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何かまたしても危ない道に引き込まれそうになったものの、それを気のせいだと頭の中から消去したのはいいとして、キョーモ様の乱入で余計場が混乱したのは確実だった。

双子のルルルール兄妹は兄妹喧嘩を始めたし、トンチン様はキョーモ様に対して起きろと暴れるし、ドノクチ様は相も変わらず倒れて夢の中だし、ミニ殿下は夢を見れているか怪しいものの意識がないのは確実。本来私を断罪する人たちの半分が夢の中って……。ひとりは自主的にとはいえ、これは断罪回避できたと考えていいの?

「それぐらいにしようか」

そんな中響くような声でそう言ってその場に静けさを与えたのはただその場にいて私を睨み付けていた私の兄、ベラ・ベーラ。

いつだってミニ殿下の側近として側にいたお兄様。今まであまりにもその場にいるのがしっくりきて、自分のことに必死だったから忘れていたけど……普通ならお兄様は卒業してなきゃおかしいよね?

私たちは双子ではない普通に年齢差のある兄妹なのだから。はっ!ま、まままさかお兄様留年して………?

「エリス、何か失礼なことを考えていないか?」

「いいいいえっ!」

ぎっと余計お兄様の睨みが強くなる。もしかして心を読まれた?お兄様には小さい頃から仲良くしようにも常に叱られてばかりで苦手意識が強い。実際お兄様は完璧主義者だからこそ私は余計に何も言えないわけだが。

「……まあいい。とりあえず、話が進まないし、聞くべき人物がこのままじゃ夢だといいように解釈しかねないから起こそうか」

そう言ってお兄様は私を睨むのをやめて、ミニ殿下の胸元を持ち上げて往復ビンタをし始めた。

「お、お兄様!?」

バチンバチンバチンとただビンタの音が鳴り響く。お兄様は無表情で続けるものだから私含めて恐怖を感じたのか引く様子が伺える。

「い……っな、やべやべべべ……っ」

「でーんーかー起きてくださいよー」

それはミニ殿下が起きても続けられた。一体いつまで続くのか、ミニ殿下がついに涙目になるがそれを止めるものはおらず、お兄様も止める気はないとばかりに起きているのに起きろと言いながらバシバシ叩く。それも容赦なく。

「やべでよおぉぉぉ」

そしてついにぶわぁっと泣き出すミニ殿下を見て気が晴れたのか、お兄様は輝かしい笑顔を見せてミニ殿下を地面に落とした。

「おはようございます、殿下」

それは今起きたことに気がつきましたとばかりに……。お兄様に嫌われてるだろう私ですらこんな扱いはされたことがない。

さっきまでそれ以上のことをしていたルーン様すら引いている。いや、ルーン様、あなたは多分引ける立場じゃないですよ?ちょっと前のこと振り返りましょ?

「お兄様もあれぐらいにしとけば私も止めなかったんですよ?」

「ならば後で叩き直しておこうかな」

「私の次でよければ」

「わかった」

……なんだか、聞いてはいけないルルルール兄妹の話が聞こえた気がしたけど、きっと気のせいだろう。ヒロインとその兄は慈悲深くて……優しいものだもの。……そうだよ、ね?
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