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学年3位の坊っちゃんと偽情報
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いつまでも来ない教員に周囲は騒がしく、帰ってもいいのか、どうしたらいいのかと誰もが困惑してきている。
そんな中、僕とはじめは帰り寄りたい場所など他愛のない話をする。これは幸せな時間というものだろうか?はじめと話していると笑みがなくならず、ぽかぽかと胸が温まる気がした。
そんな幸せな時間を邪魔する者がひとり。まあ、先程から僕に敵意を向ける視線には気づいていたし、誰かも予測している。入る前から教員含め、生徒も調べるのは当然。
そして面倒な生徒は予め親を脅しておいてある。この有名な学校には裏にかかわる親を持つ子もいたから放置すればはじめに迷惑がいく可能性だってあったのだから。
「清水ぜろ、貴様は何者だ」
そんなの自分で調べればいい。君程度じゃ、無理だろうけど。
「はじめ、本は何買うの?」
「聞いているのか」
「え、あ、その、俺、実は気になってる本いっぱいあって、見て考えようかなって。入学祝いの本だから、大事にしたいし・・・あの、ぜろ?」
「ん?どうしたの?僕も一緒に見るし、なんなら読みたい本全部僕が買うよ?僕も読みたいし、読んだらいらないからはじめにあげるよ」
「おい」
「え?それは悪いよっ!」
「あ、新品がいいならはじめ用に二冊買うよ?僕、お金使い道ないからはじめのために使いたいし」
「・・・おい」
「か、貸してくれたらそれだけで嬉しいからいいよ」
「ならはじめのために、はじめが気になった本を置く家を購入しておくね」
「聞け」
「い、家?」
「うん、はじめが好きに読めるよう合鍵も渡すよ」
「いつまで無視する気だ!」
「もう、うるさいなぁ・・・」
いつまでも無視する気だったけど、はじめが気にしてるし、びっくりしちゃったから無視するわけにいかなくなったじゃないか。
はじめ以外に顔を向ける瞬間、笑みは消え、無になる自分がそこにはいた。幸せなんて知らない、躊躇いなく人を殺せる自分が戻ってくるそんな感覚。
「貴様が話を聞かないからだろう!?」
「僕ははじめと話してるんだけど?人の話に割り込む方が悪くない?」
「ぐ・・・っそれは、すまなかった」
意外と素直に謝るんだ。でも・・・
「謝るくらいならどっか行って」
許す気はないけど。
「なっ」
「ぜろ、話聞いてあげよう?」
「で、なに?」
はじめが言うなら仕方ない。
「・・・親父がお前に絶対何も仕出かすなと言われた。いつも1位をとれという親父が、この際3位をキープしろと言われた。2位の相手を抜かすな、1位は無理だと」
どちらにしろ、はじめは僕が認め、父も認める頭のよさだから君程度じゃ抜かせないけどね。1位を狙わないとだめな君が、はじめと同じ中学ではなかったのは幸運かもしれないよ。
にしても、今の時点で、はじめが僕の主人だとしっかり気づけただけ、君の父は優秀だ。
「君はあの四ノ宮グループの長男四ノ宮栄治(しのみやえいじ)だろう?調べればいい、僕を」
「調べたが、記憶喪失で経歴不明。名前、年齢しかわからず、なんとか知れた住所は、持ち主は確かにいるがほぼ空き家。経歴不明にしても中学すらわからないとは怪しいにもほどがある」
息子もそれなりに優秀だね。住所は確かに僕が購入した家だけど、住所を作るために購入しただけでしかない。簡単に教えるのも癪で、わざと住所は奥深くまでプログラムをアクセスして調べないとわからないようにした。
