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にゃんこ隊の一匹新登場モナちゃん~モナ視点~

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俺はオスだってぇのにモナちゃんと呼ばれている。けど別に嫌ってわけじゃない。可愛がってもらえるってことは生きていきやすくなるものだとざらめ姉さんに教わったからだ。

そんなモナちゃんこと俺は決まっていく場所がある。

「なんでぇ、今日も来たのかネコ助」

それは人間の言う罪人部屋。悪いやつが入る部屋だとざらめ姉さんに聞いた。人間じゃ入れないが猫なら簡単に入れる場所の窓から侵入して顔を拝んでやろうとしたところ、出会ったのがこの銀次郎ぎんじろうというオス。

「にゃご」

こいつは俺がネコ助って名前じゃないと何度言っても聞きやしない。

「おめぇがいると自分がバカなことしたなって思えてくるな」

俺の名前もまともに言えないどうしようもないやつだが、俺にはこの銀次郎が悪いやつにはどうしても思えなかった。

「なぅ?」

せっかくだから話を聞いてやると自慢の肉球で爪を立てないようにして胡座をかく銀次郎の膝をぷにぷにと押してやる。

「なんだ、話が聞きてぇのか?」

「にゃあ」

聞いてやると言ってるのにどう勘違いすればそうなるんだと思いながらもまあこいつなら仕方ないとそれで許してやることにすれば銀次郎が罪を吐く。

「俺ぁ、家族を殺したんでぇ……俺を蔑ろにしてきた親が、妹が、幸せに笑っていて、俺の苦労をわかろうとはしない姿によぉ……許せなくてなぁ」

ぽたぽたと流す涙を見てちろりと舐めてやれば銀次郎は嬉しそうに笑った。

「おめぇだけだぁ……俺に優しいのはよ……っ俺は間違う前にネコ助に会いたかっただなぁ……」

「にゃ……」

泣きながら笑うなんて変なやつだとこの時は思っていた。別に今会えてんだからいいじゃねぇかと。

でも俺はわかっていなかった。城の罪人部屋にいる罪人の末路のひとつ死刑を。

それは銀次郎がその話をして一ヶ月も経たないうちに執行された。

「にゃあっにゃあっ!」

罪人部屋には血がたくさんあった。その意味を俺は考えていなかった。だからいつものように遊びに来て銀次郎が今にも首を斬られそうになっていたため抗議した。

「これは……えー、陛下の……猫様?」

俺の名前はまだ浸透してないらしい。でも今はそれどころじゃないから銀次郎に何をするんだと抗議する。しかし、それを止めたのはその人ではなく、銀次郎だった。

「ネコ助、最後に会えてよかっただ。俺は悪いことしたからなぁ、これは決まってたことで俺は覚悟してたことだぁ」

「にゃ、にゃご……?」

自ら死を受け入れようとする銀次郎に俺は信じられない気持ちだった。嫌だ嫌だ嫌だ……でもそんなこと言わせてくれないほどに銀次郎の表情は穏やかで……。

「……その覚悟やよし。しっかり罪を償って来世では真っ当に生きるがいい」

「ありがとなぁ、ネコ助」

「にゃごーーーっ!」

その言葉を最後に銀次郎の首はごとりと、胴体から離れた。

もっともっとこんなことなら他のやつに可愛がってもらってる間にも銀次郎に会いにいけばよかったとそう思うぐらいには銀次郎の傍は俺にとって温かかったのだと今更ながら気づく。

「にゃぁ……にゃあ………」

「猫様、陛下が心配しますから」

銀次郎の首を斬ったオスが俺にそう言うが、しばらく俺はその場から動く気にはなれなかった。

もし来世があるのなら俺はまた銀次郎に会いたい。

「うにゃ……」

もはやそう願うことしか俺にはできなかった………。

おわり










あとがき
し、シリアス………モナちゃん、新登場でシリアスに……。

これはこれで楽しんで?いただけたらと思います。

次は明るい話を考え中ですのでご安心ください。
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