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番外編R18

番外編~中編・お酒を飲まれたら逆らえない(セトア視点)~

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「トア、いい子」

「あ・・・」

兄上の手が僕の頬を撫でる。くすくすと笑うようにして褒める兄上は情事を誘う時のような色気を感じた。でも、違うのは甘やかすような誘いではないこと。

「服、いらないね?」

「兄上、危な・・・っ!!」

割れたお酒の瓶の破片をとる兄上を心配して言葉を吐こうとすれば、兄上からいつもなら向けられることのない鋭い視線。

「声出していいって言ってないよ?」

「ご、ごめんなさい・・・」

兄上が怒っている。普段じゃ見られないそれに、反射的に出る謝罪の言葉。鋭い視線を向けたまま振り上げられたのは瓶の破片。

スパッと切られる服。同時に落ちた破片は地面でまたさらに割れた。兄上にこんな芸当はできただろうか?破片だけで厚みのある服をこんなにも簡単に。しかも、肌を斬らず器用に服だけを。僕ならできる。だけど、本当にお酒の入った今の兄上は普段じゃできないことをやってのけた。

普段はセーブし過ぎて本来の力を発揮できないとしたら?こんなことだけでとは言われるかもしれないけど、それ以外にも僕に命令した時従わなければと思わせたことにしても、今ある怒りで悪いことをしたのが自分と認識させられたそれにしても、兄上は僕や普段の兄上が思う以上に王に向いているのではないのだろうか。

「トアはよく鍛えてあるね」

「・・・っ」

兄上の表情にまだ怒りは見える。謝罪は何も言われずとも下手なことは言えない。逆らってはだめだと僕が思う。僕以上に兄上は本気を出せば人を屈服できることを実感させられる。

「鍛えて強いはずなのに、傷ひとつない身体、俺が傷つけてあげる」

「お願い・・・します」

「また勝手に声出すなんて悪い子だな」

勝手に、無意識に出ていた言葉。兄上になら何をされてもいいと常日頃思っている。それが傷つけてくれると言う言葉に反応した理由だろうか。

いつしか兄上の婚約者が兄上にされた嫌がらせを羨ましく感じたことがある。あれ以上のことを僕は今からされるのだろう。嫌がらせどころか、あの頃ならいじめと言われるようなそれを。

兄上が痛みを、兄上が傷を、僕に与えてくれる。感じたことのない高揚感。悪い子と言って兄上が僕を見る目は、鋭い怒りの目にギラリとほの暗い何かが見えた気がした。

パシンッ

「痛い?」

「は、い」

「まーた、喋った」

パシンッ

ただの平手打ちを頬にされ、返事をすればまたお仕置きだと反対側も。兄上に初めて叩かれた。

兄上が人を叩くのは僕が最初で最後であってほしいと、それなら嬉しいと感じる僕は、兄上と離れたあの日からやはりどこかおかしいのかもしれない。

抵抗はできない。この鎖は魔法さえも封じるようだ。僕は自らつけた時点で兄上から逃げられないし、逃げるつもりもない。

「ははっ叩かれて勃ってるぞ?トーア?」

「う・・・っ」

叩いてすっきりしたのか、兄上は僕のモノが、ズボン越しに勃ち始めたのに気づき、手でパンパンと叩かれる。ズボン越しでも感じるそれに兄上は満足そうだ。

兄上が僕を見て満足そうなことに僕も満たされる。怒ったままなのは物凄く怖かったから、怒らせたくない。何されても構わないけど、嫌われたくはない。

「ああ、そうだ。これで遊ぶ前に、トアを傷つけてあげる約束だったな」

そう言って兄上が部屋にあるもので手にとったのは鞭。トゲのついた鞭はさぞかし痛いだろうし、傷もつくだろう。

ああ、やっぱり僕はおかしい。今から兄上にされることに対して胸が高まるのを感じているのだから。いじめられたい願望でも僕はあるのだろうか?いや、全て兄上だからそうなるんだ。

