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ロジータ、隣国を目指す

第59話 アマン山脈を目指す(2)

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 まさかの『ウィンドカッター』の威力に、呆然となったのは一瞬です。
 私は慌てて今の自分のステータスを確認しました。

 + + + + + + +

 ▶名前 ロジータ・エデルギス
 ▶種族 黒豹族(エルフ族とのハーフ)
 ▶年齢 10歳

 ▷HP 46/85(9999)
 ▷MP 20/30(∞)[+15]

 ◆魔法
 生活魔法
 地魔法/水魔法/火魔法/風魔法 
 (光魔法)(闇魔法)(聖魔法)(精霊魔法)(召喚魔法)

 ◆スキル
 体術 小太刀術
 料理 裁縫 
 宮廷マナー
 農耕 解体 採取 採掘 
 鑑定 看破 隠蔽 探知
 身体強化 夜目 (精霊眼)
 精神耐性 状態異常耐性
 インベントリ<無限収納・時間経過なし>
 調薬 【NEW】

 + + + + + + +

 あんなに威力のある『ウィンドカッター』でしたが、消費したMPは多くはないようです。

 ――というか、MPが少しだけ増えてる。

 HPは変わっていませんが、MPが倍になっています。これは、『クリーン』や『ドライ』を頻繁に使っていたおかげかもしれません。
 少ないMP消費で、あれだけの威力が出るのであるなら、山へ向かうのは大分楽かもしれません。
 しかしそれ以上に、予想外なのは『調薬』スキルが生えたことです。
 考えられるのは、ハーブチンキを作ったことくらいしかありません。しかし、本来スキルはそう簡単に生えるものではありません。

 ――『転生チート』ってヤツ?

 理屈はわかりませんが、もしそうなら、新しいことに挑戦すればスキルが生えてくる可能性があるということです。

 ――いや、ダニーやサリーも確認してみないと、私だけとは限らないか。

 ふと、ダーウィに乗っている双子へ目を向けます。

「ねぇねぇ、ロジータ姉ちゃん! わたしにも、さっきの、できるかな?」

 サリーが目をキラキラさせて聞いてきます。
 彼女のステータスでは、風魔法はありません。だから『ウィンドカッター』はできないのですが、水魔法であれば『ウォーターカッター』ができるかもしれません。

「『ウィンドカッター』は無理だけど、『ウォーターカッター』」

 大きな円形の水の刃が、勢いよく前へと飛んでいきます。

 シュッ
 ガサガサッ
 ドシンッ、ドシンッ

 とんでもない威力のウォーターカッター再び、です。
 今度は魔物や獣の断末魔は聞こえなかったので、巻き込まれたものはいないと思いますが、木が何本も倒れた音が響くと同時に、鳥たちが鳴き声をあげて飛び立っていきます。
 私の場合『ウィンドカッター』の方が威力があったようで、『ウォーターカッター』で稼げた距離は半分程度ですが、それでも、相当数の木が倒れています。
 
「すごーい! じゃあ、わたしもっ! 『ウォーターカッター』!」

 サリーは私を真似たのでしょう。同じように円形の水の刃はできたのですが……サイズが小さい。サリーの小さな手と同じくらいの大きさでしょうか。

 シュッ

 勢いも威力も残念ながら木を倒すほどではなく、木の皮に傷がつく程度です。
 
「はう~!」

 悔しそうな声をあげるサリーですが、むしろ、5歳児でここまでのモノができることのほうに驚きです。
 思いっきり褒めてあげたいところでしたが、私の耳に、何かが近づいてくる音が聞こえてきました。
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