それを見越して変装姿で現れたわけですが。
「おやおや、随分威勢がよいようで」
「私を……誰だと………っごほ」
これは思った以上の愚か者というべきか、まだ自分がお姫様という思い込みが消えてないようですね。
「さあ?身なりはよさそうですが、土もついて汚れてますし、護衛も見当たらないところを見ると………貴族を語る詐欺師でしょうか?」
「私を……っごほごほっ」
挑発にのりやすいところを見ると賢いお姫様ではなさそうです。だからこそ陛下を怒らせたのでしょうね。
「まあ、仕方ありません。詐欺師でも命を見捨てるのは心苦しいですから、お助けいたしましょう。これは何にでも効く解毒薬です。お代はこちらですね、勝手にいただいていきますのでどうか長生きしてください」
「まち………なさ………っ!」
お金まで盗られては堪ったものではないでしょう。ええ、ええ、わかっていますとも。だからいただくのです。
その毒に効く解毒薬であるのは嘘ではありませんから。これで食事にトラウマでもできればいいんですが………あの調子ではすぐには難しそうですね。
「早く飲まないと手遅れになりますよ~」
「……っ」
毒はすぐには解毒しませんから、しばらくは私に騙されたと悔しがりながら苦しむことでしょうね。
でも心配はいりませんよ。陛下から命令が取り下げられない限りは死なないようにお側にいますから、ね?行方不明扱いの王女様?
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