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番外編
どこまでも一緒に~帝王の死編~
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誰もが危惧していた。
「てーくん・・・」
依存し合う危険性を。
「若、もう組長は・・・」
「ねぇ、せーくん、なんで、てーくんは動かないの?」
「それは」
「息もしてないんだ。ねぇ、なんで?」
「若」
「まるで死んでるみたいだよ?ねぇ、なんで?」
「皇子・・・っ組長は亡くなった!」
涙の止め方を知らない皇子はとんとん拍子で進められていった葬式で、ようやく理解したかのように帝王の次に信頼していた静に理解しながらも問いかける。
静は、少ない舎弟たちや他の幹部を手前に、上に対する態度を崩さずいたが、子供時代に戻ったかのような態度の皇子に、静も我慢ならず声を張り上げて言った。
「・・・てーくんが亡くなった?」
「そうだよ」
「僕の側にてーくんがいなくなった」
「皇子・・・?」
「てーくんを守れなかった、僕のせいだ」
「皇子!」
「離して!離せ!てーくんがいないここでなんて生きられるはずない!」
「皇子!あなたが死んでしまったら、組はどうなる!?組長もそれは望んでないはずだ!」
「知らない知らない知らない!」
自ら持ち歩いていた銃で自殺を図ろうとする皇子をすかさず止めに入った静。力をつけた皇子を止めるのは厳しく、他の者たちはなぜ来ないと静が舎弟たちに目を向けた瞬間目を見開いた。
「てめぇら何をしてる・・・?」
「森野さん、俺たちは恋人どころか組長を守れなかった。そんな俺らが組のために死ぬななんて言えない」
「若が俺たちを守ることさえなければ若が組長を守れていたかもしれません。俺たちが弱いせいで若は、苦しんでる」
「なら、せめて願いを叶えてやりたいっす。一緒にいるためにどんな危ない橋も二人だったんだ。死ぬ瞬間も一緒であるためだったはずっす」
「みんな・・・」
舎弟、幹部揃って、皇子に銃を向けていた。涙を流しながらも強がっているのがわかるくらい震えながら。
皇子が恩人であるものも多くいれば、小さい姿の時から見守って可愛がってきたものから全員が全員、皇子にそれぞれ違った情を持ちながら向けている命を奪う物。
たくさんの愛に落ち着きを取り戻したかのように涙を止め、皇子はゆっくりと立ち上がって舎弟たちを見て笑顔を向けたかと思えば、悲しげに静に見やった。
「せーくん、ごめんね。僕は中身がまだ子供だったみたい。てーくんがいないと理解したら、みんなも家族なのに怖くてたまらないんだ」
「おう、じ・・・?」
「結局僕はてーくんがいたから心も体も大人になれた。てーくんが守ってくれてるって思うことができたから。てーくんを通さないと僕はみんなが怖い、人が怖いよ」
「俺ちゃんは皇子の心に入れたと・・・・思ってた・・・」
「うん、ごめんね 」
嘘ではない。焦りもあったせいか気づかなかった静は、皇子が震えていることにようやく気づいた。自分が皇子の腕を掴んでいるせいなのかと同時に理解した。自分は帝王がいない今では恐怖の対象でしかないのだと。
「せめて、殺すのは俺ちゃんでありたい。あいつらに皇子はやれねぇよ」
「優しい子たちだからね」
「わかってても怖いのか」
「うん・・・怖い。てーくんを感じない世界が怖いっ」
「もし、来世会えるなら、俺ちゃんたちも未練になるように頑張るよ。さよなら、皇子」
「ありが・・・・」
撃たれた銃は一発。確実に皇子の心臓を貫き、感謝を述べる前に死へと招いた。
「わかりやすい嘘だな。何年の付き合いだと思ってるんだ?でも、恐怖の対象ではなくても未練になるほどじゃなかったのは事実だよね。組長ほどじゃなくても、みんな皇子をこんなにも愛してんのになぁ・・・」
独り言のように呟いては静の瞳から溢れ出す温かく、しょっぱいものが頬を伝う。
今までの思い出を誰もが頭に思い浮かばせながら、帝王と追加で一緒にされた皇子の葬式が仕切り直しされ、ついに二人一緒に埋葬された。
『てーくん、怒ってる?』
『皇子が決めたことに怒ったりはしない』
『そっか』
『だが、あいつらを裏切ってここに来たんだ。最後まで見守るのが家族なんじゃないか?』
『あ・・・うん。そうだよね』
死後の世界。やはり気になる置いてきた血の繋がりよりも深い繋がりを持ってきた家族。皇子の気持ちを汲み取った帝王は、転生するのはまだ先だなと埋葬される自分達を見やるのだった。
