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6ー本編完結ー

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「わかってますよ?」

「そうですか………ちなみにいつからローゼンを慕われて?」

「今思えば初めて出会ったときでしょうね」

その王弟の言葉にその場にいる全員が凍りついたのがわかる。確か、王弟と今の私が初めて出会ったときというと、覚えはないが………話には聞いている。

「生後5ヶ月の赤ん坊をそういう目で見ていたというのか!?」

「陛下……それでは私が変態のようではないですか」

「十分変態だと思うが?」

やれやれと仕方ないなぁとばかりの王弟に誰もが引いていた。世の中は広いものだね、本当に。

「私はローゼン嬢だから慕っているのですよ。ローゼン嬢が0歳だろうと100歳だろうとローゼン嬢なら私は慕っていました」

随分極端すぎやしないかい?にしても私だから慕うという言葉がどうも引っ掛かるね………。私の何が王弟を惹き付けたのか………。何より生後5ヶ月だったわけだしねぇ?

「陛下!さすがに王弟殿下とはいえ、この婚約は………」

「うむ、さすがに私もどうかと……」

どうやら考えてる間にも危ない認定され、婚約することはなくなりそうだ。まあ、普通に考えればそうなるだろうね。

「ローゼン嬢にも聞かずに決めるのですか?」

「年齢を考えないか、お前は」

「運命に年は関係ないので」

「何を言っとるんだ、お前は」

もはや陛下にお前呼ばわりされているわけだが、王弟はどこ吹く風とばかりに気にした様子はない。

にしても王弟が運命などを信じるとは思えないんだけどねぇ。

「ローゼン嬢はまだ思い出せないかい?……うーん、話し方のせいか?私は……いや、俺は一目見てわかったてぇのによ。約束通り生まれ変わっても浮気はしてねーぞ?」

「まさか………」

娘がいるならもしかしてと思わなかったわけじゃない。でもあちらで生き延びていればそれはそれでよかったんだ。組たちのもんも大事だったからね。

けど再び会えるならと何度思ったことか。確かにこれは運命かもしれないねぇ。

「今世でも俺の妻になってくれねぇか?」

「ふ………っ当たり前だよ!」

「これ、お父さんまで義理とはいえ息子になるパターン?え、複雑なんだけど」

私の母が何かぶつぶつ言っていたけど、今の私はそれを気にしてられないくらい喜びに溢れている。姿形変わろうと巡りめぐって前世の最高の旦那と再び夫婦になれるなら、最高以外にないだろう?

「いいのかローゼン嬢!?私の弟とはいえ変態だぞ!?」

「娘が………娘がおっさんにぃぃ!」

まあこの後色々ひと悶着あったけれど、複雑そうな元娘の協力のもとなんとか婚約は結ばれ、待ちきれないと元旦那は周囲を振り切り半年後再び夫婦となったのは言うまでもない。

END

(王太子視点おまけに続く)
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