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番外編年齢制限なし
番外編~前編・南国の強制ラブの罠~
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朝食を終え、トアと共に向かったのは海。前世でも弟のこともあり、俺にとって人生初の海!テレビで見たことくらいはあるけど。
でもゲーム仕様?って言いたいくらいに、下が透けて見えるし、海なのにピンク。透き通ったピンクの海だ。俺の知ってる海じゃない。綺麗というか可愛らしい?
この世界の絵でも海は青だって書いてあったはずなんだが……え?何これ。
「南国の海は他と違い境界線があって、別の海として有名なんです。ここからは見えませんが綺麗に青とピンクで分かれているようです。」
「へー」
南国のイメージ崩れるなぁ………。
「どうも愛の海として有名らしく、ここに来た恋人たちは自然と愛を育んで、愛を深め、生涯の幸せを誓い、仲良く暮らせているようで……」
なるほど、なんで急に南国で休暇なのかと思えばそういうことか。確かにスイレンや黒人にもいいかもしれない。でもトアはこういうのを信じるタイプだったのは驚きだ。
「これ以上深められる愛があるかわからないけど、とりあえず着替えて入ろうか」
「は、はい!」
遠回しの言い方にもならない言葉で、俺たちの愛は深まりあっていることを伝えれば嬉しそうにするトア。うん、可愛い。
誰もいない更衣室で水着になるべく着替えを済ませ、同じく着替えたトアと共に海に入る前に水のシャワーを浴び、ようやく海へ足を向けた。
それまでの間、水着姿を恥ずかしそうにするトアはやっぱり羞恥心がたまにズレている気がする。俺たちもっと色々してるだろ?ってなるけど、可愛いので見守るだけだ。何はともあれ、色はともかく、綺麗な海なので躊躇いなく俺もトアも海へざぶざぶと入っていく。
暑い日差しの中だからひんやりとした海は心地いい。トアも気持ちいいのか笑みが浮かんでいる。そんなトアに、パシャリと海の水をかけた。
「やりましたね、兄上!」
意外とトアのテンションがあがっていたようだ。ノリよく言葉を言ってはパシャリと俺にかけ返す。
「やったな!」
まあなんだかんだ俺もピンクとはいえ、初めての海にテンションがあがらないはずもなく、ただ海の水を掛け合う遊びを楽しむ。
それで気づいたが、この海の水、甘い。掛け合っていれば口にも入って、トアも同じなのかびっくりした様子だ。
「海って甘いんですね?」
「いや、青い海はしょっぱいって書いてあったよな?」
前世でも確かそんな知識だ。
「ジュースみたいで美味しいです」
「確かに。でも、体にいいとは限らないし、自ら飲むべきではないな」
「そうですね」
いくら飲んでも害がないなら普通に飲みたいくらいには甘さ加減もよく、変に後味が残らない感じがいい。多少口に入っただけで思った感想。がぶがぶ飲むのはどちらにしろ微妙だ。この海は俺たちだけが入る訳じゃないし。
「あー……せっかくだし、泳ぐか!」
「泳げますかね?」
「俺が教えるから」
「兄上、泳げるんですか?」
「行ける気がする」
海は初めてだが、前世ではプールの授業があったし、泳げてもいた。だからリーアベルがよっぽど金槌とかでなければ前世の感覚を思い出していける気がする。
バシャバシャ
「兄上、すごいです!」
なんとか泳げた。クロールができたわけでもないのに、興奮気味にトアに褒められるのはいい気分だ。ついやる気が出たのか身体も熱くなってくる。
「トア、やってみろ」
「はい!」
さすがと言うべきか、なんなく普通に泳げている。クロールはできないが、やり方を教えさえすればトアなら独自で綺麗なフォームを得て泳げそうだ。我が弟ながら万能過ぎる。
「上手く泳げすぎだ」
「ふふっそうですか?楽しくて身体熱くなってきました」
まあ泳ぐのも体力使うし、熱くもなる。あと少し泳いだら水分補給も忘れないようにしないと。そう思いながら泳ぎの競争や海の中での追いかけっこもしてあまりこれ以上熱が籠るのもよくはないとトアと二人であがろうとして気づく。
「出られない……?」
「出ようとすると海の流れが………」
どうなっているのか、浜辺に向かおうとすると逆らえない波に元の位置、身体の肩辺りが浸かるまでの位置に戻される。
身体も熱いし……で、さらに気づいた。暑さで熱中症に近い症状かと思っていれば違う。これは暑さでと言うより興奮でというのが正しい。
「ここでヤれって?」
「愛の海の正体……でしょうか」
こんなの自然じゃなくて強制な愛でしかない。いるだけで熱くなっていく身体を治める方法はひとつしかなさそうだと苦笑し、諦める。
とりあえずもじもじするトアが可愛くて思わずキスをしてしまったのは仕方がない。
でもゲーム仕様?って言いたいくらいに、下が透けて見えるし、海なのにピンク。透き通ったピンクの海だ。俺の知ってる海じゃない。綺麗というか可愛らしい?
