上 下
49 / 75
第五章:月面聖戦編

第四十九話:いざ月へ!

しおりを挟む
 新たな力、神騎一体を得た俺達。

 時間の流れを管理者であるアップルが自由に調節できる彼女の世界。

 そんな特殊な空間に籠って、追加装甲やバズーカの猛特訓に励んだ。

 体感時間と実時間の流れの差に酔いつつ、現世の基地の自室にて日記を書く。

 この特訓での疲労が、冷静な判断力を俺に取り戻させた。

 うん、やっぱり今すぐ敵陣に殴り込みとか無理だな。

 今は連合軍を組んでいて足並みを乱すと戦後が面倒臭い。

 取り敢えず明日、偉い人達で顔を突き合わせて相談と言う流れになった。

 軍隊動かすのって、大変なんだわ。

 「確かに攻めるなら、時期的に今が頃合いであろうな」

 教皇猊下が頷く。

 「決戦は賛成ですが各国のマジックメイル部隊は、防衛に残すべきだと考えます」

 ブロンズ王国の女王陛下が意見を述べる。

 「確かに、僕達の帰る場所を守っていただかないと行けませんね」

 王の名代として参加しているレオンが女王の言葉に頷く。

 「うむ、では月へはすぐにでも動ける我らと花鬼生徒会で挑むとしよう」

 皇帝の名代として来たアデーレ様も頷く。

    マジか、せめてマジックメイル部隊は率いて行きたかったんだが?

   「新参の我らに、戦場での栄誉をお授けいただきありがとうございます」

 武王の代理のスミハル殿も同意した。

    教皇猊下と女王陛下以外は名代での参加なのは政治的に良いのか?

 「マッカよ、月への決戦はそなた達に任せたぞ?」
 「大役、見事に果たして見せます!」

 大聖堂の会議室での話合いの結果。

 勇者団と花鬼生徒会で月へと殴り込む事になった。

 ですよねえ、俺達が留守の間の国の守りも固めないといけないですよね。

 俺も勇者団の代表で会議に出たけど、頷くしかできなかったよ。

    身分としては権力のない臣民だしな、偉い人達には勝てなかったよ。

 三日後、俺達は大聖堂前で正装して集合していた。

 「これより、出陣式を執り行う!」

 良い天気だとか空を見てる場合じゃない。

 教皇猊下のスピーチが続く。

 「人類の悲願、魔王と邪神の討伐に向かう勇者達に敬礼!」

 スピーチが終わると同時に、集まった各国の騎士団と敬礼を交わす。

 見物に来た人々にも見送られながら道を行き、待機していたムーントータスの口の中へと入って行く。

 俺達と花鬼生徒会の全員が乗り込むと、ムーントータスは空へと浮き上がる。

 ブリッジに集合して席に着くと、緊張から解放された。

 「ああ、戦いの前から疲れた。 いや、俺は式典何か柄じゃねえよ」

 敵を倒したらそのままバックレようかな?

 「行けませんなあ、帰還後には妹との祝言もあるのですぞ♪」

 スミハル殿、その件は忘れていたのに!

 「うん、魔王と邪神を倒して帰ったら結婚だもんね♪」

 レオンが乙女モードになる。

 「マッカ様はどんな時も、約束を違える方ではございませんからね♪」

 フローラ嬢、目が笑ってない笑顔だよ?

 「年貢の納め時ですよ、新婚旅行はどうしましょうか♪」

 アオイ嬢、気が早くないか?

 「これはもう帰還したら、マッカさんの首に縄を掛けて拘束してから引き立てて大聖堂で結婚式ですね」

 クラウが俺を睨む、俺は罪人じゃない!

 「うむ♪ マッカよ、我らが愛に報いて貰うぞ♪」

 アデーレ様も、戦いの前ですよ?

 「皆、林檎を持って来たからガンガン食べてね♪」

 アップルが山ほど摘まれた黄金の林檎が入った籠を持って顕現した。

 「おお、それが噂の田の神の林檎か♪」

 ダイダイマルが笑顔になる。

 アップルは、ミズホ国で農業の神として信仰されているらしい。

 「あの林檎、すごい神聖な気を感じる」

 ムラサキは林檎を見て驚く。

 「これを食べれば月でも千人力ですな♪」

 ソウキュウは喜ぶが、そう簡単なアイテムじゃないんだぞ?

