上 下
34 / 55
モブ恋愛年齢制限なし

側近番外編4~南の国の休暇の前の前準備(モブ視点)~

しおりを挟む
「南国のナンシアですか?」

それは突然の話だった。

「そう、いつも君たちには世話になってるから僕と兄上と同じ分長期休暇をとってどうかなって」

何やら王様が色々手を回して長期休暇をとろうとしていたことは知っていた。まあ、そうなれば自然と兄殿下もそうなるわけで、またスイレンが王様の代理かななんて思って、まあ恋人だし、真面目そうな顔して変態なとこもあるけど、サポートする気満々だった。

でもまさか俺たちまで誘われ、長期休暇を用意してくれるとは思わなかったんだ。そりゃスイレンと旅行とか、嬉しいけど、それって・・・。

「陛下の代理はどうするんですか?」

それだよな、スイレン。最初こそとりあえずだったけど、今スイレンと恋人になってからは王様に忠誠心はある。王様が長期休暇ほしいってんなら、大変でもそのためにスイレンと二人、いちいちうるさいやつも無視して仕事し、王様にも害虫になりそうなのは始末する。

俺の代わりなら家族で代用する手もあるし、信頼もできる。でも、王様の代理はスイレン以外に自分を守れて、尚且つ王様が帰ってきたときに余計な仕事を増やさず、行く前の状態もしくはよりよい方向にできる人物を調達は難しいんじゃ?

しかも王族の血筋じゃなきゃいけないし、そんな優秀なのがいて、そいつが裏切らないとも限らない。スイレンもそこが気になるのか、せっかくの長期休暇旅行を喜んで受け取れない。

「ぼくが代理をするから大丈夫」

「うわっい、いつからそこに・・・」

気配を全く感じなかった。そこにはボーイッシュな幼女の姿をした非公式の王様たちの弟であり、公式的な影の側近。俺が情報収集や暗殺なら、彼はその情報収集で得た悪人退治という名の組織壊滅や暗殺が目立たぬよう必要に応じた陽動する係り。どうにも彼は目立つやり方ばかりなので、影の側近とは名ばかりだ。おかげで俺の存在はさらに薄まり仕事は随分楽になったけど。

それにしても今日も多分博士はボロボロだ。意識がないせいか、博士の気配も感じなかった。

「陛下、弟様に任せるのは反発があるのでは」

スイレンが難しい顔をしている。確かに弟殿下は王族の血を持つ王妃と先王の生まれ変わりとも言える王様の血を持っているけど、人間じゃなく作られた存在だし、見た目は幼女だ。本人は男らしいけど。

「僕の記憶を持つから、僕とほぼ同じ判断を下せるし、書類も片付けさせてみれば僕より早いとも言えるし、ミスもない。さらに言えば寝ることは不要だから暗殺者が来てもすぐ対処ができる。万が一だけど、他国から攻められてもミーシャならひとりでなんとかしそうだろ?」

どうしよう、すごい納得できる。

「ぼく、頑張る。黒さん、包帯さん楽しんできて」

「「ありがとう」」

これ以上無駄な心配をして、王様の好意を無下にはできない。

こうして俺とスイレンは王様と兄殿下に付き添う形で南国ナンシアへ。着いた先は貸しきりの南国と、用意された二人部屋が二つ。ひとつは王様たち兄弟のでもうひとつは俺たち側近。

中々に豪華な部屋で、待遇がよすぎる気さえした。しかし、着いたのは夜遅く、長旅で疲れた俺とスイレンは二人部屋でありながらキングサイズのベットしかない寝室を見て、どこまでも世話を焼いてくれる王様の気遣いに、今日はとりあえず二人で仲良く寄り添って寝ることにした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】義弟を愛でていたらみんなの様子がおかしい