この世界の絵でも海は青だって書いてあったはずなんだが……え?何これ。
「南国の海は他と違い境界線があって、別の海として有名なんです。ここからは見えませんが綺麗に青とピンクで分かれているようです。」
「へー」
南国のイメージ崩れるなぁ………。
「どうも愛の海として有名らしく、ここに来た恋人たちは自然と愛を育んで、愛を深め、生涯の幸せを誓い、仲良く暮らせているようで……」
なるほど、なんで急に南国で休暇なのかと思えばそういうことか。確かにスイレンや黒人にもいいかもしれない。でもトアはこういうのを信じるタイプだったのは驚きだ。
「これ以上深められる愛があるかわからないけど、とりあえず着替えて入ろうか」
「は、はい!」
遠回しの言い方にもならない言葉で、俺たちの愛は深まりあっていることを伝えれば嬉しそうにするトア。うん、可愛い。
誰もいない更衣室で水着になるべく着替えを済ませ、同じく着替えたトアと共に海に入る前に水のシャワーを浴び、ようやく海へ足を向けた。
それまでの間、水着姿を恥ずかしそうにするトアはやっぱり羞恥心がたまにズレている気がする。俺たちもっと色々してるだろ?ってなるけど、可愛いので見守るだけだ。何はともあれ、色はともかく、綺麗な海なので躊躇いなく俺もトアも海へざぶざぶと入っていく。
暑い日差しの中だからひんやりとした海は心地いい。トアも気持ちいいのか笑みが浮かんでいる。そんなトアに、パシャリと海の水をかけた。
「やりましたね、兄上!」
意外とトアのテンションがあがっていたようだ。ノリよく言葉を言ってはパシャリと俺にかけ返す。
「やったな!」
まあなんだかんだ俺もピンクとはいえ、初めての海にテンションがあがらないはずもなく、ただ海の水を掛け合う遊びを楽しむ。
それで気づいたが、この海の水、甘い。掛け合っていれば口にも入って、トアも同じなのかびっくりした様子だ。
「海って甘いんですね?」
「いや、青い海はしょっぱいって書いてあったよな?」
前世でも確かそんな知識だ。
「ジュースみたいで美味しいです」
「確かに。でも、体にいいとは限らないし、自ら飲むべきではないな」
「そうですね」
いくら飲んでも害がないなら普通に飲みたいくらいには甘さ加減もよく、変に後味が残らない感じがいい。多少口に入っただけで思った感想。がぶがぶ飲むのはどちらにしろ微妙だ。この海は俺たちだけが入る訳じゃないし。
「あー……せっかくだし、泳ぐか!」
「泳げますかね?」
「俺が教えるから」
「兄上、泳げるんですか?」
「行ける気がする」
海は初めてだが、前世ではプールの授業があったし、泳げてもいた。だからリーアベルがよっぽど金槌とかでなければ前世の感覚を思い出していける気がする。
バシャバシャ
「兄上、すごいです!」
なんとか泳げた。クロールができたわけでもないのに、興奮気味にトアに褒められるのはいい気分だ。ついやる気が出たのか身体も熱くなってくる。
「トア、やってみろ」
「はい!」
さすがと言うべきか、なんなく普通に泳げている。クロールはできないが、やり方を教えさえすればトアなら独自で綺麗なフォームを得て泳げそうだ。我が弟ながら万能過ぎる。
「上手く泳げすぎだ」
「ふふっそうですか?楽しくて身体熱くなってきました」
まあ泳ぐのも体力使うし、熱くもなる。あと少し泳いだら水分補給も忘れないようにしないと。そう思いながら泳ぎの競争や海の中での追いかけっこもしてあまりこれ以上熱が籠るのもよくはないとトアと二人であがろうとして気づく。
「出られない……?」
「出ようとすると海の流れが………」
どうなっているのか、浜辺に向かおうとすると逆らえない波に元の位置、身体の肩辺りが浸かるまでの位置に戻される。
身体も熱いし……で、さらに気づいた。暑さで熱中症に近い症状かと思っていれば違う。これは暑さでと言うより興奮でというのが正しい。
「ここでヤれって?」
「愛の海の正体……でしょうか」
こんなの自然じゃなくて強制な愛でしかない。いるだけで熱くなっていく身体を治める方法はひとつしかなさそうだと苦笑し、諦める。
とりあえずもじもじするトアが可愛くて思わずキスをしてしまったのは仕方がない。
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