「てーくん・・・」
依存し合う危険性を。
「若、もう組長は・・・」
「ねぇ、せーくん、なんで、てーくんは動かないの?」
「それは」
「息もしてないんだ。ねぇ、なんで?」
「若」
「まるで死んでるみたいだよ?ねぇ、なんで?」
「皇子・・・っ組長は亡くなった!」
涙の止め方を知らない皇子はとんとん拍子で進められていった葬式で、ようやく理解したかのように帝王の次に信頼していた静に理解しながらも問いかける。
静は、少ない舎弟たちや他の幹部を手前に、上に対する態度を崩さずいたが、子供時代に戻ったかのような態度の皇子に、静も我慢ならず声を張り上げて言った。
「・・・てーくんが亡くなった?」
「そうだよ」
「僕の側にてーくんがいなくなった」
「皇子・・・?」
「てーくんを守れなかった、僕のせいだ」
「皇子!」
「離して!離せ!てーくんがいないここでなんて生きられるはずない!」
「皇子!あなたが死んでしまったら、組はどうなる!?組長もそれは望んでないはずだ!」
「知らない知らない知らない!」
自ら持ち歩いていた銃で自殺を図ろうとする皇子をすかさず止めに入った静。力をつけた皇子を止めるのは厳しく、他の者たちはなぜ来ないと静が舎弟たちに目を向けた瞬間目を見開いた。
「てめぇら何をしてる・・・?」
「森野さん、俺たちは恋人どころか組長を守れなかった。そんな俺らが組のために死ぬななんて言えない」
「若が俺たちを守ることさえなければ若が組長を守れていたかもしれません。俺たちが弱いせいで若は、苦しんでる」
「なら、せめて願いを叶えてやりたいっす。一緒にいるためにどんな危ない橋も二人だったんだ。死ぬ瞬間も一緒であるためだったはずっす」
「みんな・・・」
舎弟、幹部揃って、皇子に銃を向けていた。涙を流しながらも強がっているのがわかるくらい震えながら。
皇子が恩人であるものも多くいれば、小さい姿の時から見守って可愛がってきたものから全員が全員、皇子にそれぞれ違った情を持ちながら向けている命を奪う物。
たくさんの愛に落ち着きを取り戻したかのように涙を止め、皇子はゆっくりと立ち上がって舎弟たちを見て笑顔を向けたかと思えば、悲しげに静に見やった。
「せーくん、ごめんね。僕は中身がまだ子供だったみたい。てーくんがいないと理解したら、みんなも家族なのに怖くてたまらないんだ」
「おう、じ・・・?」
「結局僕はてーくんがいたから心も体も大人になれた。てーくんが守ってくれてるって思うことができたから。てーくんを通さないと僕はみんなが怖い、人が怖いよ」
「俺ちゃんは皇子の心に入れたと・・・・思ってた・・・」
「うん、ごめんね 」
嘘ではない。焦りもあったせいか気づかなかった静は、皇子が震えていることにようやく気づいた。自分が皇子の腕を掴んでいるせいなのかと同時に理解した。自分は帝王がいない今では恐怖の対象でしかないのだと。
「せめて、殺すのは俺ちゃんでありたい。あいつらに皇子はやれねぇよ」
「優しい子たちだからね」
「わかってても怖いのか」
「うん・・・怖い。てーくんを感じない世界が怖いっ」
「もし、来世会えるなら、俺ちゃんたちも未練になるように頑張るよ。さよなら、皇子」
「ありが・・・・」
撃たれた銃は一発。確実に皇子の心臓を貫き、感謝を述べる前に死へと招いた。
「わかりやすい嘘だな。何年の付き合いだと思ってるんだ?でも、恐怖の対象ではなくても未練になるほどじゃなかったのは事実だよね。組長ほどじゃなくても、みんな皇子をこんなにも愛してんのになぁ・・・」
独り言のように呟いては静の瞳から溢れ出す温かく、しょっぱいものが頬を伝う。
今までの思い出を誰もが頭に思い浮かばせながら、帝王と追加で一緒にされた皇子の葬式が仕切り直しされ、ついに二人一緒に埋葬された。
『てーくん、怒ってる?』
『皇子が決めたことに怒ったりはしない』
『そっか』
『だが、あいつらを裏切ってここに来たんだ。最後まで見守るのが家族なんじゃないか?』
『あ・・・うん。そうだよね』
死後の世界。やはり気になる置いてきた血の繋がりよりも深い繋がりを持ってきた家族。皇子の気持ちを汲み取った帝王は、転生するのはまだ先だなと埋葬される自分達を見やるのだった。
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