ちゃちゃ
BL
幼い頃に馬車の事故で両親が亡くなったレイフォードは父の従兄弟に当たるフィールディング侯爵家に引き取られることになる。 実の子のように愛され育てられたレイフォードに弟(クロード)が出来る。 クロードが産まれたその瞬間からレイフォードは超絶ブラコンへと変貌してしまう。 「クロードは僕が守るからね!」 「うんお兄様、大好き!(はぁ〜今日もオレのお兄様は可愛い)」 ブラコン過ぎて弟の前でだけは様子がおかしくなるレイフォードと、そんなレイフォードを見守るたまに様子のおかしい周りの人たち。 知らぬは主人公のみ。 本編は21話で完結です。 その後の話や番外編を投稿します。

兄を悪役にさせないために全力を出した結果~ヤンデレブラコン化は悪役よりマシですか?~

荷居人(にいと)
BL
まだ幼い5歳の時から優秀すぎる2歳年上の兄に対抗心を燃やし、同じ剣を無理矢理持とうとして重さに耐え切れず後ろから転倒、そのまま地面に運悪く頭もぶつけて意識を失ったと同時に思い出したのは前世の記憶。 それと同時にこの今生きる世界が、前世シスコンであった俺が妹と一緒にしていた乙女ゲーム『君と共に』の略してキミトモの世界であることを理解した。 ちなみ俺はキミトモの攻略対象の第二王子であり、兄はキミトモで最大の悪役となる第一王子。 「いや、ゲームならともかく現実で身内が悪役になるのわかってて放置……ってのもなぁ。何より兄さんってただの寂しがり屋が拗れただけだし?それに俺が王様とか絶対無理だし」 悪役になる原因がわかっているなら、その原因を取り除けばいい話。結果まさか兄がブラコンになるのはともかく(シスコンだった俺にブラコンは責められない)、ヤンデレになるなんて誰が予想できる? BL小説大賞用作品。応援していただけたら嬉しいです。 11月中に5万文字以上は目標にしたいためできる限り更新をしたいと考えています!休みの日に一気に書き上げて更新調整していきたいと思います。 さっそく感想くださった方、読んでくださってる方、お気に入り登録していただけた方、しおり挟んでくれてる方、ありがとうございます!とても励みになります! 10/27.21時28分HOTランキング4位確認!ありがとうございます! 10/28.19時23分人気ランキング19位、その他ランキング2位確認!ありがとうございます! 10/28お気に入り登録数1000越え!11/5お気に入り登録数2000越え!ありがとうございます!感想もかなり励みになります!ありがとうございます!ありがとうございます! 2020年12月25日BL大賞にて奨励賞いただきました!応援してくださった皆様ありがとうございます!

悪役の弟に転生した僕はフラグをへし折る為に頑張ったけど監禁エンドにたどり着いた

霧乃ふー  短編
BL
「シーア兄さまぁ♡だいすきぃ♡ぎゅってして♡♡」 絶賛誘拐され、目隠しされながら無理矢理に誘拐犯にヤられている真っ最中の僕。 僕を唯一家族として扱ってくれる大好きなシーア兄様も助けに来てはくれないらしい。 だから、僕は思ったのだ。 僕を犯している誘拐犯をシーア兄様だと思いこめばいいと。

ある日、人気俳優の弟になりました。

樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない

ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』 気付いた時には犯されていました。 あなたはこの世界を攻略 ▷する  しない hotランキング 8/17→63位!!!から48位獲得!! 8/18→41位!!→33位から28位! 8/19→26位 人気ランキング 8/17→157位!!!から141位獲得しました! 8/18→127位!!!から117位獲得

弟が兄離れしようとしないのですがどうすればいいですか?~本編~

荷居人(にいと)
BL
俺の家族は至って普通だと思う。ただ普通じゃないのは弟というべきか。正しくは普通じゃなくなっていったというべきか。小さい頃はそれはそれは可愛くて俺も可愛がった。実際俺は自覚あるブラコンなわけだが、それがいけなかったのだろう。弟までブラコンになってしまった。 これでは弟の将来が暗く閉ざされてしまう!と危機を感じた俺は覚悟を持って…… 「龍、そろそろ兄離れの時だ」 「………は?」 その日初めて弟が怖いと思いました。

処理中です...