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クレーマー男の過ち
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「こんばんは」
「なんだぁ?おめぇ」
僕の目の前には酔っぱらいのスーツを着たサラリーマン。既に夜で学生服を着た僕が立ち塞がったことで少し苛立ちを見せている。
けど、怒るべきなのは僕の方だ。
それは学校での放課後のこと。あまり行ったことがないコンビニを見てみたいとはじめが言うので寄った時のこと。店員に怒鳴り付ける客が一人。
「金額言い間違えてんじゃねぇよ!ブスッ!」
「す、すみませんすみません」
金額言い間違えただけでそこまで言うことでもないだろうに。表の世界の人間は随分沸点が低いみたいだ。いや、そうするとはじめもその括りになってしまう。訂正しないとね?一部の人間と。
「・・・なんか、怖いな。バイトしようかとも思ったけどやっぱああいうこともあるよね」
バイトしなくても僕が養うのに。とは思うけど、はじめがしたいなら反対しない。僕も同じバイトをすればいいのだから。
にしても、久々のコンビニではじめが楽しみにしていた時間を台無しにするどころか、したいことに尻込みしそうにするなんて万死に値するよね。こんな人間無駄でしかない。僕とはじめに見られたのが運の尽き。
コンビニで遠慮するはじめにほしいものを自分の買うものと一緒に買い、公園のベンチで食べ、家まではじめを送り行動開始。
クレーマー男にはすれ違い様に発信器をつけてあったのであっさりと見つけ、人気のない場所に来るまで後をつけた。飲んで居酒屋から出てこない間は、しっかり相手のことは調べてある。
そして最初に戻るわけだ。
「僕の大事な人が貴方を怖がってしまったので、貴方を殺しに来ました。斎藤勇之助さん?」
「ガキが何言ってんだ?そこどきやがれ!」
名前負けした人物と言うべきか、にっこりと作った笑みを浮かべれば学生だと侮っているのだろう。僕に対して怒鳴るバカがひとり。
「どいてもいいですが、僕に背後を見せてもいいんですか?」
「はっ言ってろ」
丁寧に対応してあげているからか、頭のおかしい学生とでも思われているのだろう。言われた通り退いてやれば、ふらふらとした足取りで僕の横を通る。そして振り返る僕の目にはクレーマー男の後ろ姿。
殺すと言った暗殺者に背後を見せるなんて本当にどうかしている。
「い・・・っい、いでぇっ」
「僕に背後を見せていいのかって言ったじゃないですか」
「ぐぅって、め・・・っ」
あえて急所は外した。楽に死なせるのもどうかなと思って。意外に威勢がいいようで、腹部にナイフが突き刺さりながらもこちらを向いて睨んできた。
意気がるようなクレーマーはすぐ怯え、命声するかとも思ったけどこの男はそうではないみたいだ。まあそれでも殺すけど。
「その威勢は嫌いではありません。すぐ殺さなくてよかった」
「ぁ・・・っ」
笑みを浮かべたままに新たなナイフで次こそ急所を切り裂いて終わりを告げる。やはり、人は嫌なところばかりを見て殺すよりも嫌いではない部分を見てから殺す方が気持ちがいい。
最後まで不快に終わるような人は気分が悪いからね。
必要はないとはいえ、面倒だから後処理をし、証拠は消す。警察に自ら連絡して姿を消す。翌日、ひとりのサラリーマンの死体はアルコール中毒死と片付けられた。
「なんだぁ?おめぇ」
僕の目の前には酔っぱらいのスーツを着たサラリーマン。既に夜で学生服を着た僕が立ち塞がったことで少し苛立ちを見せている。
けど、怒るべきなのは僕の方だ。
それは学校での放課後のこと。あまり行ったことがないコンビニを見てみたいとはじめが言うので寄った時のこと。店員に怒鳴り付ける客が一人。
「金額言い間違えてんじゃねぇよ!ブスッ!」
「す、すみませんすみません」
金額言い間違えただけでそこまで言うことでもないだろうに。表の世界の人間は随分沸点が低いみたいだ。いや、そうするとはじめもその括りになってしまう。訂正しないとね?一部の人間と。
「・・・なんか、怖いな。バイトしようかとも思ったけどやっぱああいうこともあるよね」
バイトしなくても僕が養うのに。とは思うけど、はじめがしたいなら反対しない。僕も同じバイトをすればいいのだから。
にしても、久々のコンビニではじめが楽しみにしていた時間を台無しにするどころか、したいことに尻込みしそうにするなんて万死に値するよね。こんな人間無駄でしかない。僕とはじめに見られたのが運の尽き。
コンビニで遠慮するはじめにほしいものを自分の買うものと一緒に買い、公園のベンチで食べ、家まではじめを送り行動開始。
クレーマー男にはすれ違い様に発信器をつけてあったのであっさりと見つけ、人気のない場所に来るまで後をつけた。飲んで居酒屋から出てこない間は、しっかり相手のことは調べてある。
そして最初に戻るわけだ。
「僕の大事な人が貴方を怖がってしまったので、貴方を殺しに来ました。斎藤勇之助さん?」
「ガキが何言ってんだ?そこどきやがれ!」
名前負けした人物と言うべきか、にっこりと作った笑みを浮かべれば学生だと侮っているのだろう。僕に対して怒鳴るバカがひとり。
「どいてもいいですが、僕に背後を見せてもいいんですか?」
「はっ言ってろ」
丁寧に対応してあげているからか、頭のおかしい学生とでも思われているのだろう。言われた通り退いてやれば、ふらふらとした足取りで僕の横を通る。そして振り返る僕の目にはクレーマー男の後ろ姿。
殺すと言った暗殺者に背後を見せるなんて本当にどうかしている。
「い・・・っい、いでぇっ」
「僕に背後を見せていいのかって言ったじゃないですか」
「ぐぅって、め・・・っ」
あえて急所は外した。楽に死なせるのもどうかなと思って。意外に威勢がいいようで、腹部にナイフが突き刺さりながらもこちらを向いて睨んできた。
意気がるようなクレーマーはすぐ怯え、命声するかとも思ったけどこの男はそうではないみたいだ。まあそれでも殺すけど。
「その威勢は嫌いではありません。すぐ殺さなくてよかった」
「ぁ・・・っ」
笑みを浮かべたままに新たなナイフで次こそ急所を切り裂いて終わりを告げる。やはり、人は嫌なところばかりを見て殺すよりも嫌いではない部分を見てから殺す方が気持ちがいい。
最後まで不快に終わるような人は気分が悪いからね。
必要はないとはいえ、面倒だから後処理をし、証拠は消す。警察に自ら連絡して姿を消す。翌日、ひとりのサラリーマンの死体はアルコール中毒死と片付けられた。
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