夜空のダイヤモンド

柊 明日

文字の大きさ
上 下
26 / 56
2章 初恋のおわり

25話

しおりを挟む
「うまぁ」

 真ん丸の瞳を更に大きくしたひなたが、目の前に重なる赤茶色に焼けたお肉たちと目を合わせたままに感嘆の声を上げる。それに続いて、詩音くんと一茶もお肉を口に運ぶや否や声を上げた。

「うまっ!?」
 と顔を上げ、手でお口元を抑えて共感を求めるようにキョロキョロとみなに視線を配る一茶。

「んん~っ、柔らかぁ」
 と、詩音くんは頬へ手を当ててアヒルの口のように口角を上げた。

 大げさな奴らだ、と思う。大自然の中で食べるお肉は、確かに緑の香りと混ざり合って普段よりも食欲をそそる香りを発している気がしないでもない。しかし、あくまでも“そう感じるだけ”であろう。僕は彼らをハッと笑って隅の小さく切り分けられたお肉を摘まみ上げた。そんな僕を見たひなたは、お行儀悪く箸でお肉の山を指し示して口を尖らせた。

「楓ぇ、えっかくなんだからもっと大きいの食べなよ~。あっ、あっちでおっきいの焼いてるよ」

 彼はそこまで言って思い出したように席を立つと、口の中に数枚のお肉を入れてから再び少し離れた場所でいい音を立てているコンロへと向かう。一茶は、口に入れたばかりのお肉をゴクンと音を立てて飲み込んでから、それを慌てて追いかけた。

「待て、お前焼き甘いからだめ。あっちで待ってろ」
「牛肉だから大丈夫だって」
「お前どれが牛でどれが鶏かわかるのかよ」
「わかるって。小さいのが鶏」

 彼らがコンロのそばでギャーギャーと騒ぐ。きっと、戻ってくるのは少し先になるだろう。僕は、そんなことを考えながら彼らを尻目に先ほど摘まみ上げたお肉を口へ運ぶ。
 と、ふと肉の上に乗っていたらしい赤い汁が服へ落ちた。やってしまったという気持ち半分。一方、美味しそうなお肉にはやくありつきたいという気持ちが半分。服は黒なので、色がつくようなことはないだろう。僕はそう考えて、一度お肉を食べてしまおうと口を開けた。そんな時。
 目の前にティッシュの箱が滑り込んできた。そして、それと同時にとなりから詩音くんが顔を出す。彼はすごい勢いで何枚ものティッシュを箱から引き抜いて声を荒らげた。

「楓大丈夫!? 熱くなかった!? 待ってね」

 肩を掴まれ、体を強く引き寄せられる。ただでさえこの炎天下の中なのだ。体が余計に熱くなって頬が染まるのを自分でも感じた。彼はあっけにとられる僕を何事もなかったかのように背後から抱きしめ、ティッシュ越しに僕の服を強く掴んで肉の汁を拭きとった。

「おっけー、拭けたよ」

 怒涛の彼からのスキンシップに呆けてしまった中、彼はすぐに僕を解放した。
 彼の頬は染まっていなかった。ただ嬉しそうに八重歯を見せて笑う彼は、行動に反してまるで子供のようで。一人っ子の小さな子がある日初めて年下の友達と遊び、まるで自分がお兄さんになったことような感覚を喜ぶような。例えるならばそんなところだろう。少なくとも、僕が彼に恋人として意識されているわけではないのがひしひしと伝わってきた。
 複雑な心境に思わず唇を噛んだとき、ふと後ろから明るい声が降ってきた。

「何イチャついてたの」

 そいつは、急な声に驚いて小さく跳ね上がる僕を見てケラケラと笑った。

「なんだろうね」

 詩音くんは相変わらず上機嫌に、体を大きく左右に振りながら彼の言葉をはぐらかした。

「なんやねんひなた」と僕は口を尖らせる。「一茶とおったんとちゃうん」
「つまみ食いしようとしたら追い返された」

 彼はしょげることもなくそう明るく笑い、再び僕の向かいの席についた。
 せっかく、詩音くんと二人きりだったのにと思わないでもない。しかし、今日はあくまで一茶の誕生日祝いで。決して詩音くんと二人になるために来たわけではない。僕はタイミングの悪いひなたに敵意を抱く前に、と思いようやく先ほど食べ損ねたお肉を口へ運んだ。
 家で焼くのとは明らかに違う香り。そして溢れる肉汁。これは、いつもよりもいいお肉を購入したからだろうか。それとも、本当にキャンプで食べるお肉は美味しいというのだろうか。僕は、さっきみなを馬鹿にしたことも忘れて思わず顔を上げた。

