18 / 95
第2章
17
しおりを挟む
彼らがなんで驚いたのか。
――エルフの言葉で『ハル』は『宝玉』を意味する。
……らしい。
どうも昔の有名なエルフの王様の名前と同じだったようなのだ。それも、エルフだったら誰でもが知ってる名前で、不敬にあたるっていうんで、エルフの王族でしか使われない名前なんだそうだ。
そんなん、俺が知るわけないじゃんねぇ?
本来なら、なんでこのちんまい夫婦が知ってるんだ、と思うところなんだけど、二人とも、昔は冒険者をやっていて、あちこちの国を巡っていたそうだ。
こんなちんまい姿で冒険者? って思うんだが、それなりに、求められる役割っていうのがあるんだそうだ。詳しくは教えてもらえなかったけど。
だから、俺のことを王族か何かか、と焦ったらしい。素っ裸で森の中にいたら、捨てられたか、と思うわな。それに、王族にこんなラフな格好とかさせたら、色々言う人がいそうだもんな。まぁ、実際には、俺は王族でもなんでもないんだけどさ。
さて、肝心のちんまい夫妻だけれど、名前はボブとメアリー。英語の教科書かよ、と心の中でつっこんだのは内緒だ。
ちんまいおっさんと、おばちゃん、年は百三十才で同い年夫婦らしい。百超えてて、でも、まだおっさんとおばちゃんに見えるって、何の詐欺だよ。
ところで、なんでボブさんが俺を見つけたか、というと、たまたま薬草を摘みに森に入ったところで、奥の方、まさに俺がいたあたりが光ったらしい。気になって仕方がなくて、無理して見にいったとか。
確か、某ファンタジーのイメージでは、小人の種族って好奇心旺盛だったと記憶してる。なるほどね、と思うと同時に、その好奇心に助けられた、とつくづく思った。
後から聞いた話、『魔の森』という名前だけあって、魔物が住んでる場所らしい。それも、俺がいたあたりはヤバかったというのだ。無事に村に戻って来れたのは奇跡に近いって。ボブさん、メアリーさんに殴られてた。助けてもらった身だけに、あんまり怒らないでやってほしい……。
俺は、とりあえず、気がついたらあの場にいたことと、それ以前の記憶がないということにしておいた。接した感じ、ボブさん夫婦に悪意は感じない。そもそも、そんな人たちが俺を助けるとは思えないけど、こっちにどうやって来たのか、とか、説明しても通じるのか怪しいし。
「さ~て、ハル」
ずずずっとお茶をすするボブさん。お茶、といっても、たぶんハーブティーみたいなもんだろう。爽やかな香りが部屋の中を充満している。
「お前さ、これから、どうするだ?」
メアリーさんも隣に座って、俺を見てる。
どうする、と言われても、現状、一文無しの俺。それも、どう見ても外見は子供の俺に、何が出来るというのだろうか。元の姿だったら、多少の力仕事が出来たかもしれない。しかし、これじゃぁ……。
「ハルさえよけりゃぁ、うちの子になるかぁ?」
「えっ」
むーん、と悩んでたところに、メアリーさんの思いもしなかった爆弾発言。
俺はびっくりしてマグカップを落としそうになった。
――エルフの言葉で『ハル』は『宝玉』を意味する。
……らしい。
どうも昔の有名なエルフの王様の名前と同じだったようなのだ。それも、エルフだったら誰でもが知ってる名前で、不敬にあたるっていうんで、エルフの王族でしか使われない名前なんだそうだ。
そんなん、俺が知るわけないじゃんねぇ?
