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2章元婚約者と旦那様
返して~???視点~
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ここはどこ?気がつけば私は何も見えない場所にいた。
「誰か……いないの?」
何も聞こえない、何も見えない、何も感じない。今歩いているのかすら感覚がない。ただ感情だけが残されて不安ばかりが募る。
「ねぇ、お願い誰か!返事を!」
何故自分がこんなところに?私にはひとつだけもしかしてという考えはあったがそれだけは信じたくなくてただ私は誘拐でもされて今は夜なだけでと自分の都合のよいように考える。
きっと殿下が気づいて私を助け出してくれるに違いないと。だって私には殿下だけが救いだから。
「殿下………?」
そう殿下のことを考えていれば一筋の光が。それを辿ると愛しき人の姿が見えてきた。だけど隣に誰かがいる。
「ああ、ミリーナ嬢来たか」
「殿下……っ何故」
何故何故何故?貴方の隣にあの女が?何故殿下はあの女の腰を抱いているの?殿下は私の婚約者で私は殿下じゃなきゃだめなのに!
「何故って何がだ?」
「殿下の婚約者は私です……!なのにっ」
「何を言っている?」
「え?」
「婚約破棄したばかりだというのに忘れたか?」
誰か教えて。殿下は何を言っているの?私にはわからない。わかりたくない……だって私は殿下と結婚しなきゃだめなのに。
「全く付き合いきれないな」
「ま……待って!ひとりにしないで!」
殿下があの女と共に去っていく。追いかけようとしているのに殿下たちには離されていくばかりでついには消えてしまう。
そうだ、これは夢に違いない。だってこんなに真っ暗なところあるはずもないし、殿下が急に現れたのもおかしな話で婚約破棄なんてされるはずが………。
「されたんだよ、婚約破棄」
「ひぃっ」
急に響き渡る声。どこにいるのかもわからず声だけが辺りに響く。だけどその声は誰よりも知っている。今最も会いたくない人物。
「だから言ったよね。無駄だって」
「………っ」
耳を塞ぎたいのに声は止まない。いつもこの声は、言葉は私を追い詰めようとしてくる。
「僕との結婚が決まったよ。これでミリーナは僕だけのもの。君ももう逃げられない」
「違う違う違う違う!」
あの人とだけは結婚したくない!こんなの嘘ばっかりに決まってる!だって殿下と結婚すれば大丈夫なはずで……っ
「まあいくら否定しても君はもう消えるだけ、ねぇ偽物お嬢さん?」
「偽物じゃない!私がミリーナよ!」
「君がどう思おうが私の愛したミリーナが本物だよ。何度もそう言ってきたよね?ほら、もう消えかけてるし………さようなら?」
「あ………あ……いやあぁぁあぁ返して!私を、ミリーナの身体を返してえぇ!」
それ以上声が聞こえることはなかった。
「誰か……いないの?」
何も聞こえない、何も見えない、何も感じない。今歩いているのかすら感覚がない。ただ感情だけが残されて不安ばかりが募る。
「ねぇ、お願い誰か!返事を!」
何故自分がこんなところに?私にはひとつだけもしかしてという考えはあったがそれだけは信じたくなくてただ私は誘拐でもされて今は夜なだけでと自分の都合のよいように考える。
きっと殿下が気づいて私を助け出してくれるに違いないと。だって私には殿下だけが救いだから。
「殿下………?」
そう殿下のことを考えていれば一筋の光が。それを辿ると愛しき人の姿が見えてきた。だけど隣に誰かがいる。
「ああ、ミリーナ嬢来たか」
「殿下……っ何故」
何故何故何故?貴方の隣にあの女が?何故殿下はあの女の腰を抱いているの?殿下は私の婚約者で私は殿下じゃなきゃだめなのに!
「何故って何がだ?」
「殿下の婚約者は私です……!なのにっ」
「何を言っている?」
「え?」
「婚約破棄したばかりだというのに忘れたか?」
誰か教えて。殿下は何を言っているの?私にはわからない。わかりたくない……だって私は殿下と結婚しなきゃだめなのに。
「全く付き合いきれないな」
「ま……待って!ひとりにしないで!」
殿下があの女と共に去っていく。追いかけようとしているのに殿下たちには離されていくばかりでついには消えてしまう。
そうだ、これは夢に違いない。だってこんなに真っ暗なところあるはずもないし、殿下が急に現れたのもおかしな話で婚約破棄なんてされるはずが………。
「されたんだよ、婚約破棄」
「ひぃっ」
急に響き渡る声。どこにいるのかもわからず声だけが辺りに響く。だけどその声は誰よりも知っている。今最も会いたくない人物。
「だから言ったよね。無駄だって」
「………っ」
耳を塞ぎたいのに声は止まない。いつもこの声は、言葉は私を追い詰めようとしてくる。
「僕との結婚が決まったよ。これでミリーナは僕だけのもの。君ももう逃げられない」
「違う違う違う違う!」
あの人とだけは結婚したくない!こんなの嘘ばっかりに決まってる!だって殿下と結婚すれば大丈夫なはずで……っ
「まあいくら否定しても君はもう消えるだけ、ねぇ偽物お嬢さん?」
「偽物じゃない!私がミリーナよ!」
「君がどう思おうが私の愛したミリーナが本物だよ。何度もそう言ってきたよね?ほら、もう消えかけてるし………さようなら?」
「あ………あ……いやあぁぁあぁ返して!私を、ミリーナの身体を返してえぇ!」
それ以上声が聞こえることはなかった。
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