酒井物語

おもちうさぎ

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中学時代編

疑い

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休み時間、堀川は酒井をまた呼び出し、放課後校長室へ行くようにと指示した。

しかし放課後、酒井はそれを忘れて家に帰ってしまった。

酒井が家で呑気にテレビゲームをしていたその頃、校長室では…

「堀川くん」

「は、はい…校長」

「酒井舞由李はまだこないのかね」

「そのようですね」

「わしはもう1時間も待っているんだぞ」

「まぁまぁ、落ち着いて…」

「まぁまぁじゃない!」

「もしかして、帰ってしまったのでしょうかね?」

「なんで帰るんだ!君はよっぽど生徒に信頼されていないんじゃないのか?」

「いえ、そんなことはありません。僕はクラス全員と個人ノートで毎日コミュニケーションを取っているんですよ」

「ほう、それで酒井舞由李とはそのノートでどういう話をしているんだね」

「ええと…クイズごっことか。お互いにクイズを出し合うんですよ。彼女も結構難しいクイズを出してくるので、毎回苦戦しています」

「なにがクイズごっこだ。もうお前には愛想がつきたわ」

校長は呆れてため息をついた。

「もしかして酒井舞由李がここへ来ないのは、例の犯人だからじゃないのか?」

「はぁ…やっぱりそうか。信じられないな。僕のクラスの生徒がそんなことをするなんて…」

「何を言ってる。お前のクラスの生徒なら十分あり得ることだ」

「そ…そんな~」

「とにかくお前は今から酒井舞由李の家に行って、彼女をここへ連れてきなさい!」

「は…はい」

堀川は学校を出て、酒井の家へ向かった。

ブザーを押すと、酒井舞由李本人が彼を迎えた。

「よ…よう、酒井」

ぎこちなく挨拶をする堀川。

「なにか用ですか、先生?」

堀川は返事をせず、勝手にズカズカと家の中に入っていった。

「うわっ…!汚ねー部屋だな~」

勝手に入って来ておきながら、文句を言う堀川。

「取りあえず、お茶でももらおうかな」

「は?ふざけないでくださいよ。早く用件を言ってください」

酒井に凄まれ、堀川は仕方なく事情を説明した。

「は?私が犯人?冗談言わないでくださいよ!」

酒井は不自然なくらい猛烈に怒り狂った。

「このな私にそんなことできるわけないでしょ?」

堀川は目を丸くした。

「非力?お前が…?」

「そうですよ、何か文句ある?」

「い…いや…」

「じゃあもう帰ってくださいよ!」

酒井は無理やり堀川を追いだした。

言うまでもなく、堀川は校長にきつく叱られた。

「まったく君は何をしに酒井舞由李の家に行ったんだね?」

堀川は言い返す言葉もなく黙って叱られていた。

「仕方ない。こうなったら警察に通報するか」

校長はさっそく110番に通報した。

その夜、酒井の家に警察官がやってきた。

警察官に問い詰められ、とうとう酒井は犯行を自供してしまった。

そしてまもなく酒井舞由李は学校を退学になり、遠く離れた全寮制の学校へ転校することになった。
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