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「バンデージ公爵がそこまで甲斐甲斐しくできるとは思えないけど、やれるもんならどうぞ?さて、まだ言いたいことがないわけじゃないけど、バンデージ公爵にはこれからも話す時間はいくらでもあるからこれくらいにしてあげる」

まだまだこの二人の対話が続くのかと思ったけど、今回に限ってはここで区切りとなるみたいだ。リードの視線は、公爵様から今回謁見する事態の一番の原因となった家庭教師だった人と使用人たちに向けられた。

さっきまでのリードと公爵様の様子を見てか、来る前以上に顔色が悪い。まあリードだけでなく公爵様も睨んでいるからもし同じ立場ならそうなるのも頷ける。もちろん、同じ立場になるつもりはないけれど。

「次はお前たちの番だよ。身分身分と生まれの運がよかっただけのうるさいハイエナの分際で、僕の親友に暴行なんてよくできたものだよ。普通に訴えてシャロンへ多額の慰謝料を支払わせたあげく、王族からの信頼をなくした貴族として立場を悪くするか、平民にするなんてバンデージ公爵は考えているみたいだけど、死刑でもいいよね。生きてる価値ないし?奴隷制度があった時代なら簡単に死なせず奴隷として堕とすのもよかったんだけど、今は人権社会だからお前たちのような罪人でも奴隷は許されない時代なんだよねえ。生き地獄を見ずに簡単に死ねる死刑なんていい時代に生まれて本当運がいいよ」

許すつもりは少しもないとばかりに言いたい放題なリード。公爵様相手にはまだ温情があった方なんだと今の発言を聞くとそう思う。許すようなことではないのは確かなんだけど死刑は流石に罰としてはやりすぎな気がする。確かに暴力は痛いし、耐えられないと思ったきっかけだ。でも、死んで償うことかと言われればわからない。謝ってもらったら許せるかと言われたら許せる事柄ではないとは言えても。

「は、発言をよろしいでしょうか」

リードの発言はやりすぎていたとしても、文句を言うには勇気のいる雰囲気だった。そんな中、勇敢と言うべきか使用人の一人がリードから発言の許可をもらおうとしたことに少し驚く。けど、命がかかるとなれば黙っているわけにもいかないだろうし、思わず口が出た可能性はある。ただでさえ身動きがとれないようにされている分、唯一動く口で言葉を言うくらいしか抵抗は成せないのだから。

「へえ……いいよ?発言を許可してあげる。死ぬ前の遺言でも言うつもり?」

「い、いいえ、ただ聞いてほしいことが……!その、今回のことはまさか殿下の親友だと思わず知っていれば……!」

「うん、問題はそこじゃないのがわからないなんて……やっぱ死刑でいいと思うんだよねえ」

抵抗の末の使用人の言葉は、余計リードを怒らせた様子だ。これ以上は本当に死刑にされかねないからやめた方がいい気がするんだけど……。

「何故ですか!いくら殿下の親友とはいえ、元は男爵家……そんな身分の低いものが公爵家にいれば納得できるはずが……」

「でもこの結婚が王命なのは知らないはずないよね?」

「それは……」

「王命って言っても今回のことはさすがに王自ら一人で決めたわけじゃないし、それを邪魔するような真似をしたってことは王族への反逆とも捉えられるのわかってる?」

王族への反逆と聞いて、さっきまでなんだかんだ言い返そうとしていた使用人だけでなく、何も発せない見ているだけの使用人や元家庭教師の顔色は今までにないくらいに青くなっていく。今回のことは王命に逆らうようなことなんだと、言いたいことはわかるけど、王命ってあくまで結婚をすることだけであって、その後のことも王命の範疇に入るものなのかと少し疑問がわくものの、発言の許可をもらってまでして質問はできそうにない。

それに、唯一発言の許可なく話せる国王陛下と王太子殿下はずっとリードの言葉に対して何も言わないし、それを見てるとリードが正しい気しかしなくなってくる。それはそれとしてもこのお二方は何故ここまでリードを好きにさせてるんだろうか?

あ、でも国王陛下はただリードに押し負けていたような……?今では気がつけばリードの後ろに控えるようにいるし……王族の力関係は不思議だ。にこにこと笑みを消さない王太子殿下だけはどの立ち位置なのか一番謎ではあるんだけど。







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