本来なら、なんでこのちんまい夫婦が知ってるんだ、と思うところなんだけど、二人とも、昔は冒険者をやっていて、あちこちの国を巡っていたそうだ。
こんなちんまい姿で冒険者? って思うんだが、それなりに、求められる役割っていうのがあるんだそうだ。詳しくは教えてもらえなかったけど。
だから、俺のことを王族か何かか、と焦ったらしい。素っ裸で森の中にいたら、捨てられたか、と思うわな。それに、王族にこんなラフな格好とかさせたら、色々言う人がいそうだもんな。まぁ、実際には、俺は王族でもなんでもないんだけどさ。
さて、肝心のちんまい夫妻だけれど、名前はボブとメアリー。英語の教科書かよ、と心の中でつっこんだのは内緒だ。
ちんまいおっさんと、おばちゃん、年は百三十才で同い年夫婦らしい。百超えてて、でも、まだおっさんとおばちゃんに見えるって、何の詐欺だよ。
ところで、なんでボブさんが俺を見つけたか、というと、たまたま薬草を摘みに森に入ったところで、奥の方、まさに俺がいたあたりが光ったらしい。気になって仕方がなくて、無理して見にいったとか。
確か、某ファンタジーのイメージでは、小人の種族って好奇心旺盛だったと記憶してる。なるほどね、と思うと同時に、その好奇心に助けられた、とつくづく思った。
後から聞いた話、『魔の森』という名前だけあって、魔物が住んでる場所らしい。それも、俺がいたあたりはヤバかったというのだ。無事に村に戻って来れたのは奇跡に近いって。ボブさん、メアリーさんに殴られてた。助けてもらった身だけに、あんまり怒らないでやってほしい……。
俺は、とりあえず、気がついたらあの場にいたことと、それ以前の記憶がないということにしておいた。接した感じ、ボブさん夫婦に悪意は感じない。そもそも、そんな人たちが俺を助けるとは思えないけど、こっちにどうやって来たのか、とか、説明しても通じるのか怪しいし。
「さ~て、ハル」
ずずずっとお茶をすするボブさん。お茶、といっても、たぶんハーブティーみたいなもんだろう。爽やかな香りが部屋の中を充満している。
「お前さ、これから、どうするだ?」
メアリーさんも隣に座って、俺を見てる。
どうする、と言われても、現状、一文無しの俺。それも、どう見ても外見は子供の俺に、何が出来るというのだろうか。元の姿だったら、多少の力仕事が出来たかもしれない。しかし、これじゃぁ……。
「ハルさえよけりゃぁ、うちの子になるかぁ?」
「えっ」
むーん、と悩んでたところに、メアリーさんの思いもしなかった爆弾発言。
俺はびっくりしてマグカップを落としそうになった。
0
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜
Open
ファンタジー
就活浪人生に片足を突っ込みかけている大学生、本田望結のもとに怪しげなスカウトメールが届く。やけになっていた望結は指定された教会に行ってみると・・・
神様の世界でも異世界転生が流行っていて沢山問題が発生しているから解決するために異世界に行って転生者の体の一部を回収してこい?しかも給料も発生する?
月給30万円、昇給あり。衣食住、必要経費は全負担、残業代は別途支給。etc...etc...
新卒の私にとって魅力的な待遇に即決したけど・・・
とにかくやりたい放題の転生者。
何度も聞いた「俺なんかやっちゃいました?」
「俺は静かに暮らしたいのに・・・」
「まさか・・・手加減でもしているのか・・・?」
「これぐらい出来て普通じゃないのか・・・」
そんな転生者を担ぎ上げる異世界の住民達。
そして転生者に秒で惚れていく異世界の女性達によって形成されるハーレムの数々。
もういい加減にしてくれ!!!
小説家になろうでも掲載しております
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
最強パーティーのリーダーは一般人の僕
薄明
ファンタジー
ダンジョン配信者。
それは、世界に突如現れたダンジョンの中にいる凶悪なモンスターと戦う様子や攻略する様子などを生配信する探索者達のことだ。
死と隣り合わせで、危険が危ないダンジョンだが、モンスターを倒すことで手に入る品々は、難しいダンジョンに潜れば潜るほど珍しいものが手に入る。
そんな配信者に憧れを持った、三神《みかみ》詩音《しおん》は、幼なじみと共に、世界に名を轟かせることが夢だった。
だが、自分だけは戦闘能力において足でまとい……いや、そもそも探索者に向いていなかった。
はっきりと自分と幼なじみ達との実力差が現れていた。
「僕は向いてないみたいだから、ダンジョン配信は辞めて、個人で好きに演奏配信とかするよ。僕の代わりに頑張って……」
そうみんなに告げるが、みんなは笑った。
「シオンが弱いからって、なんで仲間はずれにしないといけないんだ?」
「そうですよ!私たちがシオンさんの分まで頑張ればいいだけじゃないですか!」
「シオンがいないと僕達も寂しいよ」
「しっかりしなさいシオン。みんなの夢なんだから、諦めるなんて言わないで」
「みんな………ありがとう!!」
泣きながら何度も感謝の言葉を伝える。
「よしっ、じゃあお前リーダーな」
「はっ?」
感動からつかの間、パーティーのリーダーになった詩音。
あれよあれよという間に、強すぎる幼なじみ達の手により、高校生にして世界トップクラスの探索者パーティーと呼ばれるようになったのだった。
初めまして。薄明です。
読み専でしたが、書くことに挑戦してみようと思いました。
よろしくお願いします🙏
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる