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……とはいえ心配なので部屋を覗いて様子を見るくらいはしようと思い、場所は変わって公爵様が運ばれた救護室に。
「凄いクマが……」
公爵様はまだ眠っていたため近づけば、公爵様の目下には濃い目のクマがあった。毎日僕と会う時にはそんなものなかったはずだっただけに驚きを隠せない。
「鼻血を拭き取るのに顔を拭いているとどうやらメイクでクマを隠していたようで……鼻血の出し過ぎによる貧血もありますが、睡眠不足と多少の過労が今回倒れた原因ですね」
「随分仕事が早いと思ったら……寝る間も惜しんでたとこにぼくがトドメの一撃をしちゃったわけかあ」
まだ医師がいたため公爵様の身体の状況を聞かずとも説明してくれたことで、思ったより酷い様子に合わせる顔とか気にしてられないほどに心配になる。まさかそこまで仕事を頑張っていたなんて気づきもしなかったから。
「寝る間も惜しむほど僕とデート……したかったの?」
聞いても目を覚さない公爵様からの返事はもちろんない。でも身体を壊すほど急ぐ仕事でもなかったはずだ。なら時間を惜しむように仕事を片付けた理由は僕とのデート以外にないじゃないか。
「シャロン……庇うわけじゃないけど、多分無理した気はなかったと思うよ?寧ろ張り切りすぎて限界がわからなかったんだとぼくは思うなあ。ぼくから見ても疲れた様子全然なかったし」
「張り切るほどの褒美じゃないのに……」
「認めたくないけど、それだけシャロンが好きで仕方ないってことじゃない?」
僕が好きだから限界もわからずデートのために……?ああ、もう……人のことで動くなんて公爵様らしくないのに、僕がそうさせてしまっているなんて……嬉しくないわけがない。
「もしそうなら、気持ちは嬉しいけど、心配はさせないでほしいなあ」
「ぼくが原因でもあるからそれは本当にごめん」
「でも休むきっかけになったならいいんじゃないかな?このままじゃまた仕事溜まっちゃうだろうし、早く目を覚さないとデートできなくなっちゃいますよ、旦那様」
「それ休ませる気あるの?シャロン」
「うーん、わかんないけど……デートができなかったらご褒美は別のもので考えるから今は休んでほしい……かな?」
「別のもの?」
「恥ずかしいから秘密で」
今思うとご褒美で約束したのはデート以外にもあったから、仕事を頑張ったご褒美は休暇と……あの約束の達成でも、いいよね?勇気はいるけど本当に公爵様が喜んでくれるなら僕は頑張ってくれた公爵様に報いたいと今とても思っているから。
「凄いクマが……」
公爵様はまだ眠っていたため近づけば、公爵様の目下には濃い目のクマがあった。毎日僕と会う時にはそんなものなかったはずだっただけに驚きを隠せない。
「鼻血を拭き取るのに顔を拭いているとどうやらメイクでクマを隠していたようで……鼻血の出し過ぎによる貧血もありますが、睡眠不足と多少の過労が今回倒れた原因ですね」
「随分仕事が早いと思ったら……寝る間も惜しんでたとこにぼくがトドメの一撃をしちゃったわけかあ」
まだ医師がいたため公爵様の身体の状況を聞かずとも説明してくれたことで、思ったより酷い様子に合わせる顔とか気にしてられないほどに心配になる。まさかそこまで仕事を頑張っていたなんて気づきもしなかったから。
「寝る間も惜しむほど僕とデート……したかったの?」
聞いても目を覚さない公爵様からの返事はもちろんない。でも身体を壊すほど急ぐ仕事でもなかったはずだ。なら時間を惜しむように仕事を片付けた理由は僕とのデート以外にないじゃないか。
「シャロン……庇うわけじゃないけど、多分無理した気はなかったと思うよ?寧ろ張り切りすぎて限界がわからなかったんだとぼくは思うなあ。ぼくから見ても疲れた様子全然なかったし」
「張り切るほどの褒美じゃないのに……」
「認めたくないけど、それだけシャロンが好きで仕方ないってことじゃない?」
僕が好きだから限界もわからずデートのために……?ああ、もう……人のことで動くなんて公爵様らしくないのに、僕がそうさせてしまっているなんて……嬉しくないわけがない。
「もしそうなら、気持ちは嬉しいけど、心配はさせないでほしいなあ」
「ぼくが原因でもあるからそれは本当にごめん」
「でも休むきっかけになったならいいんじゃないかな?このままじゃまた仕事溜まっちゃうだろうし、早く目を覚さないとデートできなくなっちゃいますよ、旦那様」
「それ休ませる気あるの?シャロン」
「うーん、わかんないけど……デートができなかったらご褒美は別のもので考えるから今は休んでほしい……かな?」
「別のもの?」
「恥ずかしいから秘密で」
今思うとご褒美で約束したのはデート以外にもあったから、仕事を頑張ったご褒美は休暇と……あの約束の達成でも、いいよね?勇気はいるけど本当に公爵様が喜んでくれるなら僕は頑張ってくれた公爵様に報いたいと今とても思っているから。
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