1 / 1
1
しおりを挟む
つい先日勇者である俺は魔王側に寝返った。理由は簡単、魔王が永久の幼女であるからこそ。もはや倒す理由がないし、倒そうと考えた勇者軍は絶滅すればいいと思う。幼女相手に何が勇者だ。
ロリコンになるために勇気がいるなら俺はその勇者だったのだろう。間違いない。
「ゆうしゃ、ゆうしゃ!おはな、さいたよ!」
魔法が当たり前のこの世界。花に魔力を与え咲かせるのがまず魔法の基本。魔力を与えすぎれば花は枯れ、与えられなければ現状維持、魔力の制御にはもってこいの一番始めにする魔法の修行。
それをしている目の前の幼女こそ至高の魔王。花を綺麗に咲かせて喜ぶ姿が眩しい。
「さすが魔王様!これでいつでも世界征服できますね!」
その笑顔ひとつで誰もが俺を始めに膝をついて従うだろう。なんとあらがいがたい魅惑の笑顔。
「えぇ?さすがにむりだよぉ」
「大丈夫です!(俺がいる限り)魔王様に逆らうものはいませんよ!」
いたらもはや何かを口走る前に存在が(俺の手によって)消えていることだろうし。
「あはは、それは素晴らしい」
そんな中いつも俺と愛しのマイロードの二人の時間を邪魔する宰相が現れる。全く、仕事はどうした仕事は。
「さいしょー!」
「魔王陛下、ようやく魔法の第一歩を歩めましたね」
そう言いながらちらりとこちらを見る宰相には全てお見通しなのがわかり、苛立つ。だから嫌なんだ、こいつは。
「うん!よくわかんないけどね、おはな、きれいにさいたよ!」
にこにこと笑う魔王様に苛立ちを浄化されながら改めて今さっき咲いた花を見る。俺が咲かせた花を。
実はこの天使と言われても信じたくなる可愛さ溢れる魔王様は魔法が使えない。というより人間ですら非常に珍しい魔力なしなのだ。それ故成長のための原動力でもある魔力がないばかりに成長を妨げ続けられ幼いままなのだとか。
さあ、そんな天使とももはや神級とも言える魔王様が何故魔王になれたのか?
そんなの簡単、可愛いからである。魔族は魔力のない幼女を守るためあえて魔王にすることで争いの前線に出ないよう仕向けたわけだ。そればかりは魔族たちの賢さに称賛しかない。
戦いに戦いを潜り抜けて着いた先にこんな空から舞い降りたとばかりの輝きを放った魔王様を見れば誰だって寝返る。戦力を失うどころかパワーアップして寝返る。当然の理だ。
その出会いの翌日戦争は終わりを告げた。人間最強兵器とも言える俺の裏切りによって。後悔?んなのないない。寧ろ戦争続けてたら俺が人間滅ぼしてたな。
魔王様を狙う敵はこの勇者が切り刻む!
と、まあ長くなってしまったがそういうわけでついつい魔力ないながらにがんばる魔王様が可愛くてやってしまったわけである。ご褒美は可愛らしい笑顔でした。
「ところで勇者様、愚かな人間が魔王様の暗殺を企む輩がいるようでして報告にきたのですよ」
「了解した。任せろ」
愚かな暗殺者は火炙りが確定した。
「ゆ、ゆうしゃ、むり、しないでね?」
何をしようか察しただろう愛くるしい魔王様は不安そうな顔で俺を見上げて心配してくれる。これだけでご飯5杯はいける。
「魔王陛下、それの心配をするくらいなら暗殺者の心配をされた方がよいと思います」
「黙れ、宰相」
そんな中余計なことを言う宰相は相変わらずだ。最初こそこんな腹が立つ魔族ではなかったんだが。しかし、魔王のことを唯一任せられるのはこいつだけという信頼だけはある。
「まあ、冗談はさておき……お願いしますよ?勇者様」
「お前こそ魔王様を必ずお守りしろよ」
「誰に言ってるんです?」
表向きでは魔王の宰相。裏では第2の魔王と異例の二人目の魔王がいるのは魔王様のことを考えれば当たり前のこと。
だからこそ魔王様の側を離れられるし、今まで俺以外魔王様に会えなかったのはそういうことだろう。
「さぁて、一仕事するか」
けど第2の勇者なんてものは存在しない。何せ俺は歴代最強と言われた勇者なのだから。
「ふぅ……勇者がロリコンでよかったと本当に心から思います。人間側からすれば逆でしょうけど」
そんな宰相の呟いた言葉は隣にいる魔王様にも聞こえていなかった。
おわり
あとがき
唐突に書きたくなっただけです。はい。
気が向けばまた書くかもしれません。幼女最高ですよね……あ、変態じゃないですよ?私は。
ロリコンになるために勇気がいるなら俺はその勇者だったのだろう。間違いない。
「ゆうしゃ、ゆうしゃ!おはな、さいたよ!」
魔法が当たり前のこの世界。花に魔力を与え咲かせるのがまず魔法の基本。魔力を与えすぎれば花は枯れ、与えられなければ現状維持、魔力の制御にはもってこいの一番始めにする魔法の修行。
それをしている目の前の幼女こそ至高の魔王。花を綺麗に咲かせて喜ぶ姿が眩しい。
