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2章元婚約者と旦那様
その頃2~王太子視点~
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「なんだ、これは………!」
私の護衛兼影であるキースから手紙で報告が来た。最初は謎だらけで調べるのが難しいと言われた伯爵家の弱味もキースにかかればやはり私が見込んだだけあると思い内容を楽しみに紙を開くとそこには裏切りの文。
『バレました。伯爵様の男と結婚して伯爵様に逆らわなければ生きれるみたいなんで裏切りますね』
「キースぅうぅぅ!」
この手紙が送られてきたのはあのルーチェ伯爵から許しを得て送られたという証拠そのもの。自らの信頼する人物を裏切らせて私をバカにしているに違いない。
この伯爵様の男と結婚はまたキースの勘違いだろうから鵜呑みにはできない。これが本当ならルーチェ伯爵の怪しい噂でも流せたものの………このキースの言葉のままに送らせたのもわざとだと思うと益々腹が立つ。
キースの聞き間違えには慣れているし、こんな罠にはまるはずもない。どうせ伯爵家に仕えろという伝え方が悪かったのだろう。キースの聞き間違えは素人に扱えないだろうからな。
だからこそ使いやすくもあったのだが………簡単に裏切り………ん?二枚目?
『追記、女にモテないと思ってましたが俺は男にモテるんですかね?もしかして殿下も俺のこと好きでした?ごめんなさい、結婚してしまいます』
「きぃいぃぃすぅうぅぅぅ!」
こいつは!最後まで!本当に!誰が男なんかに惚れるか!なんで私がお前なんかに振られなきゃならない!私が愛しているのはたったひとりのお・ん・なであいつにも散々言ったはずだ!何がどうなってそんな発想になる!
バカなのか!いや、バカだが!勘違い、聞き間違えも大概にしろ!
「で、殿下?」
「この手紙をすぐ燃やせ!」
あまりの怒りに私らしくもなく激情し、周囲を怖がらせてしまったようだ。しばらくすると落ち着きを取り戻し冷静になる。誰にだって間違いはあるわけで、私は結局キースを使ったのが間違いだったのだろう。バカはバカでもただのバカでは終わらないことに期待した私こそが愚かだった。素直に反省すべき点だ。
弱味がないものなどいるはずもないが、調べるとなるとかなりの手の者が必要なのは承知している。下手に突っ込もうとすれば父に邪魔もされるだろう。
「まあまずは調べに行かずとも向こうから来るのだからその時を待てばいいか」
「セイ様……あの」
「ああ、すまない。怖がらせたな」
「いえ……それよりも先程使いの方が陛下に呼ばれていると」
「父上が……?わかった。少し待っていてくれ」
「はい」
どうせキースのことだろうと面倒に思いながらその先に待つものを知らずに私は謁見の場へ向かうのだった。
私の護衛兼影であるキースから手紙で報告が来た。最初は謎だらけで調べるのが難しいと言われた伯爵家の弱味もキースにかかればやはり私が見込んだだけあると思い内容を楽しみに紙を開くとそこには裏切りの文。
『バレました。伯爵様の男と結婚して伯爵様に逆らわなければ生きれるみたいなんで裏切りますね』
「キースぅうぅぅ!」
この手紙が送られてきたのはあのルーチェ伯爵から許しを得て送られたという証拠そのもの。自らの信頼する人物を裏切らせて私をバカにしているに違いない。
この伯爵様の男と結婚はまたキースの勘違いだろうから鵜呑みにはできない。これが本当ならルーチェ伯爵の怪しい噂でも流せたものの………このキースの言葉のままに送らせたのもわざとだと思うと益々腹が立つ。
キースの聞き間違えには慣れているし、こんな罠にはまるはずもない。どうせ伯爵家に仕えろという伝え方が悪かったのだろう。キースの聞き間違えは素人に扱えないだろうからな。
だからこそ使いやすくもあったのだが………簡単に裏切り………ん?二枚目?
『追記、女にモテないと思ってましたが俺は男にモテるんですかね?もしかして殿下も俺のこと好きでした?ごめんなさい、結婚してしまいます』
「きぃいぃぃすぅうぅぅぅ!」
こいつは!最後まで!本当に!誰が男なんかに惚れるか!なんで私がお前なんかに振られなきゃならない!私が愛しているのはたったひとりのお・ん・なであいつにも散々言ったはずだ!何がどうなってそんな発想になる!
バカなのか!いや、バカだが!勘違い、聞き間違えも大概にしろ!
「で、殿下?」
「この手紙をすぐ燃やせ!」
あまりの怒りに私らしくもなく激情し、周囲を怖がらせてしまったようだ。しばらくすると落ち着きを取り戻し冷静になる。誰にだって間違いはあるわけで、私は結局キースを使ったのが間違いだったのだろう。バカはバカでもただのバカでは終わらないことに期待した私こそが愚かだった。素直に反省すべき点だ。
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「まあまずは調べに行かずとも向こうから来るのだからその時を待てばいいか」
「セイ様……あの」
「ああ、すまない。怖がらせたな」
「いえ……それよりも先程使いの方が陛下に呼ばれていると」
「父上が……?わかった。少し待っていてくれ」
「はい」
どうせキースのことだろうと面倒に思いながらその先に待つものを知らずに私は謁見の場へ向かうのだった。
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