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ロジータ、街を出る
第22話 ロジータ、商人ギルドに行く
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街を出るためにまずは地図を手に入れようと、私は商人ギルドに向かうことにしました。
冒険者ギルドが街の東側にあるのに対して、商人ギルドは大手の商会なども集まっている西側にあります。
――帰りには、買い出しをしていかないとダメね。
インベントリには『フロリンダ』時代の食べ物が色々と入っているものの、食べていったら、いつかは無くなってしまいます。
一応、料理のスキル(1回目の日本人の時の経験からなのか、3回目の農民の時の経験からなのかわからないけれど)があるのだから、自分で作るようにすれば、大好きな宿屋の女将さんの料理も長く食べられるでしょう。
そのためにも、食材とともに調理道具も揃えないといけないけれど、マジックバッグの中に元々持っていた微々たるお金(銅貨と鉄貨)と、新たにギルドで渡されたお金で、どれくらい買えるのでしょうか。
どんな店があるのか確認していくうちに、商人ギルドの前にたどり着きました。
白い石壁の建物の商人ギルドは、冒険者ギルドに比べると、だいぶ落ち着いた雰囲気です。
ちょうど、恰幅のいいおじさんがドアを開けて中に入っていくところだったので、私もそのあとについて入り込みました。
――うわー、静かー。
つい、冒険者ギルドの騒々しさと比べてしまいました。『フロリンダ』時代にも商人ギルドはありましたが、ほとんど行った記憶がないので、新鮮な感じです。
商人ギルドのカウンターは女性ではなく、みんな男性のようです。時間のせいなのか、先程のおじさん以外の人の姿が見えません。そのおじさんは、そのまままっすぐにカウンターに行ってしまいました。
私はどうしたものかとキョロキョロしながら悩んでいると、私に気付いたのか、カウンターの中から一人の真面目そうな男性が出てきました。
「どうしましたか?」
「え、あ、あの……ち、地図が欲しいんですが、売ってますか?」
「地図、ですか?」
「は、はい。院長先生がこちらでも売ってるはずだって」
「ふむ、院長先生……もしかして孤児院の……」
「そ、そうです」
男性がチラリと私を見ます。でも、嫌な感じではなく、ただ確認をする、といった感じです。
「でしたら、あちらの売店で二種類の地図がありますので、そちらで買えますよ」
「あ、ありがとうございます」
私は教えてもらった売店に向かいました。
確かに二種類の地図がありました。一つはこの街、アーカンスを中心にしたゼーノン伯爵領の地図で、院長先生が言っていたアルタウス男爵領とヨラニード子爵領も描かれています。
もう一つはこの国の地図のようです。私がいるゼーノン伯爵領は国の南側にあるようです。院長先生が言っていた王都は、この地図で見ると北東にあります。
「ワインハイツ王国?」
――聞き覚えがないわ。
200年前、『フロリンダ』時代にはなかった国名でした。
できれば、他の国もわかる世界地図のような物が見てみたいけれど、ここには売っていないようです。
売店の人に値段を聞いてみると、ゼーノン伯爵領の地図は銀貨1枚、国の地図は銀貨5枚と言われました。両方買えない値段ではありません。
――でも、この街にまた戻ってくるか、と言われれば難しいよね。
国の地図のほうには、大きな街の名前は記載されています。であれば、こちらでも十分かもしれません。
私は国の地図を買うとマジックバッグの中にしまいました。
冒険者ギルドが街の東側にあるのに対して、商人ギルドは大手の商会なども集まっている西側にあります。
――帰りには、買い出しをしていかないとダメね。
インベントリには『フロリンダ』時代の食べ物が色々と入っているものの、食べていったら、いつかは無くなってしまいます。
一応、料理のスキル(1回目の日本人の時の経験からなのか、3回目の農民の時の経験からなのかわからないけれど)があるのだから、自分で作るようにすれば、大好きな宿屋の女将さんの料理も長く食べられるでしょう。
そのためにも、食材とともに調理道具も揃えないといけないけれど、マジックバッグの中に元々持っていた微々たるお金(銅貨と鉄貨)と、新たにギルドで渡されたお金で、どれくらい買えるのでしょうか。
どんな店があるのか確認していくうちに、商人ギルドの前にたどり着きました。
白い石壁の建物の商人ギルドは、冒険者ギルドに比べると、だいぶ落ち着いた雰囲気です。
ちょうど、恰幅のいいおじさんがドアを開けて中に入っていくところだったので、私もそのあとについて入り込みました。
――うわー、静かー。
つい、冒険者ギルドの騒々しさと比べてしまいました。『フロリンダ』時代にも商人ギルドはありましたが、ほとんど行った記憶がないので、新鮮な感じです。
商人ギルドのカウンターは女性ではなく、みんな男性のようです。時間のせいなのか、先程のおじさん以外の人の姿が見えません。そのおじさんは、そのまままっすぐにカウンターに行ってしまいました。
私はどうしたものかとキョロキョロしながら悩んでいると、私に気付いたのか、カウンターの中から一人の真面目そうな男性が出てきました。
「どうしましたか?」
「え、あ、あの……ち、地図が欲しいんですが、売ってますか?」
「地図、ですか?」
「は、はい。院長先生がこちらでも売ってるはずだって」
「ふむ、院長先生……もしかして孤児院の……」
「そ、そうです」
男性がチラリと私を見ます。でも、嫌な感じではなく、ただ確認をする、といった感じです。
「でしたら、あちらの売店で二種類の地図がありますので、そちらで買えますよ」
「あ、ありがとうございます」
私は教えてもらった売店に向かいました。
確かに二種類の地図がありました。一つはこの街、アーカンスを中心にしたゼーノン伯爵領の地図で、院長先生が言っていたアルタウス男爵領とヨラニード子爵領も描かれています。
もう一つはこの国の地図のようです。私がいるゼーノン伯爵領は国の南側にあるようです。院長先生が言っていた王都は、この地図で見ると北東にあります。
「ワインハイツ王国?」
――聞き覚えがないわ。
200年前、『フロリンダ』時代にはなかった国名でした。
できれば、他の国もわかる世界地図のような物が見てみたいけれど、ここには売っていないようです。
売店の人に値段を聞いてみると、ゼーノン伯爵領の地図は銀貨1枚、国の地図は銀貨5枚と言われました。両方買えない値段ではありません。
――でも、この街にまた戻ってくるか、と言われれば難しいよね。
国の地図のほうには、大きな街の名前は記載されています。であれば、こちらでも十分かもしれません。
私は国の地図を買うとマジックバッグの中にしまいました。
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