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「その偽物の父がした所業に怒りを覚えるが、それ以上にそのことに気づかず助けられなかったばかりか、ぶくぶくと太っていた自分が情けない」
「さすがにまだ出会えてもなかったパパが悪いことなんて何もないよ?」
会えてすらいなかった過去だというのに、僕を助けられなかったと悔しそうにするパパ。さすがになんで僕を早く助けてくれなかったの?なんて思うはずもない。だってパパは僕のことを知りもしなかっただろうから。子爵家について調べていたとしても紙の上じゃわからないことなんて多数にあるし。
それにぶくぶく太っていたとは言うけど、ぽっちゃり程度だし、僕を抱き上げるだけの力もあることを思うと、ただぶくぶく太っていたとは思えない。公爵家の後継ぎが決まってるってことはそれだけのこともしてきたんだろうし……。
「俺はラフィの本物の父なんだろう?」
「それは……うん」
だってこんなにも安心する人初めてだったから。僕の理想のパパだと直感的にも思えたのは間違いない。だからこそ本物の父なんだ。あの日見た親子のような理想な親子にパパとならなれると思うから。
どうしようもない過去ですらここまで自分を責めるパパには悪いけれど、これでこそ僕の求めたパパだと実感する。
「なら息子の苦しみを感じ取れなかった責任は俺にもある」
「パパ……」
そんなできるはずもないことを言い切るパパだけど、それが僕を思ってのことなのだから嬉しくないわけがない。思わず感動で涙すら出そうになってぐりぐりと父の胸に頭を擦り付けて耐える。パパが僕のパパであろうとしてくれるのがとても伝わってきたから。
「すぐにでもラフィを苦しめた子爵家をどうにかしてやりたいが、この姿では示しがつかない。ダイエットを……実行しよう」
「パパはそのままでもかっこいいよ?」
「気持ちは嬉しいが俺は自分のことも客観的に見れると自負している。ラフィにとってかっこいいのは嬉しいが、俺のせいでラフィまでバカにされる自体は俺が許せないんだ」
「そんなの周りが見る目ないだけなのに……でもパパが僕のためだって言うなら嬉しいから僕も協力する!」
多分パパは何度かダイエットに挑戦してきたんだろう。でも失敗してきたのがわかる。だってどこか不安げに瞳が揺れていたから。誰だって失敗してきたことに挑戦するのは不安になるものだ。例えそれがパパだって。僕はパパに完璧を求めてるわけじゃないから、ダイエットに失敗して今のままでも構わないのに。
でも、パパがしたいと言うなら僕は応援する。それが僕のためだって言ってくれるパパのためならいくらだって。
「ラフィが協力してくれるなら百人力だな」
だと言っても僕にできることがあるのかもわからないのに、百人力だなんて……。
「百人力なんて期待しすぎだよ?」
「ラフィがいるだけで何でもできそうなんだ」
「ふふ、何それ~」
「本当だぞ?こんなにも心が落ち着いてるのもラフィがいるからだと断言できる」
「それは僕もパパだから安心して身を任せられるって断言できるよ」
パパと僕には互いを惹きつけ合う何かがあるのかもしれない。だってどちらも言葉に確信を持っているから。
そんな場面でぐうぅとお腹が鳴ったのはパパだった。
「う……っダイエットすると言いながらこれか」
「ふふ、ダイエットって言っても断食しろってことじゃないから。何か食べよう?僕もお腹空いちゃった」
「ラフィがそう言うなら……そうだな」
そういうことで起きてからも話していて時間が結構経ったようだけど、ようやく食事をすることになった。
「さすがにまだ出会えてもなかったパパが悪いことなんて何もないよ?」
会えてすらいなかった過去だというのに、僕を助けられなかったと悔しそうにするパパ。さすがになんで僕を早く助けてくれなかったの?なんて思うはずもない。だってパパは僕のことを知りもしなかっただろうから。子爵家について調べていたとしても紙の上じゃわからないことなんて多数にあるし。
それにぶくぶく太っていたとは言うけど、ぽっちゃり程度だし、僕を抱き上げるだけの力もあることを思うと、ただぶくぶく太っていたとは思えない。公爵家の後継ぎが決まってるってことはそれだけのこともしてきたんだろうし……。
「俺はラフィの本物の父なんだろう?」
「それは……うん」
だってこんなにも安心する人初めてだったから。僕の理想のパパだと直感的にも思えたのは間違いない。だからこそ本物の父なんだ。あの日見た親子のような理想な親子にパパとならなれると思うから。
どうしようもない過去ですらここまで自分を責めるパパには悪いけれど、これでこそ僕の求めたパパだと実感する。
「なら息子の苦しみを感じ取れなかった責任は俺にもある」
「パパ……」
そんなできるはずもないことを言い切るパパだけど、それが僕を思ってのことなのだから嬉しくないわけがない。思わず感動で涙すら出そうになってぐりぐりと父の胸に頭を擦り付けて耐える。パパが僕のパパであろうとしてくれるのがとても伝わってきたから。
「すぐにでもラフィを苦しめた子爵家をどうにかしてやりたいが、この姿では示しがつかない。ダイエットを……実行しよう」
「パパはそのままでもかっこいいよ?」
「気持ちは嬉しいが俺は自分のことも客観的に見れると自負している。ラフィにとってかっこいいのは嬉しいが、俺のせいでラフィまでバカにされる自体は俺が許せないんだ」
「そんなの周りが見る目ないだけなのに……でもパパが僕のためだって言うなら嬉しいから僕も協力する!」
多分パパは何度かダイエットに挑戦してきたんだろう。でも失敗してきたのがわかる。だってどこか不安げに瞳が揺れていたから。誰だって失敗してきたことに挑戦するのは不安になるものだ。例えそれがパパだって。僕はパパに完璧を求めてるわけじゃないから、ダイエットに失敗して今のままでも構わないのに。
でも、パパがしたいと言うなら僕は応援する。それが僕のためだって言ってくれるパパのためならいくらだって。
「ラフィが協力してくれるなら百人力だな」
だと言っても僕にできることがあるのかもわからないのに、百人力だなんて……。
「百人力なんて期待しすぎだよ?」
「ラフィがいるだけで何でもできそうなんだ」
「ふふ、何それ~」
「本当だぞ?こんなにも心が落ち着いてるのもラフィがいるからだと断言できる」
「それは僕もパパだから安心して身を任せられるって断言できるよ」
パパと僕には互いを惹きつけ合う何かがあるのかもしれない。だってどちらも言葉に確信を持っているから。
そんな場面でぐうぅとお腹が鳴ったのはパパだった。
「う……っダイエットすると言いながらこれか」
「ふふ、ダイエットって言っても断食しろってことじゃないから。何か食べよう?僕もお腹空いちゃった」
「ラフィがそう言うなら……そうだな」
そういうことで起きてからも話していて時間が結構経ったようだけど、ようやく食事をすることになった。
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