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さて覚えてはないものの意識がなくなってから最初に目が覚めた日になんともなければ動いていいと言われていたものの、しばらく動いてなかったせいか身体が固まってしまっていて、これでもしばらくはリハビリしていた。

最近はリハビリがてらに散歩もしている。元々なかった体力が随分すり減ってあんまり長い散歩は無理だけど。

一応執事やメイドさんがついてきてくれるけど、そういうことに慣れない身としては散歩くらい一人でさせてほしいと思ったりもする。まあリードの命令だから過保護とは思っても文句は言えない。でも厳選はされているのか不満そうな表情をあからさまに出すような人たちではないのは助かる。

しかし、王城の使用人となればそれが当たり前なのかもしれない。でも、それはそれで何を考えてるかわからなくて申し訳なさがあるけど。

「シャロン様、すでに10分経過してますがお疲れではないですか」

「今日は大丈夫そうなのでもう少し歩きます」

「かしこまりました。後何度も申し訳ありませんが、身分関係なく執事メイドに敬語は不要です。後々を考えても直すようにされるのが賢明かと」

「う……そうで……いや、そうだね」

こうして気遣いもされ、離婚が嘘という事情を知る人たちばかりで使用人は固められているので、僕は、最近もし公爵夫人として再びやっていくことになった時のための修行もしてもらっている。リードは別に無理しなくてもとは言っていたが、僕自身が自分に自信をつけるためにもなりそうだからと説得した。

でも、正直礼儀作法とか以外にも使用人への態度が下からすぎると言われたのでまずは上の身分の自覚を持つように言われた。離婚したことになってるのにそんな自覚持つ練習なんてしていいのかと言われたけど、次の結婚相手も身分が高い人にする予定など理由はいくらでもつけられるから問題ないと言われたため頑張り中である。

実際は離婚していないのにそんな理由ってmいいのかとは思うけど、リードのことだから事情の知っている人を用意しそうなのが怖い。だってとんでもない人を用意しそうというか。

「後々を考えてとはどういうことだ?」

なんて考えていると、執事に注意されているところを何故か公爵様に聞かれていたようだ。なんとなく怖い顔で執事に公爵様が尋ねた。

「いえ、その、リード殿下よりシャロン様の次の結婚相手は身分の高い方を厳選すると伺ってますので……」

少し青い顔になりながら執事が答えると公爵様の顔はさらに怖くなる。一歩間違えれば目の前の執事を殺しそうな目だ。

「ほう……?わざわざ私がいるのに厳選か。私が信用されることに随分とかかるのは仕方がないが、既に厳選するほどに候補がいるのは驚きだ。いくらシャロンがかわいくとも狼どもの中に放り込むでもあるまいに」

だが、その目のまま口角は笑っているのでより怖さが増すばかり。

「こ、公爵様……?」

「ああ、シャロン。散歩していると聞いて慌ててきたんだが、来てよかった。シャロンを危険な目に合わすことはないだろうが万が一もある。シャロンは誰にも渡さないから安心するといい。とりあえずそこの執事、シャロンとの散歩は私が付き添うから去るがいい」

勇気を出して公爵様を呼べば、殺気はすぐ落ち着いた。少しほっとしたのも束の間、公爵様が急に執事に代わって散歩に付き添うと言うから驚きだ。しかも執事と二人きりという言葉をわざわざ強調する辺り随分執事を嫌っているようだけど、僕のせいで使用人を警戒する癖でもできてしまったんだろうか?ただでさえ人嫌いだった人だからありえなくはない。

そう思うと僕が原因でより人嫌いを加速させたようで申し訳なさが……。

「私はリード殿下の命令で付き添っているため、いくら公爵閣下でも無理です」

なんて思ってたらまさかの執事の口答えに目を見開く。この公爵様相手によく言えたなと……実は心臓が鋼でできていたりするんだろうか?

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