 「神の世の物を喰らえば神となる、覚悟はできております!」

 シンベエ君は目が怖いよ、流石はあの左大臣の血族だよ。

 「そなた達、宇宙服からでもゴツイのう?」

 アデーレ様が、白い宇宙服姿の花鬼生徒会を見て呟く。

 スキンタイトだから筋肉が目立つ、白いタイツのマッチョマン達だ。

 「この装束、褌のように身も心も引き締まりますぞ♪」

 スミハル殿に合わせて全員がポージングする。

 「鎧の肌着に丁度いいぜ、ドワーフの姫さんよ♪」

 ダイダイマルがアデーレ様に礼を言う。

 宇宙に出たと言うのに俺達のこのテンションは変わらなかった。

 「皆、そろそろ月だよ、準備して行こう!」

 レオンがモニターを展開して告げる。

 「来たか、前みたいに他所の世界からの敵はいないな?」

 俺は観測しているクレインに尋ねた。

 「ああ、空間に乱れはないから警戒すべきは魔王軍の方だな」

 クレインが計器類を見ながら告げる。

 確かに警戒するなら、他所の世界よりもメイン敵の魔王軍だな。

 「ほら、林檎食べて力付けなさいよ神のご加護よ♪」

 アップルが林檎を食えと俺達にせっつく。

 「よっしゃ、皆で神の力も取り込んで戦いに勝つぞ!」

 俺は林檎を手に取り叫んでかじる。

 仲間達も俺に続いて林檎を食い出し、全身から金色の光を放った。

 「力が漲りますよ!」

 バッシュが闘志を燃やす。

 「これは、俺の腕が前世の如くマッチョに!」

 クレインの手足や胴などが筋肉で盛り上がる。

 「おっし、変身して機体に乗りこむぜアップルは船を頼む!」
 「任せて、勝って帰って来なさいよ旦那様♪」
 「アップル様、どちらが真の正妻かは帰ってから決めましょう♪」

 いや、フローラ嬢はここで火花散らさないでくれ。

 俺達は格納庫に向かい変身して機体に乗り込む。

 「フラメスナイト、出る!」

 まずは俺の機体から、カタパルトで宇宙へと飛び出す。

 「アルタイスタイラント、出発進行です」

 続いてはブルーのアルタイス。

 「ポラリスガード、発進!」

 イエローのポラリスも気合は十分。

 「エラポスワイズマン、行くぞ!」

 念願のマッチョボディに戻れたグリーンことエラポス。

 「アリエススカウト、行きま~す♪」

 男ピンクのアリエスはノリが軽い。

 「レグルスプリンス、全てはフラメスへの愛の為に!」

 ゴールドのレグルスは、愛が重い。

 「タウラスパラディン、猛進します!」

 シルバーのタウラスも出てきた。

 「ヘリオスプリンセス、こそばゆい機体名じゃが参る!」

 ブラウンのヘリオスも出て来た。

 「花鬼大将軍、宇宙に出陣♪」

 最後は、友軍のロボ花鬼大将軍。

 心を繋いだ仲間達と皆でロボに乗り宇宙に行くとは最高だぜ♪

 ドカンと砂嵐を巻き起こしながら全機着陸。

 ついに来たぜ鬼が島ならぬ魔王軍の基地へ!

 大地が揺れ、地面からタケノコのようにせり出して来たのは灰色の異形の城。

 でっかい髑髏の上に王冠みたいに城が建っていた。

 髑髏の眼窩が光り、巨大な黒い髑髏の鎧を纏った偉丈夫の映像が浮かんだ。

 『久しぶりだな、ネッケツジャー共! よくぞ我が、新生ボージャック軍の城へと辿り着いた事は褒めてやろう♪』

 「おいおいおい、やっぱり魔王ってのはお前かボージャック!」

 敵の手口が似ていると思ったら、やっぱりお前かよ!

 『ほう、その声と闘気は我がライバルネッケツレッドではないか?』
 「いかにも、生まれ変わって叩きのめしに来てやったぜ!」

 虎になった男の話みたいな口調で語りかけて来やがったのは、前世の宿敵だった。

 『面白い、ならば我が下まで辿り着いて見せよ! 魔王軍、出陣!』

 ボージャックが叫ぶと地面からは、灰色の肌に赤い目の怪物達が現れた。

 「上等だ、新生ネッケツジャーこと聖獣勇者団ウィズ花鬼生徒会!」
 『あ、コンバット開始でご~ざ~る~~♪』

 俺とスミハル殿で口上を述べてから敵群と睨み合う。

 何と言うか、鎌倉時代の合戦かと思いもするが名乗りは大事だ。

 「行くぜ皆、雑兵どもを蹴散らして目指すは魔王城だ!」
 「「お~~~~~っ!」」

 雄叫びを上ゲ全機突進、いざ尋常に決戦開始だ! 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元天才貴族、今やリモートで最強冒険者!

しらかめこう
ファンタジー
魔法技術が発展した異世界。 そんな世界にあるシャルトルーズ王国という国に冒険者ギルドがあった。 強者ぞろいの冒険者が数多く所属するそのギルドで現在唯一、最高ランクであるSSランクに到達している冒険者がいた。 ───彼の名は「オルタナ」 漆黒のコートに仮面をつけた謎多き冒険者である。彼の素顔を見た者は誰もおらず、どういった人物なのかも知る者は少ない。 だがしかし彼は誰もが認める圧倒的な力を有しており、冒険者になって僅か4年で勇者や英雄レベルのSSランクに到達していた。 そんな彼だが、実は・・・ 『前世の知識を持っている元貴族だった?!」 とある事情で貴族の地位を失い、母親とともに命を狙われることとなった彼。そんな彼は生活費と魔法の研究開発資金を稼ぐため冒険者をしようとするが、自分の正体が周囲に知られてはいけないので自身で開発した特殊な遠隔操作が出来るゴーレムを使って自宅からリモートで冒険者をすることに! そんな最強リモート冒険者が行く、異世界でのリモート冒険物語!! 毎日20時30分更新予定です!!

兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが

アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。 右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。 青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。 そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。 青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。 三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。 【登場人物紹介】 マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。 ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。 クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。 ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。 デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。 ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。 ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。 【お知らせ】 ◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。 ◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。 ◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。 ◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。 ◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。 ◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。 ◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。 ※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ) 安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると めちゃめちゃ強かった! 気軽に読めるので、暇つぶしに是非! 涙あり、笑いあり シリアスなおとぼけ冒険譚! 異世界ラブ冒険ファンタジー!

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...