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本編完結(年齢制限無し)
婚約者
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「え?今なんと?」
「最近、お前の噂はよいのか微妙だが、悪くはない。しかし、セトアをあまり甘やかされるわけにはいかない。だからセトアよりは上だが、年下の婚約者を見つけてきた。年下を構いたいなら婚約者に構え。」
婚約者。リーアベルに婚約者。ゲームにリーアベルの婚約者情報はなかった。情報がないだけで裏設定で実はいたんだろうか?いや、幼なじみが話してない可能性も………。なら、処刑されてから婚約者は一体………?いやいや、それよりも、俺まだ8歳で年下の婚約者ってなんだ。トアは3歳だし、甘やかすのは俺だけだ。
さすがに厳しくしすぎじゃないか?それとも前世の記憶を知る前の俺が我が儘放題だったから俺の影響を受けさせないため?それにしたって、トアに会う機会を減らそうとするのは頂けない。俺は年下を甘やかしたいんじゃなく、トアに構って甘やかしてやりたいんだ。
「お言葉ですが、ただでさえトアとの時間は少ないのです。まだトアは子供、甘やかせとは言いません。せめて、厳しく接するばかりじゃなく、優しくしてあげてください。愛情を知ってこそ、民を想える王になると思うのです。」
「愛情を知らぬお前が言うか」
「トアを愛しく思う心こそ愛情だと私は思っております。」
相手が父だろうが、王だろうが、トアの幸せのためならいくらでも反抗してやる。婚約者なんていずれ死ぬ俺には不要だ。にしても愛情を知らぬお前と言う時点で最初からリーアベルが愛されていないのがわかる。だからこそトアに厳しくとも構う親を見て、トアは親に愛されていると勘違いしたのだろう。
我が儘放題なのは親に構ってほしいという悲鳴に似たようなものだったのかもしれない。この親はきっと子をこの国を守るための道具にしか見ていない。だから優秀であることばかりに目をかける。
「愛情などいらぬ。王とは非情であらねばならない。できそこないのお前がいれば、セトアにも悪影響だ。愛情とやらは婚約者アイリス・リトレーンにでも与えろ」
アイリス・リトレーン!?
「私の婚約者の名はアイリス・リトレーンなのですか」
「そうだが?」
アイリス・リトレーンはヒロインの名。こんなにもヒロインは早くに現れるのか。話の内容で確かに幼い頃何度かヒロインとトアが出会うということは聞いている。結局リーアベルの企みで会えなくなり、次の再会は学園。互いに覚えており、トアは唯一心が開けた人物として久々の再会から関わる内に互いに惹かれ合い………最後は結婚するわけだ。
まさかリーアベルの婚約者として王宮に招かれ、トアと会うことになるとは。リーアベルの婚約者ならば、リーアベルがヒロインの屋敷で会うことに決めれば会えなくするのは簡単。恐らくトアとヒロインの婚約イベントで、リーアベルの知らぬ間にヒロインと婚約破棄されるのだろう。
そう思うと不憫な気もするが、まさかリーアベルの婚約者設定があったとは思わなかった。これを逃せばヒロインと学園で会っても関わりを持つのは難しくなるかもしれない。それにトアを可愛がるのはヒロインが現れるまで。
9歳になる目前にして、こんなにも早く訪れるとは思わなかった。
「わかりました。婚約者を受け入れます。」
「明日訪れる。しっかりもてなすように」
「はい」
まさかこれが弟を歪めてしまうとは、今の俺は全く考えもつかなかった。
「最近、お前の噂はよいのか微妙だが、悪くはない。しかし、セトアをあまり甘やかされるわけにはいかない。だからセトアよりは上だが、年下の婚約者を見つけてきた。年下を構いたいなら婚約者に構え。」
婚約者。リーアベルに婚約者。ゲームにリーアベルの婚約者情報はなかった。情報がないだけで裏設定で実はいたんだろうか?いや、幼なじみが話してない可能性も………。なら、処刑されてから婚約者は一体………?いやいや、それよりも、俺まだ8歳で年下の婚約者ってなんだ。トアは3歳だし、甘やかすのは俺だけだ。
さすがに厳しくしすぎじゃないか?それとも前世の記憶を知る前の俺が我が儘放題だったから俺の影響を受けさせないため?それにしたって、トアに会う機会を減らそうとするのは頂けない。俺は年下を甘やかしたいんじゃなく、トアに構って甘やかしてやりたいんだ。
「お言葉ですが、ただでさえトアとの時間は少ないのです。まだトアは子供、甘やかせとは言いません。せめて、厳しく接するばかりじゃなく、優しくしてあげてください。愛情を知ってこそ、民を想える王になると思うのです。」
「愛情を知らぬお前が言うか」
「トアを愛しく思う心こそ愛情だと私は思っております。」
相手が父だろうが、王だろうが、トアの幸せのためならいくらでも反抗してやる。婚約者なんていずれ死ぬ俺には不要だ。にしても愛情を知らぬお前と言う時点で最初からリーアベルが愛されていないのがわかる。だからこそトアに厳しくとも構う親を見て、トアは親に愛されていると勘違いしたのだろう。
我が儘放題なのは親に構ってほしいという悲鳴に似たようなものだったのかもしれない。この親はきっと子をこの国を守るための道具にしか見ていない。だから優秀であることばかりに目をかける。
「愛情などいらぬ。王とは非情であらねばならない。できそこないのお前がいれば、セトアにも悪影響だ。愛情とやらは婚約者アイリス・リトレーンにでも与えろ」
アイリス・リトレーン!?
「私の婚約者の名はアイリス・リトレーンなのですか」
「そうだが?」
アイリス・リトレーンはヒロインの名。こんなにもヒロインは早くに現れるのか。話の内容で確かに幼い頃何度かヒロインとトアが出会うということは聞いている。結局リーアベルの企みで会えなくなり、次の再会は学園。互いに覚えており、トアは唯一心が開けた人物として久々の再会から関わる内に互いに惹かれ合い………最後は結婚するわけだ。
まさかリーアベルの婚約者として王宮に招かれ、トアと会うことになるとは。リーアベルの婚約者ならば、リーアベルがヒロインの屋敷で会うことに決めれば会えなくするのは簡単。恐らくトアとヒロインの婚約イベントで、リーアベルの知らぬ間にヒロインと婚約破棄されるのだろう。
そう思うと不憫な気もするが、まさかリーアベルの婚約者設定があったとは思わなかった。これを逃せばヒロインと学園で会っても関わりを持つのは難しくなるかもしれない。それにトアを可愛がるのはヒロインが現れるまで。
9歳になる目前にして、こんなにも早く訪れるとは思わなかった。
「わかりました。婚約者を受け入れます。」
「明日訪れる。しっかりもてなすように」
「はい」
まさかこれが弟を歪めてしまうとは、今の俺は全く考えもつかなかった。
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