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第9章

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 バーンズ伯爵に引き取られ、いきなり弟が3人もできてしまった。
 長男のベイスは私の一つ下の15才。次男のロディウスが13才、末っ子のアドルは8才だそうだ。
 ベイスは一つ下とはいえ、すでに私なんかよりも背は高く、弟、というのもおこがましい。しかし、長男ということもあってか、しっかりしている。特に、彼はすでに上級学校に通っているらしい。なんでも飛び級を使っての入学だそうだ。
 次男のロディウスはのんびりやさん、末っ子のアドルはやんちゃで従者たちがなかなかに苦労しているらしい。 

 上級学校といえば、私も来月には編入することになっている。弟とはいえ、ベイスと同級生になるらしい。ただ、クラスは実力主義らしく、自信をもって別のクラスだろうな、と思う。
 同じ時期にオルドン王国で一緒に卒業した貴族の子女たちは、先に入学しているらしい。彼らから2か月ほど遅れることになるので、余計に勉強が遅れてしまう。
 私自身、そんなに優秀というわけではないので、バーンズ伯爵家に迷惑をかけるのではないか、と心配になったのだけれど、伯爵は気にするな、と言ってくださった。

「かなり無理をさせて、我が家に入ったのだ。自分のペースで頑張りなさい」
「大丈夫、僕が教えてあげるよ」

 自信満々に言うベイスに、思わず笑ってしまった。
 

 編入までの1か月の間、ベイスに上級学校での勉強を教えてもらいつつ、バーンズ伯爵夫人……義母が、つきっきりでマナーやこの国のことを教えていただいている。
 その上、週に1回は王城にあがり、王妃殿下とのお茶会をして、ここでもマナー教室である。チェックされる点が、伯爵家で教えていただくことよりも、細かくて、なかなかに緊張感の高いお茶会になるのは、言うまでもない。

 そして、来週には上級学校に編入するというタイミングで、上級貴族の奥様たちが参加する、少し規模の大きめなお茶会に参加することになった。
 奥様方に私の顔を売るためである。
 基本的に集まられるのは、王妃殿下と親しくされている方々で、それも私と同い年くらいのご令嬢のいらっしゃる方が多いのだとか。
 まだまだマナーとか自信がないのに、と思ったけれど、経験あるのみ! と義母から言われてしまった。悲しいことに、今日は、この場にはいらっしゃらない。

「王妃殿下にまさか、このように可愛らしい姪御様がいらっしゃったなんて」
「ええ、本当に。私もサージェント卿が見つけ出して下さらなかったら、一生出会えなかったかと思いますわ」
「そういえば、バーンズ公爵のご一族では、女のお子さんは王妃殿下以外、いらっしゃいませんでしたわよね」
「ええ。だから余計に、娘のように思えて」

 王妃殿下に可愛がられているアピールが凄い。
 私の後ろ盾は、王妃殿下ですよー、苛めないでねー、ということなんだろうけれど、学校に行って、これが通用するのだろうか。
 ……通用してくれたらいいのだが。
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