 そこには、おにぎりを口いっぱいに頬張ったひなたがいた。明らかに口の大きさに合わない量を詰め込んだためか、口の周りにたくさん張り付いた米をひなたはその淡いピンク色の舌で舐めとった。
 詩音くんが好きそうな仕草だ。そう思った。
 それは当たっていた。

「ひなた、まだついてる」

 今度は落ち着いて一枚ティッシュを抜き取った詩音くんが、わざわざ向かいの席へ身を乗り出してひなたの口周りを拭った。しかし。ひなたは眉を顰めて顔を背けた。

「もー、子供じゃないんだけどー。自分でできる」

 僕が喉から手が出るほどに求めている行為を、彼は笑って拒んだ。喜ぶべきなのか、それとも悲しむべきなのか、わからない。ただ一つ言えることは、この感情はただの嫉妬というやつなのだろう。
 面倒くさい男。詩音くんが僕にそう言った理由が、なんとなくわかった気がした。

 そうしてモヤモヤしているなか、すぐに一茶は焼いていた大きなお肉を持ってきてくれた。どうみても口に入りきらないそれに、ひなたと詩音くんの幼心が掻き立てられたのだろう。いつもは温厚な二人がこの時ばかりは我先にと箸を伸ばすのを見て、一茶はまるで他人事のようにケタケタと笑いながら席に着いた。

 ひなたの箸と詩音くんの箸が、同時に大きなお肉の上空で停止する。彼らが見つめあうその瞳は、真剣そのものだった。

「それ、今食ってたお肉と同じやつやで。切ってへんだけで」

 彼らの無駄な争いに、思わず口を挟む。

「わかってねぇなぁ、楓。このでかさにはロマンがあるの! ねぇ、詩音くん」
「そうだよ、皿にでかい肉乗ってるだけでテンション上がるでしょ!?」

 彼らが言うには、味とは違うところにまた別の魅力があるらしい。僕にはわからないけれど、仲良く分けられるのなら文句はない。結局、彼らは一茶に平等に半分に切ってもらってご満悦であった。
 




 そうして美味しいものを食べて、また水遊びをして、釣れた魚を焼いて、一茶へハッピーバースデイを歌って。そんな楽しそうな彼らを眺めたり、ちょっと混ぜてもらったり。そうしているうちに気が付けば辺りは暗くなり、どこからか詩音くんが拾ってきた大きな丸太に火が灯っていた。スウェーデントーチ。詩音くんはこの簡易版の焚き火のようなものをそう呼んだ。
 ひなたはそれに興味を示して眺めていたかと思えば、その暖かさとパチパチと木が燃える心安らぐ音に眠気を誘われたようですぐに椅子に座ったまま寝息を立て始めた。そして一茶がそんな彼をテントへ連れて行ったのを機に、片付けを済ませてみなテントへ戻るのだった。

 ライトが消され、真っ暗な中にひなたの寝息が響いている。外からは風の音一つ聞こえず、まるで世界から僕たちだけが切り離されてしまったような気分になる。そんななか、寝息とさほど変わらぬ小さな声で詩音くんが僕を呼んだ。

「楓、楽しかった?」
「うん」

 僕は、暗くて詩音くんには見えてはいないだろうが小さく頷いて彼へ返す。
 ひなたに妬いたり、疎外感を抱いたり、全てみんなに任せてしまった罪悪感なんかもあったり。今日感じた負の感情を数えたとしたらきりがない。しかし、今日は楽しかったこともたくさんあったように、僕は思う。
 詩音くんは、そんな僕の短い返事を聞いて十分に満足したらしくふふっと笑ってがさがさと寝袋を鳴らした。

「楓、こっちもう一人くらい入れそう」

 悪い意味じゃない。でも。本当に、僕の事なんて一切わかっていないんだろう、と僕は思う。僕は昼、彼とくっついただけでもドキドキして苦しかったのに。彼はどうせ、なんの気もないのだろう。
 例えば、だ。今はたまたま僕が彼の隣で眠っていたけれど、仮にその隣がひなただったら。いいや、一茶でもいい。とにかく、他の誰でもいい。もし彼の目の前にいるのが僕以外の幼馴染であったのなら。彼は、何の気もなしに同じように寝袋に誘うのだろう。彼のこれは別に、特別な愛ではない。ただの友愛にすぎないのだ。
 ドキドキして、彼に触れたくて、触れられたくて。体が、顔が、熱くなるくらいに意識しているのは、僕だけなのだ。彼はどうせ、僕にそういった感情は抱いていないのだから。