遊びあるプログラムだけど、あれを解けるなんて・・・。はじめに会わなかったら、裏世界で佇む四ノ宮家の誰かを主人にした可能性もあったかもしれない。まあ、それでもはじめが今は主人なのだから興味はないけど。
「記憶喪失なの?ぜろ」
「うん、傷こそ浅いから今はないんだけど、階段から落ちて頭を打ったんだ。勉強とか生活に困ることはないんだけど人に対しての記憶がね。はじめのことだけ鮮明に覚えてて、そのときの記憶にしても身体にしても、君を守りたいと動きたがってるのがわかるから君に付き従いたかったんだ。」
「そ、そうなんだ・・・おかげで友達になれて嬉しい」
「僕もはじめの友達になれて嬉しいよ。」
「そっか・・・」
ああ、はじめは簡単に僕を笑顔にしてくれる。心に安らぎをくれる。いつかはじめには僕の正体を教える日が来るだろう。何より、表世界に慣れない僕が裏世界で当たり前のことを仕出かして次第にバレる未来もあるかもしれない。
それでもはじめは僕から怯えて離れようとしないだろうか?もし離れようとするなら僕はあらゆる手段を使ってはじめを傍に置こうとするかもしれない。はじめが僕を頼らざる終えない手段に。監禁なんてことはしない。あくまで主人であるはじめに頼られるのが僕の一番の喜びなのだから。
今からでも頼ることが当たり前になるよう誘導するのもいいかもしれない。
「スルーするな!そんな都合いい記憶喪失があろうと経歴不明なんてことは・・・ 」
まあ、あるはずないよね?スルーされてくれればよかったのに。ああ、また冷たく冷えていくのがわかる。
四ノ宮家は脅しが足りなかったかな。裏世界を知らない子は厄介だ。こんな下手に優秀でありながら危険に知らず知らず突っ込もうとする息子なら、親も下手に教えられそうにもないけど。
「知りたいなら君の親に聞けばいい。僕はわからないからね。」
「父に聞いたが、私には知る必要がないと・・・」
「君が僕に突っかかるのを予測してじゃないかな?余計なことばかり言いそうだし。ねぇ、優秀だけの息子くん?」
「! お前、やはり・・・!」
「坊っちゃん!何をなさっているのですか!」
「塚本!?」
ようやく来たか。この気配、このメイド裏世界の人間だ。この坊っちゃんが何か僕にするだろうと寄越したんだろう。寄越せたということは、帰れるのも時間の問題かな。もうそろそろ目覚めてもいいはずだし。表世界の人間は軟弱すぎるから調整が難しいけど。
「塚本咲希、主人に伝えて。今日は息子の優秀さに免じて許してあげると、次はないから息子をしっかり教育するんだよ?」
「・・・っ大変失礼をいたしました。伝言確かに承ります。」
「何故塚本を知っている?いや、記憶喪失でありながら私を何故知っていた?会った記憶がない以上余計に・・・」
「坊っちゃん、今日は帰りましょう。どちらにしろ、すぐ帰るように今から伝えられますので。それに、ご自身の父上様の言いつけを守っていただけなければ困ります。」
「しかし!」
「四ノ宮グループを潰したいなら教えようか?君やそこのメイドは潰すだけでは済まなくなるけど」
僕を知ることははじめ以外、死ぬ意味でしかない。
「坊っちゃん!これ以上は貴方の」
「ストップ。はじめは、いや、僕の主人は普通の一般学生、あまり物騒な発言は控えて?」
「も、申し訳ありませんっ!行きますよ、坊っちゃん!貴方は再教育をしなければなりません!」
「は、離せ!塚本離せーっ!」
向けられる周囲の視線。まあ、視線くらいなら気にすることもない。にしても、父に気にかけられているからと僕に敵意を向けるなんてお間違いにもほどがある。
「ぜろ・・・」
ああ、はじめがわけわからず混乱しているようだ。
「もうすぐで帰れるようだし、早く本屋に寄りたいね」
「う、うんっ」
