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5~???視点~
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早く、早く逃げないと……!調子に乗っていた。あの時ならまだ余裕で逃げるチャンスはあったというのにもしかしたらなんて。
『貴女もバカですね』
あの男の言葉が頭から離れない。
『陛下も陛下ですが………。まあ貴女の処刑が決まりました』
淡々と告げる無表情の男は、この国なら誰もがその名を知るだろう宰相カーン・アーメン。いつだって全て見通すかのような言動が怖くて怖くて仕方なかった。それに抗いたくて利用されまいと陛下に気に入られるために必死だった。寧ろ利用してやると……。そうしていく内に協力者も現れ、同時に皇后様の立場も悪くなっていくのを目の当たりにして私は油断したのだろう。
『ご協力ありがとうございました』
『………………ぇ?』
あまりに都合よく進んでいくことに驚いていれば協力者は陛下に殺され、皇后様は自ら命を断とうとし、陛下は私などもう目にも入らなくて、こっそりとアーメン宰相から告げられた言葉と同時に私はアーメン宰相が叫ぶ陛下に近づいて行くのを最後に衛兵によって牢へ入れられていた。
結局私は利用されまいと動いたつもりで利用されきっていたのだ。処刑が決まったことに震えていたもののいつまで経ってもいつ殺されるのか知らせる人はついに来なかった。そして牢に入ってからアーメン宰相が再び訪れたのは城が慌ただしい日。
「皇后様が消えていて誰もが皇后様を探してこちらにまで監視が向かないので今なら逃げられますよ」
「何を……」
そう相変わらず淡々と告げたアーメン宰相は、牢の鍵を開けてそれ以上何も言わずにその場を去ろうとした。何を考えているのか最初から最後まで全くわからない男に私は叫ばずにはいられなかった。
「一体何がしたいのよ!最初から助ける気だったの!?ならなんで処刑だなんて………!どれだけ怖かったかわかる!?私はあんたのおもちゃじゃないのよ!」
「………ええ、貴女は私のおもちゃではありませんね」
「は………?」
まるで別の誰かのおもちゃではある言い方にぽかんとする。私は勘違いしていたのだろうか?これが全てアーメン宰相による何かの陰謀だと。アーメン宰相は一体誰の………誰の指示でこんなことを?その人は何が目的なの?
「それより早く逃げないと本当に処刑されてしまいますよ?貴女は本来もう死んでいる人間なんですから」
「………っ!」
処刑は私を怯えさせる嘘ではなく、ただされたことになっていただけの本当のことだった。そう言っているのだと気がつけば、皇后様を探すためにこちらにアーメン宰相と繋がりのない兵士のひとりにでも見つかれば、私は次こそただでは済まないのだと自覚して走り出した。
最後にアーメン宰相を睨み付けるのも忘れて。何を考えているかなんてもはやどうでもよくなって私はただただ自分の命の可愛さに宛もなく逃げ出す。
だからこそ私はバカなのだろう。
『貴女もバカですね』
その言葉を思い返したときにようやく異常性に気づくのだ。何人か目が合ってしまったが、誰も私を見て見ぬふりをしていることに。それがたまたま宰相の伏兵だったからとはいえあまりに都合のよすぎる実に簡単な逃亡劇に私はまた利用されたのだと気づいたのは、私が逃げた先に皇后様がいたからだった。
『貴女もバカですね』
あの男の言葉が頭から離れない。
『陛下も陛下ですが………。まあ貴女の処刑が決まりました』
淡々と告げる無表情の男は、この国なら誰もがその名を知るだろう宰相カーン・アーメン。いつだって全て見通すかのような言動が怖くて怖くて仕方なかった。それに抗いたくて利用されまいと陛下に気に入られるために必死だった。寧ろ利用してやると……。そうしていく内に協力者も現れ、同時に皇后様の立場も悪くなっていくのを目の当たりにして私は油断したのだろう。
『ご協力ありがとうございました』
『………………ぇ?』
あまりに都合よく進んでいくことに驚いていれば協力者は陛下に殺され、皇后様は自ら命を断とうとし、陛下は私などもう目にも入らなくて、こっそりとアーメン宰相から告げられた言葉と同時に私はアーメン宰相が叫ぶ陛下に近づいて行くのを最後に衛兵によって牢へ入れられていた。
結局私は利用されまいと動いたつもりで利用されきっていたのだ。処刑が決まったことに震えていたもののいつまで経ってもいつ殺されるのか知らせる人はついに来なかった。そして牢に入ってからアーメン宰相が再び訪れたのは城が慌ただしい日。
「皇后様が消えていて誰もが皇后様を探してこちらにまで監視が向かないので今なら逃げられますよ」
「何を……」
そう相変わらず淡々と告げたアーメン宰相は、牢の鍵を開けてそれ以上何も言わずにその場を去ろうとした。何を考えているのか最初から最後まで全くわからない男に私は叫ばずにはいられなかった。
「一体何がしたいのよ!最初から助ける気だったの!?ならなんで処刑だなんて………!どれだけ怖かったかわかる!?私はあんたのおもちゃじゃないのよ!」
「………ええ、貴女は私のおもちゃではありませんね」
「は………?」
まるで別の誰かのおもちゃではある言い方にぽかんとする。私は勘違いしていたのだろうか?これが全てアーメン宰相による何かの陰謀だと。アーメン宰相は一体誰の………誰の指示でこんなことを?その人は何が目的なの?
「それより早く逃げないと本当に処刑されてしまいますよ?貴女は本来もう死んでいる人間なんですから」
「………っ!」
処刑は私を怯えさせる嘘ではなく、ただされたことになっていただけの本当のことだった。そう言っているのだと気がつけば、皇后様を探すためにこちらにアーメン宰相と繋がりのない兵士のひとりにでも見つかれば、私は次こそただでは済まないのだと自覚して走り出した。
最後にアーメン宰相を睨み付けるのも忘れて。何を考えているかなんてもはやどうでもよくなって私はただただ自分の命の可愛さに宛もなく逃げ出す。
だからこそ私はバカなのだろう。
『貴女もバカですね』
その言葉を思い返したときにようやく異常性に気づくのだ。何人か目が合ってしまったが、誰も私を見て見ぬふりをしていることに。それがたまたま宰相の伏兵だったからとはいえあまりに都合のよすぎる実に簡単な逃亡劇に私はまた利用されたのだと気づいたのは、私が逃げた先に皇后様がいたからだった。
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