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第1章 幼馴染が王子様になってました
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早目に家を出て、待ち合わせの時間より十分ほど早く着いた。これは、私の性分だから仕方がない。
しかし。打ち上げの会場の入口で、一馬を待つこと……四十分。
その間……連絡なし。
か~~ず~~ま~~め~~!
誘われているのは、もともと一馬で、私一人で会場に入る勇気はない。
せっかくの機会だったけど、仕方がない。大きなため息をついて、入口から離れようとした。
「ごめ~ん、美輪さん、待った~?」
ちょうど目の前に着いたタクシーから、オカマキャラの遼ちゃん登場。
……ということは。
後から一馬も降りてきた。
「何よ、二人、一緒なの? だったら連絡くらい入れなさいよ!」
怒り心頭の私に対して、一馬は、「ごめん、ごめん。ゲームしすぎて、充電きれた」と、飄々とした言い訳。
「だったら、遼ちゃんに代わりに連絡してもらえばいいじゃない!」
「えー、そしたら、美輪へのドッキリにならないじゃん」
「そうそう、僕が一緒ってわかったら、保護者の美輪さん、来てくれないんじゃないかって思って~」
のほほんと言い訳するオカマ遼ちゃんに脱力。ああ、王子様はどこへいっちゃった?
「もう始まってるだろうから、入ろう」
王子様キャラ復活した遼ちゃんは、私たちを連れて店内へ。
店内は貸し切り状態。ちらほらと、ドラマでも見たことがある顔ぶれが。さすが芸能界。美男美女がたくさん。目の保養だわ~、と、部屋の隅の方で堪能してた。
一馬は一馬で、知り合いに挨拶にいったり、何かと売り込んでいる模様。お子様なのに、すごいなぁ、と思いながら、クリームチーズのディップを山盛りつけたブルスケッタを頬張っていると。
「美輪さん、ちゃんと食べてます?」
王子様キャラの遼ちゃん登場。こんな大口あけてるタイミングにくるなんて、なんか狙ってましたか? と言いたいくらい。
慌てて飲み込んで、むせ返るというお決まりのパターン。
「え、え、だ、大丈夫!?」
慌てて近くにあった飲み物を渡してくれる遼ちゃん……一気に飲むと……ねぇ、誰? こんなとこに日本酒置いたの。
あまりお酒に強くない私、ノックアウト寸前。
ぽわんとしてる私の口もとに、王子様遼ちゃんが親指を添えてきた。
ふぉぉぉっ!?
酔ってるから、余計に王子様度UPして見えるんですけどっ!?
妄想暴走しちゃうんですけどっ!?
私が勝手に一人で盛り上がってるところで、王子様遼ちゃんは私の口元に視線集中。そして親指にはクリームチーズ。
え?
王子様遼ちゃんは、ぱくっとその親指ごとクリームチーズを食べた。
「やっぱり、美輪さんのお口って、美味しそうだよね。」
クスッ。
なんか、笑われた?
王子様キャラに妖艶さがプラスされた遼ちゃんから、目が離せない。
「あの時みたいに、口でとってあげたほうがよかった?」
「っ!?」
私のファーストキス。
チビでおデブちゃんだった遼ちゃんは、そういう色気のあるキスをしたのではなく、食欲の延長で、私の口についていた生クリームを食べたんだろう、と思ってた。
だって、まだ小学生の頃の話だし。
今日みたいに、妖艶王子様になってそんなこと言われたら、勘違いしちゃうじゃないか。ただでさえ、私、酔っ払いなのに!
「りょ、遼ちゃん、その顔で言っちゃ、ダメ。勘違いしちゃう」
ドキドキしながらも、小声で注意すると
「なーに? 聞こえな~い」
そう言って、私の隣に急接近。
もしかして、遼ちゃんも酔ってる? あれ?
遼ちゃん、未成年だっけ? 大丈夫?
しかし。打ち上げの会場の入口で、一馬を待つこと……四十分。
その間……連絡なし。
か~~ず~~ま~~め~~!
誘われているのは、もともと一馬で、私一人で会場に入る勇気はない。
せっかくの機会だったけど、仕方がない。大きなため息をついて、入口から離れようとした。
「ごめ~ん、美輪さん、待った~?」
ちょうど目の前に着いたタクシーから、オカマキャラの遼ちゃん登場。
……ということは。
後から一馬も降りてきた。
「何よ、二人、一緒なの? だったら連絡くらい入れなさいよ!」
怒り心頭の私に対して、一馬は、「ごめん、ごめん。ゲームしすぎて、充電きれた」と、飄々とした言い訳。
「だったら、遼ちゃんに代わりに連絡してもらえばいいじゃない!」
「えー、そしたら、美輪へのドッキリにならないじゃん」
「そうそう、僕が一緒ってわかったら、保護者の美輪さん、来てくれないんじゃないかって思って~」
のほほんと言い訳するオカマ遼ちゃんに脱力。ああ、王子様はどこへいっちゃった?
「もう始まってるだろうから、入ろう」
王子様キャラ復活した遼ちゃんは、私たちを連れて店内へ。
店内は貸し切り状態。ちらほらと、ドラマでも見たことがある顔ぶれが。さすが芸能界。美男美女がたくさん。目の保養だわ~、と、部屋の隅の方で堪能してた。
一馬は一馬で、知り合いに挨拶にいったり、何かと売り込んでいる模様。お子様なのに、すごいなぁ、と思いながら、クリームチーズのディップを山盛りつけたブルスケッタを頬張っていると。
「美輪さん、ちゃんと食べてます?」
王子様キャラの遼ちゃん登場。こんな大口あけてるタイミングにくるなんて、なんか狙ってましたか? と言いたいくらい。
慌てて飲み込んで、むせ返るというお決まりのパターン。
「え、え、だ、大丈夫!?」
慌てて近くにあった飲み物を渡してくれる遼ちゃん……一気に飲むと……ねぇ、誰? こんなとこに日本酒置いたの。
あまりお酒に強くない私、ノックアウト寸前。
ぽわんとしてる私の口もとに、王子様遼ちゃんが親指を添えてきた。
ふぉぉぉっ!?
酔ってるから、余計に王子様度UPして見えるんですけどっ!?
妄想暴走しちゃうんですけどっ!?
私が勝手に一人で盛り上がってるところで、王子様遼ちゃんは私の口元に視線集中。そして親指にはクリームチーズ。
え?
王子様遼ちゃんは、ぱくっとその親指ごとクリームチーズを食べた。
「やっぱり、美輪さんのお口って、美味しそうだよね。」
クスッ。
なんか、笑われた?
王子様キャラに妖艶さがプラスされた遼ちゃんから、目が離せない。
「あの時みたいに、口でとってあげたほうがよかった?」
「っ!?」
私のファーストキス。
チビでおデブちゃんだった遼ちゃんは、そういう色気のあるキスをしたのではなく、食欲の延長で、私の口についていた生クリームを食べたんだろう、と思ってた。
だって、まだ小学生の頃の話だし。
今日みたいに、妖艶王子様になってそんなこと言われたら、勘違いしちゃうじゃないか。ただでさえ、私、酔っ払いなのに!
「りょ、遼ちゃん、その顔で言っちゃ、ダメ。勘違いしちゃう」
ドキドキしながらも、小声で注意すると
「なーに? 聞こえな~い」
そう言って、私の隣に急接近。
もしかして、遼ちゃんも酔ってる? あれ?
遼ちゃん、未成年だっけ? 大丈夫?
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