楽しみを思い出したかのように笑うはじめは、やはり僕を温かいもので包んでくれる。それこそ、面倒に感じ、最悪なかったものとしようと考えていた四ノ宮家くらいどうでもいいかと簡単に思えるくらいに。
そんな中、僕とはじめは帰り寄りたい場所など他愛のない話をする。これは幸せな時間というものだろうか?はじめと話していると笑みがなくならず、ぽかぽかと胸が温まる気がした。
そんな幸せな時間を邪魔する者がひとり。まあ、先程から僕に敵意を向ける視線には気づいていたし、誰かも予測している。入る前から教員含め、生徒も調べるのは当然。
そして面倒な生徒は予め親を脅しておいてある。この有名な学校には裏にかかわる親を持つ子もいたから放置すればはじめに迷惑がいく可能性だってあったのだから。
「清水ぜろ、貴様は何者だ」
そんなの自分で調べればいい。君程度じゃ、無理だろうけど。
「はじめ、本は何買うの?」
「聞いているのか」
「え、あ、その、俺、実は気になってる本いっぱいあって、見て考えようかなって。入学祝いの本だから、大事にしたいし・・・あの、ぜろ?」
「ん?どうしたの?僕も一緒に見るし、なんなら読みたい本全部僕が買うよ?僕も読みたいし、読んだらいらないからはじめにあげるよ」
「おい」
「え?それは悪いよっ!」
「あ、新品がいいならはじめ用に二冊買うよ?僕、お金使い道ないからはじめのために使いたいし」
「・・・おい」
「か、貸してくれたらそれだけで嬉しいからいいよ」
「ならはじめのために、はじめが気になった本を置く家を購入しておくね」
「聞け」
「い、家?」
「うん、はじめが好きに読めるよう合鍵も渡すよ」
「いつまで無視する気だ!」
「もう、うるさいなぁ・・・」
いつまでも無視する気だったけど、はじめが気にしてるし、びっくりしちゃったから無視するわけにいかなくなったじゃないか。
はじめ以外に顔を向ける瞬間、笑みは消え、無になる自分がそこにはいた。幸せなんて知らない、躊躇いなく人を殺せる自分が戻ってくるそんな感覚。
「貴様が話を聞かないからだろう!?」
「僕ははじめと話してるんだけど?人の話に割り込む方が悪くない?」
「ぐ・・・っそれは、すまなかった」
意外と素直に謝るんだ。でも・・・
「謝るくらいならどっか行って」
許す気はないけど。
「なっ」
「ぜろ、話聞いてあげよう?」
「で、なに?」
はじめが言うなら仕方ない。
「・・・親父がお前に絶対何も仕出かすなと言われた。いつも1位をとれという親父が、この際3位をキープしろと言われた。2位の相手を抜かすな、1位は無理だと」
どちらにしろ、はじめは僕が認め、父も認める頭のよさだから君程度じゃ抜かせないけどね。1位を狙わないとだめな君が、はじめと同じ中学ではなかったのは幸運かもしれないよ。
にしても、今の時点で、はじめが僕の主人だとしっかり気づけただけ、君の父は優秀だ。
「君はあの四ノ宮グループの長男四ノ宮栄治(しのみやえいじ)だろう?調べればいい、僕を」
「調べたが、記憶喪失で経歴不明。名前、年齢しかわからず、なんとか知れた住所は、持ち主は確かにいるがほぼ空き家。経歴不明にしても中学すらわからないとは怪しいにもほどがある」
息子もそれなりに優秀だね。住所は確かに僕が購入した家だけど、住所を作るために購入しただけでしかない。簡単に教えるのも癪で、わざと住所は奥深くまでプログラムをアクセスして調べないとわからないようにした。
遊びあるプログラムだけど、あれを解けるなんて・・・。はじめに会わなかったら、裏世界で佇む四ノ宮家の誰かを主人にした可能性もあったかもしれない。まあ、それでもはじめが今は主人なのだから興味はないけど。
「記憶喪失なの?ぜろ」