 僕はしばらくまともに触れ合ってない彼の体に背を向け、わざとらしく大きく伸びをした。

「今日はええわ。僕、ドキドキしてまうし」
「すればいいじゃん」と彼は笑う。
「寝られへんわ」と僕も口角を上げぬままハハと笑い声をあげた。

 詩音くんは、それで満足したようだった。背後から、すぐに寝息が立ち始める。呑気な奴だ、と思い僕は大きくため息をついてテントを後にした。

 幸い、詩音くんが用意してくれたスウェーデントーチなるものはまださっき使ったときのまま、テントの前に佇んでいる。僕は、それへ火をつけ正面の椅子へ腰を降ろした。
 熱気で揺れる空気のせいでテントが歪んで見える。僕は再び大きく息を吐いた。

 結局、今日も詩音くんは僕に恋人らしい感情を抱いている様子を見せてはくれなかった。数か月前の付き合ったばかりの頃は毎日のように興奮して、僕に覆いかぶさってきたくせに。確かに、キャンプ中にそんなことをされるのは困る。しかし、あれだけお盛んだったにも関わらず一気に数ヵ月も音沙汰なしとなると、そりゃあ不安にもなるだろう。
 原因はわかっている。きっと、飽きたのだと思う。当時、ひなたに振られたばかりで混乱していたであろう詩音くん。そんな彼に僕が好きだと言ってしまったから。ひなたの代わりでもいいと、言ってしまったから。だから、文字通りにひなたの代わりにしていただけで。
 でも、その代わりはもう必要ない。あれから時間が経ってひなたへの恋心も少しは整理がついただろうし、ひなたと僕が似ても似つかないことに気が付くくらいには正気を取り戻しただろう。だから。
 詩音くんにとって、僕はもう元通りのただの幼馴染なのだ、と僕は思う。しかし。それは僕の想定していた範疇のことだ。問題は他にある。
 それは。僕はそれに、素直に傷つくことはできているのか。それがわからなかった。

 抱きしめてもらったらドキドキするし、出来ることならキスだってしたい。でも。
 彼と恋人らしい行為を営みたいという欲望は、ただ単に彼の愛を確認したいという気持ちに過ぎないし、第一、僕が今彼の好きなところを挙げたとしたら。それは、客観的に見て正しいものなのだろうか。
 優しくて、かっこいい。僕が彼を好きになったのは、そんな理由だったはずだ。でも。優しい人はきっと僕をひなたの代わりになんてしないのではないだろうか。
 だとしたら残るはかっこいいところだけで。僕が彼を好きになった理由なんて、所詮は顔という薄っぺらいものなのだろうか。

 ポケットの中から、連続した振動が伝わってくる。僕は最近、決まってこの時間に振動するスマホを取りだしてこの暗闇では強すぎるその明かりに目を細めた。それは、案の定バイト先の後輩からのメッセージだった。僕はそれを、彼女に読んだと分からぬように操作をしてから目を通す。

『今日は先輩、バイトお休みでしたね。先輩がいなかったからお店が大変でした』

 彼女からのメッセージには、そんな甘酸っぱいことが書かれていた。いいや、別に甘酸っぱくはない、ただの報告かもしれないと考えても可笑しくはない。しかし、彼女の僕を上目遣いに見上げて頬を染める仕草を思い出し、本日何度目かわからぬため息を零れた。
 彼女への返信を送るでもなく、スマホをポケットへしまいこんで足を組む。足の動きにより生まれた風が、火の粉を巻き上げ綺麗だった。何故だか、涙が溢れた。

 そうして考え事をしていると気づけば指先が冷えて、体も小さく震えだす。夏とはいえ、山だと夜は少し冷えるらしい。僕は、目の前の火へ手をかざそうとして腕を伸ばした。その時。木々をも揺らすような大きな声が辺りに響き渡った。

「楓! 何やってんだよ!」

 思わず体が硬直する。その隙に、テントから飛び出してきた人影は伸ばした腕を掴み上げて背後から強く僕を抱きしめた。突然なんなんだ、と思わないでもない。しかし、それは口に出せなかった。それを口に出すのが無粋だと思うくらいに、彼の体があまりにも震えていた。

「一茶……? なしたん、何かあったん?」
 
 穏やかに尋ねて彼の手へ掌を重ねる。彼は震えた口で、さっきとは打って変わってか細く声を絞り出した。

「楓……火、危ないから……だめ……」

 なるほど、と思う。僕はふっと笑って彼の肩を少し強めにポンと叩いた。
 大方、一茶は僕の精神状態を余程心配していて、そして危ないものに自ら手を近づけるのを見ていてもたってもいられなくなったのだろう。