「兄上・・・」

「なんで、この鞭見て笑ってるんだ?ほら、また勝手に話したんだから反省しないと」

「いっ」

容赦なく露出した胸の肌へ叩かれる鞭。何度も何度も、兄上は楽しそうに僕を鞭を叩きつける。傷がひとつ、ふたつ、痛みが傷を増やすごとに痛くなり、嬉しくなる。

兄上からたくさん傷をつけてもらえた。兄上から痛みを与えられた。兄上が僕で楽しそうにしている。兄上、僕も楽しいです。

「傷がいっぱいだ。俺がつけた傷でいっぱいのトア、綺麗だよ。トアのモノ、ズボンさえ突き抜けそうだ。イきたい?」

「あにうえが、きょか、してくれるなら」

「いいよ。我が儘言わずにいい子だな、トアは」

甘やかす目じゃなく、ただ満足した答えを得たとばかりに笑う兄上に僕もまた心が満たされる感覚。鞭を捨て、兄上は僕のズボンと下着を脱がして僕のイチモツを取り出してくれた。

「ひぁ・・・っいぃぃっ」

膨らむ僕のそれを兄上を握り潰すようにして力を込めて握る。ただの激しい痛みか、痛みによる快感かわからぬままに声をあげた。兄上はまた楽しげに僕を見ている。

「痛い?気持ちいい?」

「あぐ、うぅぅ・・・っ」

「答えられないか」

苦しく唸るような声に、笑みを浮かべた兄上が手を僕のモノから手を放す。解放された僕のモノはそれと同時に欲を吐き出し、兄上にかけてしまう。

「はぁ・・・はぁ・・・」

「俺を汚すトアは悪い子だ」

「あに、うえ」

息絶え絶えの僕に、兄上は追い討ちをかけるように、かかった精液を自らの指に絡ませ、僕の口へ持っていく。

「口、開けて」

「は、い・・・んぁ」

兄上の人差し指、中指が、僕の口内で、僕の精液を塗りつけるようにして動く。舌を指に絡ませようとすると、親指まで入れられ、舌を掴まれた。

「可愛い舌」

舌を掴まれたまま伸ばされ、無理に舌を伸ばされた痛みで表情を歪ませれば、一言呟いてぺろりと兄の舌に舌を舐められた。

ただそれだけのことで、ぞくりと異様な快感を感じた気がした。舌から指が離され、名残惜しく感じながらも兄上を見れば、兄上は
あるものを手にし、僕のモノにつけた。

調整リング、外されるまでイかせない器具。

「あに・・・っうぁ」

「痛い?気持ちいい?」

取り付けられたそれを見て、兄上と呟こうとして、兄上に胸の傷を舐められ反応してしまう。

「どっち、も・・・ふっうっ」

染みて痛くて、でも兄上の舌で感じてしまう自分がいる。痛気持ちいいと言うべきか。耐えるような声に、兄上はそれをさらに求めるとばかりに真新しい傷を舐めあげていく。

リングがなければイっていたかもしれない。そう思うほどによくわからない何かが込み上げる。イっていてもおかしくないのに、イけないのがこんなにも辛いとは思わなかった。

痛くて、苦しくて、でも気持ちよくて、頭が狂いそうだ。兄上に胸の突起を潰すように指で掴み、ねじられた瞬間、びりびりとかけ上がるような何かが背筋を走り抜けた。

「あ、がああぁぁぁっ」

先日、兄上をいつかそこばかり攻めて余裕をなくしてしまおうと考えていた僕が、兄上に胸を明け渡し、逆に攻められている。

「今のイってたかな」

くすくすと舌を離し、指も離してようやく解放してくれ、笑う兄上は、いつも以上に余裕そうだったけど、僕には余裕をなくしたいなんて気持ちは微々としてない。

だって今の僕は、ただ兄上を満足させて、兄上の与えてくれるものを全て受け止めたいと思ってしまっているのだから。

「あに・・・うえ、あい、してま・・・す」

「俺も愛してるよ、トア」

こんな状況でも愛を呟いてくれる兄上。僕は今緩んだ笑みを浮かべていることだろう。

しかし、いじめ足りないとばかり暗く微笑む兄上の酔いはまだ冷めていない。
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