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1章これがモブだと?
侵入者
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「ミリーナが戻ってきた今、やはり色々知るべきだな」
「は、はぁ……?」
ようやく本題かと思うものの、正直初っぱなから何が言いたいのか理解できません。誰か助けて。
「ルーチェ伯爵は先程も伝えたとおり謎に満ちた家だ。調べさせたものの何の情報も手に入らない」
「一切ですか?」
思わずえ?となり、再確認する。だってミリーナは公爵家の生まれで名字こそ覚えられないが、王家に近い存在と言われるほどに仕える者たちも優秀だったはず。
旦那様には言い方が悪くなるけど伯爵家程度に何の情報も手に入らないというのはさすがに……逆ならわかっても。ミステリアスな旦那様素敵とは思ったけどそう言われるとおかしな気がしてならない。
「一切だ。簡単な話、伯爵家に忍ばせた者全員が帰ってきていない。だというのに向こうからの接触は特にない。あったのはミリーナとの婚約の話のみ……何を考えているのかすらもわからん」
決してお父様は無能というわけではない。だからこそそのお父様を悩ませる旦那様ってやっぱり普通じゃないわけで……。
どう考えてもモブに留まる人物じゃないよね?
「うーん……でも私のことは大事にしてくれそうですよ?」
寧ろ大事にされ過ぎて結婚後お父様と会えなくなるんじゃないかなとか思ってる。
『きっと私は貴女を閉じ込めてしまう』
そう言われた時の言葉が頭に響き渡って思い出すだけで身体中が熱くなった。あの時の旦那様の瞳は私以外映すものは何もないとばかりに熱い眼差しでとてもどきどきしたの。
「しかし、ミリーナ……私はお前が心配だ。やはり婚約はなしにするようなんとか……」
「勝手なことをなさらないで、お父様」
そんな想いを滾らせていた私にお父様の言葉は頭が冷えるのに十分だった。やっと見つけた大事なものをとられるようなそんな想いに駆られて気がつけば低く冷たい声が出ていた。
そんな私にお父様は目を見開いて口を閉じ、息を飲み込む。しかし、そんなお父様を私は冷たく見ることしかできない。
だって私と旦那様を離そうとしたから。
「み、ミリー……」
「上から失礼します」
そんな空気を切断するかのように現れたのは天井から舞い降りた黒に包まれた何か。わかるのは人で男性だろうという予測だけ。もしかしたら男装した女性かもしれないしね?
「誰だ。ここがどこかわかってのことか」
突然現れた人物にすぐに先程の狼狽えた様子を切り替えて公爵としての姿をとるお父様。警戒した様子から公爵の者でないのは明らかなのだろう。
「ええ、まあ。公爵家にしては随分と探索がしやすかったですがね」
「貴様……!」
まるでお父様に喧嘩を売るような態度に相手が身分を特に気にしていない様子が見てとれる。お父様は警戒しているけど何故か私は落ち着いていて、相手が父と話始めた時に頭がツキリと痛んだと同時にこの人は大丈夫だと理由もなく安心している自分がいた。
「は、はぁ……?」
ようやく本題かと思うものの、正直初っぱなから何が言いたいのか理解できません。誰か助けて。
「ルーチェ伯爵は先程も伝えたとおり謎に満ちた家だ。調べさせたものの何の情報も手に入らない」
「一切ですか?」
思わずえ?となり、再確認する。だってミリーナは公爵家の生まれで名字こそ覚えられないが、王家に近い存在と言われるほどに仕える者たちも優秀だったはず。
旦那様には言い方が悪くなるけど伯爵家程度に何の情報も手に入らないというのはさすがに……逆ならわかっても。ミステリアスな旦那様素敵とは思ったけどそう言われるとおかしな気がしてならない。
「一切だ。簡単な話、伯爵家に忍ばせた者全員が帰ってきていない。だというのに向こうからの接触は特にない。あったのはミリーナとの婚約の話のみ……何を考えているのかすらもわからん」
決してお父様は無能というわけではない。だからこそそのお父様を悩ませる旦那様ってやっぱり普通じゃないわけで……。
どう考えてもモブに留まる人物じゃないよね?
「うーん……でも私のことは大事にしてくれそうですよ?」
寧ろ大事にされ過ぎて結婚後お父様と会えなくなるんじゃないかなとか思ってる。
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そう言われた時の言葉が頭に響き渡って思い出すだけで身体中が熱くなった。あの時の旦那様の瞳は私以外映すものは何もないとばかりに熱い眼差しでとてもどきどきしたの。
「しかし、ミリーナ……私はお前が心配だ。やはり婚約はなしにするようなんとか……」
「勝手なことをなさらないで、お父様」
そんな想いを滾らせていた私にお父様の言葉は頭が冷えるのに十分だった。やっと見つけた大事なものをとられるようなそんな想いに駆られて気がつけば低く冷たい声が出ていた。
そんな私にお父様は目を見開いて口を閉じ、息を飲み込む。しかし、そんなお父様を私は冷たく見ることしかできない。
だって私と旦那様を離そうとしたから。
「み、ミリー……」
「上から失礼します」
そんな空気を切断するかのように現れたのは天井から舞い降りた黒に包まれた何か。わかるのは人で男性だろうという予測だけ。もしかしたら男装した女性かもしれないしね?
「誰だ。ここがどこかわかってのことか」
突然現れた人物にすぐに先程の狼狽えた様子を切り替えて公爵としての姿をとるお父様。警戒した様子から公爵の者でないのは明らかなのだろう。
「ええ、まあ。公爵家にしては随分と探索がしやすかったですがね」
「貴様……!」
まるでお父様に喧嘩を売るような態度に相手が身分を特に気にしていない様子が見てとれる。お父様は警戒しているけど何故か私は落ち着いていて、相手が父と話始めた時に頭がツキリと痛んだと同時にこの人は大丈夫だと理由もなく安心している自分がいた。
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