「寒かってん。別に、一茶が心配してるようなことはせんよ」

 彼はそうやって笑って見せた僕の顔を見て、まるで涙をこらえているかのように眉を顰めて目を擦った。

「また、泣いてたの?」

 僕は彼の言葉を聞いてハッとして、慌てて目元を擦る。しかし、さっき溢れたそれはとっくのとうに乾いていた。

「またってなんやねん。泣いてへんわ」
 
 彼は僕の言葉に耳を貸さず、そのまま僕の肩へ顔を埋めてふっと笑った。

「そう? 昨日もその前も、その前の日も夜中泣いてたの、俺知ってるけど」
「夜中なんて僕詩音くんの部屋にいててんで? 僕が泣いてるかどうかなんてわかるわけないやろ」
 
 確かに泣いていることは事実だが、彼に知る由はない。僕は虚勢を張ってふはっと笑い声をあげて、肩に埋まる彼の柔らかな茶髪を撫でてやる。しかし、彼は今までの弱々しさはどこへやら。ニヤリといたずらな笑みを浮かべて顔を上げた。

「バレちゃったね」

 そして彼は、とっくのとうに乾いた僕の涙の痕を親指で拭ってじっと僕の瞳を見据えた。

「楓、お前の悩みを教えろ」

 彼の言葉はとても乱暴で、とても優しい仕草からは程遠い。でも。その方がありがたかった。だって、彼がそう強引に聞くから、と自分に言い訳が出来るから。

「えっと」
と僕が言い淀む。しかし、彼は僕の言葉を急かすこともなく見つめあったその深緑の瞳を決して逸らさなかった。

「僕、詩音くんのことほんとに好きかわからなくなってきた」

 僕は、そう笑いながら言った。自嘲するように。まるで冗談でも交えるように。
 彼の視線を遮るように前髪を弄ると、朝から一度もまともに鏡の前に立っていないはずなのにそれはほとんど崩れていなかった。

「え」と一茶が目を丸める。「別れたいの?」
「そういうんやない、んやけど……」

 僕がしどろもどろに返すと、一茶は丸めた瞳を今度は優しく細めて僕の髪をくしゃくしゃとかき回した。

「お前はただ、詩音くんに愛されたいだけなんだよ」

 彼の言葉は、よくわからなかった。その雰囲気が彼にも伝わったのだろう。彼は僕の体へ回した腕を解いて離れ、まるで子供に目線を合わせる時のように腰をかがめて再び僕を見た。

「愛されたくて考えすぎて、よくわからなくなる。俺もわかるよ、その気持ち。大丈夫。お前の愛は本物だから」

 この気持ちが、彼の言うものと同じかは分からなかった。だって、彼は僕と同じ体験をしていない。だから。彼にわかるはずはないと思った。
 でも、よくわからないけれど。愛されたいだけ。その言葉は、深く心に刻まれた。

「星、綺麗だよ」

 彼はしばらくの沈黙の後、穏やかな声でポツリと呟き空を見上げた。
 その夜の星空は、家から眺めるものとは比べ物にならない程に鮮やかだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ
BL
 空前絶後の社畜マンが死んだ。   「すみませんが、断罪返しされて療養に出される元王太子の中に入ってください、お願いします!」 同じ社畜臭を感じて頷いたのに、なぜか帝国の側妃として売り渡されてしまった!  話が違うし約束も違う!男の側妃を溺愛してくるだと?!  ゆるーい設定でR18BLになります。 本編完結致しました( ´ ▽ ` )緩い番外編も完結しました。 番外編、お品書き。  〇セイリオス&クロードがイチャイチャする話  〇騎士団に謎のオブジェがある話  ○可愛いけれどムカつくあの子!  ○ビリビリ腕輪の活用法  ○進撃の双子  ○おじさん達が温泉へ行く話  ○孫が可愛いだけだなんて誰が言った?(孫に嫉妬するラムの話)  ○なんかウチの村で美人が田んぼ作ってんだが?(田んぼを耕すディエスの話)  ○ブラックラム(危なく闇落ちするラム)  ○あの二人に子供がいたならば  やっと完結表記に致しました。長い間&たくさんのご声援を頂き誠にありがとうございました~!

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

彼氏に身体を捧げると言ったけど騙されて人形にされた!

ジャン・幸田
SF
 あたし姶良夏海。コスプレが趣味の役者志望のフリーターで、あるとき付き合っていた彼氏の八郎丸匡に頼まれたのよ。十日間連続してコスプレしてくれって。    それで応じたのは良いけど、彼ったらこともあろうにあたしを改造したのよ生きたラブドールに! そりゃムツミゴトの最中にあなたに身体を捧げるなんていったこともあるけど、実行する意味が違うってば! こんな状態で本当に元に戻るのか教えてよ! 匡! *いわゆる人形化(人体改造)作品です。空想の科学技術による作品ですが、そのような作品は倫理的に問題のある描写と思われる方は閲覧をパスしてください。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

推しを擁護したくて何が悪い!

人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。 その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。 理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。 そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。 「凛に危害を加えるやつは許さない。」 ※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。 ※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。

処理中です...