「うん、傷こそ浅いから今はないんだけど、階段から落ちて頭を打ったんだ。勉強とか生活に困ることはないんだけど人に対しての記憶がね。はじめのことだけ鮮明に覚えてて、そのときの記憶にしても身体にしても、君を守りたいと動きたがってるのがわかるから君に付き従いたかったんだ。」
「そ、そうなんだ・・・おかげで友達になれて嬉しい」
「僕もはじめの友達になれて嬉しいよ。」
「そっか・・・」
ああ、はじめは簡単に僕を笑顔にしてくれる。心に安らぎをくれる。いつかはじめには僕の正体を教える日が来るだろう。何より、表世界に慣れない僕が裏世界で当たり前のことを仕出かして次第にバレる未来もあるかもしれない。
それでもはじめは僕から怯えて離れようとしないだろうか?もし離れようとするなら僕はあらゆる手段を使ってはじめを傍に置こうとするかもしれない。はじめが僕を頼らざる終えない手段に。監禁なんてことはしない。あくまで主人であるはじめに頼られるのが僕の一番の喜びなのだから。
今からでも頼ることが当たり前になるよう誘導するのもいいかもしれない。
「スルーするな!そんな都合いい記憶喪失があろうと経歴不明なんてことは・・・ 」
まあ、あるはずないよね?スルーされてくれればよかったのに。ああ、また冷たく冷えていくのがわかる。
四ノ宮家は脅しが足りなかったかな。裏世界を知らない子は厄介だ。こんな下手に優秀でありながら危険に知らず知らず突っ込もうとする息子なら、親も下手に教えられそうにもないけど。
「知りたいなら君の親に聞けばいい。僕はわからないからね。」
「父に聞いたが、私には知る必要がないと・・・」
「君が僕に突っかかるのを予測してじゃないかな?余計なことばかり言いそうだし。ねぇ、優秀だけの息子くん?」
「! お前、やはり・・・!」
「坊っちゃん!何をなさっているのですか!」
「塚本!?」
ようやく来たか。この気配、このメイド裏世界の人間だ。この坊っちゃんが何か僕にするだろうと寄越したんだろう。寄越せたということは、帰れるのも時間の問題かな。もうそろそろ目覚めてもいいはずだし。表世界の人間は軟弱すぎるから調整が難しいけど。
「塚本咲希、主人に伝えて。今日は息子の優秀さに免じて許してあげると、次はないから息子をしっかり教育するんだよ?」
「・・・っ大変失礼をいたしました。伝言確かに承ります。」
「何故塚本を知っている?いや、記憶喪失でありながら私を何故知っていた?会った記憶がない以上余計に・・・」
「坊っちゃん、今日は帰りましょう。どちらにしろ、すぐ帰るように今から伝えられますので。それに、ご自身の父上様の言いつけを守っていただけなければ困ります。」
「しかし!」
「四ノ宮グループを潰したいなら教えようか?君やそこのメイドは潰すだけでは済まなくなるけど」
僕を知ることははじめ以外、死ぬ意味でしかない。
「坊っちゃん!これ以上は貴方の」
「ストップ。はじめは、いや、僕の主人は普通の一般学生、あまり物騒な発言は控えて?」
「も、申し訳ありませんっ!行きますよ、坊っちゃん!貴方は再教育をしなければなりません!」
「は、離せ!塚本離せーっ!」
向けられる周囲の視線。まあ、視線くらいなら気にすることもない。にしても、父に気にかけられているからと僕に敵意を向けるなんてお間違いにもほどがある。
「ぜろ・・・」
ああ、はじめがわけわからず混乱しているようだ。
「もうすぐで帰れるようだし、早く本屋に寄りたいね」
「う、うんっ」
楽しみを思い出したかのように笑うはじめは、やはり僕を温かいもので包んでくれる。それこそ、面倒に感じ、最悪なかったものとしようと考えていた四ノ宮家くらいどうでもいいかと簡単に思えるくらいに。
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