恋した奴隷王子のやり直し～例え私の知っているお嬢様じゃなくとも次こそは貴女を守ります～

1章・気味が悪い奴隷と手放せない私ーヒロイン視点ー

2

暑苦しさはあるものの以前と比べて耐性はあるし、見た目以上に文句なしの仕事をするので奴隷に任せた期間本当に何があったのか想像もつかない。

「朝礼！いーち！お嬢様には逆らわない！」

「「「「お嬢様には逆らわない！」」」」

「にー！お嬢様を一番に！」

「「「「お嬢様を一番に！」」」」

「さーん！お嬢様に快適な生活を！」

「「「「さーん！お嬢様に快適な生活を！」」」」

「よーん！お嬢様を裏切るものには制裁を！」

「「「「よーん！お嬢様を裏切るものには制裁を！」」」」

とりあえず、使用人を洗脳するような朝礼に30分は使いすぎだと私でも思うわ。毎回お嬢様ってつけるその一言一言は素晴らしい心がけだとは思うけどね。その朝礼での声掛けの第一声が奴隷であることを除けば。

「では今日もしっかりお嬢様に仕えるように！」

「「「「ハッ！イエッサー！！」」」」

ここは軍隊だったかしら……ってくらいに毎日熱量がすごい。そうなると隊長面してるのは奴隷な訳だけど使用人とはいえそれで納得してるのかしら。まあ騎士顔負けのムキムキな使用人たちに何も言う気にはなれないけど。

「ふぅ……お嬢様お待たせしました。今日もちょうど一人お嬢様しか考えない忠実な僕を入手したところです」

「……そ、そう」

見ていたのに全然気づかなかったわ。着実にムキムキ男女が増えていくけど、ムキムキにさせる必要があるのかしら？その原因の奴隷はスリムなままだから尚更……。

「安心してくださいね！もしこの国の王がお嬢様に失礼をするようなら、命を持ってして叩きのめすよう教育はしっかりとしてますので！」

「一体どういう教育よ！反逆でもするつもり！？」

この奴隷好き勝手させてたらなんてことを！言葉にするだけでも不敬だというのに！怖いものなしなのかしら！？この奴隷は！とんでもない買い物をしてしまったものだわ！

「お嬢様が望むなら如何様にも」

「望むはずがないでしょ！？」

「お嬢様がこの国の女王……最高だと思うのですが」

この顔本気の顔だわ……。この奴隷にとって私はどのように見えているのかしら……？

私は少なくともいい性格ではないことくらい自覚はあるわ。それでも改める気はないけれど。私はそれだけの身分があるし、許されるのだから問題はない。ないけれど……流石に王族に反逆してまで叶えたいものもないし、しようと考えたことすらないわ。

なのに奴隷の分際で……と思うのに、私はこの奴隷を手放す気になれないのは何故なのかしら。顔で選んだのもあるから顔はいいけれど……。

「ああ、お嬢様に見つめられて幸せです」

これよ……？