「さすが魔王様!これでいつでも世界征服できますね!」
その笑顔ひとつで誰もが俺を始めに膝をついて従うだろう。なんとあらがいがたい魅惑の笑顔。
「えぇ?さすがにむりだよぉ」
「大丈夫です!(俺がいる限り)魔王様に逆らうものはいませんよ!」
いたらもはや何かを口走る前に存在が(俺の手によって)消えていることだろうし。
「あはは、それは素晴らしい」
そんな中いつも俺と愛しのマイロードの二人の時間を邪魔する宰相が現れる。全く、仕事はどうした仕事は。
「さいしょー!」
「魔王陛下、ようやく魔法の第一歩を歩めましたね」
そう言いながらちらりとこちらを見る宰相には全てお見通しなのがわかり、苛立つ。だから嫌なんだ、こいつは。
「うん!よくわかんないけどね、おはな、きれいにさいたよ!」
にこにこと笑う魔王様に苛立ちを浄化されながら改めて今さっき咲いた花を見る。俺が咲かせた花を。
実はこの天使と言われても信じたくなる可愛さ溢れる魔王様は魔法が使えない。というより人間ですら非常に珍しい魔力なしなのだ。それ故成長のための原動力でもある魔力がないばかりに成長を妨げ続けられ幼いままなのだとか。
さあ、そんな天使とももはや神級とも言える魔王様が何故魔王になれたのか?
そんなの簡単、可愛いからである。魔族は魔力のない幼女を守るためあえて魔王にすることで争いの前線に出ないよう仕向けたわけだ。そればかりは魔族たちの賢さに称賛しかない。
戦いに戦いを潜り抜けて着いた先にこんな空から舞い降りたとばかりの輝きを放った魔王様を見れば誰だって寝返る。戦力を失うどころかパワーアップして寝返る。当然の理だ。
その出会いの翌日戦争は終わりを告げた。人間最強兵器とも言える俺の裏切りによって。後悔?んなのないない。寧ろ戦争続けてたら俺が人間滅ぼしてたな。
魔王様を狙う敵はこの勇者が切り刻む!
と、まあ長くなってしまったがそういうわけでついつい魔力ないながらにがんばる魔王様が可愛くてやってしまったわけである。ご褒美は可愛らしい笑顔でした。
「ところで勇者様、愚かな人間が魔王様の暗殺を企む輩がいるようでして報告にきたのですよ」
「了解した。任せろ」
愚かな暗殺者は火炙りが確定した。
「ゆ、ゆうしゃ、むり、しないでね?」
何をしようか察しただろう愛くるしい魔王様は不安そうな顔で俺を見上げて心配してくれる。これだけでご飯5杯はいける。
「魔王陛下、それの心配をするくらいなら暗殺者の心配をされた方がよいと思います」
「黙れ、宰相」
そんな中余計なことを言う宰相は相変わらずだ。最初こそこんな腹が立つ魔族ではなかったんだが。しかし、魔王のことを唯一任せられるのはこいつだけという信頼だけはある。
「まあ、冗談はさておき……お願いしますよ?勇者様」
「お前こそ魔王様を必ずお守りしろよ」
「誰に言ってるんです?」
表向きでは魔王の宰相。裏では第2の魔王と異例の二人目の魔王がいるのは魔王様のことを考えれば当たり前のこと。
だからこそ魔王様の側を離れられるし、今まで俺以外魔王様に会えなかったのはそういうことだろう。
「さぁて、一仕事するか」
けど第2の勇者なんてものは存在しない。何せ俺は歴代最強と言われた勇者なのだから。
「ふぅ……勇者がロリコンでよかったと本当に心から思います。人間側からすれば逆でしょうけど」
そんな宰相の呟いた言葉は隣にいる魔王様にも聞こえていなかった。
おわり
あとがき
唐突に書きたくなっただけです。はい。
気が向けばまた書くかもしれません。幼女最高ですよね……あ、変態じゃないですよ?私は。
1
お気に入りに追加
85
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢の罰
荷居人(にいと)
恋愛
何がいけなかったのだろうか?
何を間違えたのだろうか?
もはやそんなことすら考えられない私の罪は罰として繰り返される。
もう泣くことも笑うこともできない悪役令嬢だった私の話。
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
退会済ユーザのコメントです
確かにw
クズハッ ( ゜д゜)、;'.・
魔力無しな幼女…魔王…尊い…ヘ(≧▽≦ヘ)♪
魔王討伐?なにそれ美味しいの??
永遠?の純粋培養な幼女(幼児)モフモフが居たら…欲ばかりな人間(大人)から寝返るのは常識デスヨ(`ー´ゞ-☆
現魔王軍が世界征服しても…人間にとっても1番の安全でしょうね〜( *´艸`)クフッ
わかってくれますか(* ̄∇ ̄*)こんな魔王がいてもいいかなと思ったら書いてましたww後は勇者に任せればいいのです(笑)